衆院選 大島敦VS中根一幸の得票と上尾市比例票
投票前の土曜に、勝者は維新だけと書いたが結局、自民党も勝った。そしてクールな情勢分析をした朝日新聞も勝者だ。立憲は敗者、共産も議席減だから敗者だ。なお、共闘の捻じれによる無効票の増加は分からない。
投票率は良くても55%と思ったが、55.9%となった。前より2P増ではコロナ禍効果は無かった。民主党政権誕生では69%なので、変化には高い投票率が欠かせないのだが、この十年でムリになった。低い投票率とは国民の政治意識が下がった証拠であり、それこそ安倍政治の最大の成果になる(党の都合で解散選挙していた)。本来、リベラルが好む個人主義の浸透は、他者とかかわる事を面倒に思う人を増やしただけかもしれない。その因果関係を理解するためには個人属性に踏み込む調査が必要なのに、それを避ける日本では想像の域を出なくなる。
枝野さんの交代は当然だ(5区での人気減には驚いた)。敗因は、リベラル派が負け続ける理由の通りだと思う。その指摘をする岡田教授は更に「リベラルはもっと銭金を語れ」とも言う。しかし、バラマキ(支出)だけで負担を語らない。語れば、大企業や金持ちから取ればイイという勧善懲悪みたいな話だ。労組にも距離を取られるのだから成熟社会の中庸層から相手にされるわけが無い。私的に一番残念なのは、日本が食うための産業政策がまるで無いこと。分配後に、次に配る原資をどう稼ぐかが語れない。
参考 小川淳也氏が立候補した。一見ひ弱そうだけどこれを読むとバランス感覚ある。将来的には熊谷知事も注目。
バラマキ政策に簡単に群がるわけでは無いという証明ができたのは成果だが、また緊張感の無い政治が続く。自民党が割れて小石河連合みたいな勢力ができると野党も再編成となり、民族主義でも利権でも過剰リベラルでもない中道勢力が生まれ、連立抜きに日本が運営できなくなるのだが、その兆しもない。
注 後の分析では、夜遅い時間帯に接戦区で自民党が多く制し、自民の当選者二割が辛勝だった(読売)。
埼玉6区は、世間の予想通り大島議員が当選した。でもね…

●四年前の票との比較
前回は大島氏が5地域全てで中根氏を上回った。ただし(最大エリアの)上尾市と伊奈町では拮抗していた※。中根氏は前回よりも13000票も増やしたが、大島氏は前回の「大島票と共産候補の票」の99%になっていることから、共産党をゲタにして当選したようなもの。
※ 二日経っても県選管の資料は無いから不明。IT後進国がこんな所にもでている。
野党共闘が無ければ千票差まで縮まり、立憲が不振だった今情勢なら負けたかもしれない。それなのに、こんな慢心な態度を有権者は知らないのだろう。
(産経記事より) ところが、共産党との共闘について大島氏に尋ねてみると「私は独自の戦いをやっている」とつれない返事。自ら進んで協力を求めてはいないと強調した。 |
●比例区の票との関係では/上尾市
大島氏は55000票だが、比例区の四野党合わせても77%、国民入れても86%しか埋まらない。維新等から8千票がこないと埋まらない。中根氏の47000票は、自公で95%と支持者のロイヤリティーは高い。
●二人の候補者に思う事
中根氏の出陣式の様子で書いたように、自民党規則で比例復活三回は許されないと思ったから、負ければ引退なので必死と思ったが、(比例名簿に載っており)今回も比例復活していた。これは危機感煽りの古い手口だったのかなと思うと信頼感に欠ける。
選挙公報を読んだが内容が劣る。与党にいてポストをもらいながら、主文は抽象的すぎる。囲みの具体策も一般的な固有名詞の羅列でリアル感が無い。本人だけでなく、取り巻き秘書もこのレベルなのかなと想像するし、これで4期もやれるのが石井一氏の言うような例なのかなと思ってしまう。
大島氏のは文字だらけなので読まない人もいるが、中身にはストーリーがあり、政策も具体的に書いている。彼の方が優秀だ(それだけ学歴と職歴のキャリアがある)。でも8回も当選重ねながら目立った要職についていない。野党議員はあまりテレビに映らないが、それでも当選回数の割に目立たない存在だから、何やってるんだろう、という感じだ。そのことは、Woh is 大島?として四年前に認めていたが、今も変わらないと見る。
だから、駅頭でたまに見かけると、地元の子分の選挙にボス的に来るだけの人に見えてしまう。国会議員を頂点とした選挙互助会なのだが、それを選挙上手とヨイショするのは評価レベルが低すぎだろう。
