平方幼稚園の廃園問題から逃げ惑う議員達-2
保守も共産も反対し、中間系が退席する議会、
受け身や関わりたくない姿が見えてますよ。
前: 閉園に賛成する理由-1のつづき
前回は、閉園と言う穏便な表現でしたが、実は議案には廃園とあります。
近年、保育園などの建設で話題になるのは、子供の声は騒音だというものです。住民が反対運動をしたり、クレームをつけて防音工事をさせる例です。たくさん産まれることを社会が望みながら、身近だと嫌われるんですね。それが高齢者だったりします。
ですから、廃園に反対する住民がいる例は爽やかに見えます。でも、昔と違い、気軽に園内に入れないし、廃園で失うのは機能面よりも別な面があるかなと想像します。それが情緒的であればあるほど、市は解決できそうもありません。
これは足かけ三年間にわたる議案ですが、議員の賛否態度には曖昧な姿や"抵抗してます感"の人も目立ちます。以下、6月議会までの評価です。議事録検索はこちら
1 保守も公明もリベラルも揃って反対や退席
一回目(上段)の賛成は、小川・新井・小林議員のみです。二回目の21/6月の賛成は維新・津田議員のみで、11人が大量退席です。先ずは、気になった業界関係者二人から…。
田中氏(宮下幼稚園)は一回目に、鈴木氏(浅間台幼稚園)も二回目に退席です。利益相反を気にしたと思いましたが、違いました。田中氏は二回目は反対へ転向です。彼のパパ、元市議のゲンさんは私立幼稚園団体の会長として、請願への反対書※1を出しています。息子の親離れが、親子ケンカになったのか気になります。
※1 私立幼稚園側の理由は理解できますが一つ気に入らないのは、『…私立は定員に満たないのに、平方の施設改善は民業圧迫する』を一番に挙げたこと。それは、業界の損得であり 市民からみたら税の使い方が問われているのです。団体救済のための閉園ではありません。そんなのは一番下に書くべきです。新図書館計画の時に書店組合からの苦情は有りませんでしたよ。 |
2 賛成したのは一人半のみでサラッと
一回目の小川議員の主張は幼児教育無償化、園児減少、市費の格差、建物寿命、高コストなどを羅列しただけですが一応は評価します。でも二回目に転向です。その理由は後述する星野議員の主張かもしれせん。
維新・津田議員は21/3月議会では小川さんの指摘の半分しか述べませんが、(この時は)継続審査扱いへ反対です。翌6月の採決では、「立法事実」という上尾市議会では珍しいアカデミックな論点を持ち出しました。
平たくいうと、”どうしてこの廃止条例が必要なのか”を6つの視点で判断するものです。ところが、一つ一つに本件の事実を当てはめて、「よって、市案は合理的である」と論証したわけではありません。発言時間はあったのに、難しい言葉でサラッと語っただけなので説得力はイマイチです。
3 琴線に触れやすい主張は慎重に
公明党の戸野辺議員は、請願の紹介議員の一人ですから、党を代表して本件を熱心に取り上げます。その中で、平方幼稚園がなくなると発達障害などの子の受け入れ先が不安と尋ねます(19/12と20/6議会)。なお共産党はもっとハッキリと「私立で受け入れ困難な児童を受け入れる役割の公立の廃止に反対」と断定します(21/3議会だより)。
しかし妙な話です。平方から遠い、原市・本町・上平等では当該児童は年間何人いて、どれだけが遠い平方まで通園したのですか? また、私立側が受入拒否をしてきたという黒歴史があるのですか? どうにも弱者を盾にするような話に聞こえます。
それへの市回答は、公民連携で人的・経済的に支援している、12園で受け入れているという当り前のものですから、反論もなく聞いて終わりです。
4 二回も先送りなんて逃げてますよ~
政策・市民の声の矢口議員は21/3月に、今後の上尾市幼児教育の展望が示されていない、地域への説明責任が果たされていないと批判して継続審議を求めつつ、廃園の理由になっている諸課題を上尾市の大きな課題であるとも言い、両面作戦をチラつかせます。
その一年前には戸野辺議員が、「なくなることが避けられないなら、・・・今後の上尾市の幼児教育の在り方は如何に」と尋ね、「それを市長が出向いて懇談しなさい」と言ってます。
しかし、尋ねる議員が「幼児教育の在り方」を提示できない受け身では、市の回答を評価することなどできません。また、質問では頻繁に取り上げるけど、結局は、"行政と地域でやってね"みたいに距離を置きます。公明党は6月にも継続審査の動議を出しましたが動議否決で採決となり、腰の引けた議員が11人もでたのです。まるで国会の文通費100万円問題の先送りみたいです。
なお、議論が深まらないのは、議員が「在り方」を語れない以前に、執行部に反問権を与えないから本当の議論にならないためです。そして市長は、"直接事業からの撤退"は幼稚園のみとし、市立保育所は強化継続して幼児教育全体を公民連携で全うするとでも言えばよさそうなものです。
5 星野議員の正論の裏にみるホンネ
私的には、市裁量で募集停止ができたことに驚きました(考えてみれば、毎年人数を議会に諮るわけないですね)。実質的な廃園を意味しますからズル賢いですが、停止の理由は、このまま続けても少人数が回復する見込みは薄く、この小規模では集団生活や他者との関りを育みにくいから、私立へ行ってもらいたいとの判断でしょう。
しかし、廃園案を否決した議員にすれば「募集停止」は怒り心頭 ( ゚Д゚)。
請願の紹介議員である星野氏(彩の会)は、21/6月議会で 一定の理解を示すと断りつつも、市は「廃園を決定事項のように地元に説明したとの声もあり…」と質します。しかし、公務員は大事な場面でそんな言質を与えるでしょうか。「廃園を検討してる」風な言い方をしても、政策説明ですから問題ありません。しかし、反対者には「確定」的に受け取られるのが常です。
だから星野氏は『議会軽視だ。二元代表制を揺るがす』と言ったのかと思いました。でも、自ら会合を傍聴せず、伝聞を根拠に言う方が議会軽視です。
そして、その後の星野氏の主張はとても分かりにくい内容でした。好意的に書くと、「今の廃園への市のやり方では、他に小中学校の統廃合計画が出ている様に、これからの各種公共施設の運営がうまく行かなくなるから反対です」となります。
つまり、後に控える学校統廃合という時間的にも規模的にも大きな問題への波及を恐れたようです。その件についてはここでは扱いませんが、議会や市民の間には拡大解釈による被害妄想もあります。そうは言っても、同じ背景がありますから、不安になるのは理解します。でも、各種公共施設の運営という抽象化した次元で、目の前の問題に反対と言うのでは問題解決への正しい向き合い方とは言えません。逃避です。
ですから、その主張はホンネじゃないよねと受け取りました。島村田中時代に胡坐をかいた元新政クラブの人が『二元代表制を揺るがす』とい言うのですから、建前論による反対でしょう。
彼らのホンネは、会派内の仲間のエリアが今後対象となったら、仲間として反対の態度をとり互いに助け合おう、ではありませんか? または、どうせ廃園になるから、賛成して『冷たい人』と批判されたくない防衛心理かも。
実は、上尾の保守を自認する同志会の本件への言及が見つからないのです(あったら失礼)。しかし、彼らも反対ですから、本件は思想的な価値観では無いことが分かります。合理性と公益性で判断する公共事業に私情を挟むとしたら、 それは地域代表者であるという出自によるものです。地域と無縁な維新議員が唯一賛成と言うことからも明らかです。(なお地域依存ではないのに反対するのは衆寓策です)。
6 説明不足は何回で満足するか
当初の反対理由で多いのは、地域への説明不足でした。しかし、十年くらい前から、「園の将来性」について市また議員がどんなシグナルを発して来たのでしょうか。地域代表とは言っても無為無策な人を選んだだけかも知れませんね。消費税10%上げで幼児教育無償化が決まる頃から、公立幼稚園の大量廃園は既定路線だったのに、延命策はおろか「廃園」が公式化して慌てだしたように見えるのです。
21/9 教育総務部長(小林克哉) 1度目の否決後、令和2年度に保護者との話合いを12回行うほか、教育長、教育委員も参加した意見交換会も実施した。3年5月には平方地区で説明会を開催し、丁寧に説明してきた。 |
回数が多くても廃園案の説明会です。皆で一緒に考えようではありません。こういう時ほど丁寧な言葉が余計冷たく感じますよね。
共産党・池田議員は6月議会で、「(5月の説明会では)納得するとの意見は皆無でした」と言います。どんな顔ぶれかは知りませんが、図書館移転の説明会では反対派ばかりが出席でした(遠慮なく書ける新聞コメント欄は別です)。
続けて、同園の素晴らしさをエピソードを入れて力説しましたが、そんなに優れているなら、2005年91人以降の凋落をどう説明するのでしょうか。(絶対需要の減少と私立へ流出もありますが)たぶん、「市が追加投資を怠ってきたからだ」と答えるでしょう。
追加投資である程度の増員は可能ですが、『バスはムリでも、建替、給食、三年保育、延長保育』を割高になる市費でやることと、私立支援とのアンバランスが更に開くという本件の核心へ逆戻りします。そこは前記事で書いた通りです。共産党はそれを無視しますが、何かと扶助費拡大を唱えながら、公務員ボーナス削減にも反対するようでは算盤が合いません。世間、特に若い人はもっとシビアですよ。
秋山議員も反対です。21/3月議会報には「同園の果たしてきた役割を総括してから決めるべき。それからでも廃止は遅くない」と言ってます。募集0の幼稚園がまた再開しても、そんなの危なくて親は預けないでしょう。私立は三歳からタダなんだもん・・・
最後に、畠山市長が現地へ行って説明しろと議員皆が言います。その通りですが、無いものねだりでしょう。但し、市長選挙で応援した駅前議員には市長を行かせる義務がありますよね。
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お年玉は三回目の接種券。
参考 ボーナス下げ「12月から」相次ぐ 国に先駆け実施 時事通信
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