今回初めて中根議員のWikiをみたら不祥事に驚いた。県議経験が無くて候補者になれたが、自民党がもっと有能な人材を立てれば、ここまで連敗はしないだろう。ただ、それが支持母体のレベルだから人材の限界となるわけで、大島連勝の理由もそこにあると思う。
- 上尾市の衆議院比例区にみる党派別の推移
投票率は前回51%から54%へ増えたから6300票増えている。今回は維新の急増がニュースだが、それでも昔の半分であり、維新は党首のイメージに左右されるのだろう。自民は堅調、立憲と公明の伸びは低い。
上尾市の比例区 | 得票数 | 得票率 | 前回票差 | 伸び率 |
自由民主党 | 31,360 | 30.7% | 3,749 | 14% |
立憲民主党 | 26,757 | 26.2% | 890 | 3% |
公明党 | 13,230 | 12.9% | 526 | 3% |
日本共産党 | 9,712 | 9.5% | 958 | 8% |
日本維新の会 | 9,147 | 9.0% | 6,022 | 69% |
国民民主党 | 4,741 | 4.6% | (-11,701) |
立憲は3人の市議がいても支部は無いしロクな活動をしていないのでは? うち二人は市議会で党派を名乗らないのだから帰属意識が疑われる。中央の看板にすがりながら看板を磨かないようでは二年後の県議選に黄色信号がつきそうだ。
公明党は3%しか増えなかった。支持者の高齢化問題が深刻かもしれないが、常に同人数が投票所に行くのが強みだ。共産党もその点は似ているが今回は不利な共闘下でも8%増えた。なお、福島党首が小さくしていると批判される社会民主党が、上尾では1760票と二倍である(確かに上尾駅頭でビラ撒く集団を見た)。
上尾市は直ぐに市長選挙になる。畠山市長と深山元議員の対決らしいが、上の比例復活に見るように候補者の覚悟も疑われるし、投票率29%でも驚かない。市議補選では、前回のように就活もどきの候補者は来るのだろうか。公明や共産は一人出して、二年間のみ一議席増を享受するという作戦もとれるが、どうなんだろうね。
« 衆議院選挙の行方と投票率で想うこと | トップページ | 上尾市議補選の小池ゆうや氏と自民党の抗争 »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 1 うさん臭い独立系候補の背景(2023.10.21)
- 田村琢実団長へ 過ちては改むるに憚ること勿れ(2023.10.12)
- シニア就業率と不採用の理由+年金額(2023.09.26)
- 社人研の人口推計と人口オーナスへの覚悟(2023.06.18)
- ふるさと&寄付で繕う日本(2023.05.21)
「上尾市」カテゴリの記事
- ブランド化が定着した上尾ハーフマラソン(2023.11.21)
- 4 佐藤えりい議員が下着姿で問う民度(2023.11.07)
- 3上尾 維新の津田ひとみ候補とは(2023.10.27)
- 寄稿 荒川の護岸工事完了と使い道はアレ(2023.10.24)
- 上尾のネーミングライツと将来売却候補(2023.10.04)
平易明快な文章にいつもながら感心して読んでいます。
総選挙投票日は早く寝てしまい。自民単独過半数の結果は翌日知りました。
大島代議士は選挙上手というより選挙好き、今回は手を抜いたような気がします。
どうせ当選できるかやいいやって感じですか。
中根氏の瀬戸際戦略?は功を奏した?ウィキペディアの情報は私もおどろき。
体育会系は細かいことは気にしないのか。昔の公明党なら協力したかどうか。
大島は知ってるだろうけど、怪文(ネット)情報は見ないから、そこも余裕か。
一般企業なら将来は断たれる悪行。諭旨解雇もありえる。実家が上級国民?
今回の有権者の投票行動で、どこかの調査が、共産党支持者の3割が維新に入れた
とあった。日本の共産主義もこんなレベルと党幹部は悩みどころか。
連合の女性代表も今賃上げ要求しているけど、枝野には協力しなかった。
アホなんじゃないかと思う。間が抜けているところが日本の労働組合の情けないところ。
政権選択選挙のセオリーは野党第1党に投票することが常識だろうに。
ハタ坊の元所属政党にように、党が崩壊するんでしょうね。
投稿: 本好き | 2021年11月 3日 (水) 14時45分