上尾市の一人当たり予算規模は全国最下位
2022年度予算は前年比+1%の696億円へ
連日、コロナ感染者数や職員感染の報告ばかりが市政のトップニュース扱いだが、ようやく予算書が公開された。例年より遅いのは市長選により議会が変則的な開始になったためだろうか…。
2022年(R4)は696億3千万円、21年より6億8千万円多く、1%増である。詳細は略して、歳入別の前年差額の積上げグラフを示す。

ちょつと驚くのは市税が22億円(+7%)の増収見積もりという景気の良いものだ。ついで、地方交付税も増えるが他は前年並み。そして、増収効果があったためか繰入や繰越は調整的に減らしたかも知れない。市債が大きく減っているが例年並みに戻っただけだ。市債の下端面が純増の6億8千万円を示している。
増えた分は何に使われたのかというのが次だ。

部門別(目的別ともいう)では民生費が他を圧倒する(これは4施設統合の子育て支援複合施設の建設費を含む)。安易に公共事業ができないわけである。他に目につくのは総務費の削減だ、一体何だろう? ともかく、近年はコロナ対策と言う名の財政拡大で膨張したが、もうコロナは終わったようなものとなり、次に進まざるを得ないと思う。いよいよコロナから「インフレ」に替わるのだろう。
上尾市の人口一人当たりの予算規模は全国サイテー815位
以前から、上尾市は人口の割には予算規模が小さいことが気になっていた。そして、とうとう全国の815市区で最下位になっていた。「ここがイチ押し!」シリーズを広報あげおで自慢話しするが、ビリだってなかなか取れるものではない(^-^?)
総務省の市町村別決算状況調の最新データである2019年度の財政データ(都市別815)がexcelで公開されている。そこから「歳入総額÷人口」で求めたランキングを示す(予算÷人口である)。
順位 | 市名 | 一人当たり歳入額(千円) | 歳入額 |
809 | 四街道市 | 297 | 28,151,729 |
810 | 佐倉市 | 296 | 51,882,717 |
811 | 富谷市 | 293 | 15,388,101 |
812 | 我孫子市 | 293 | 38,668,029 |
813 | 白岡市 | 289 | 15,160,143 |
814 | 入間市 | 286 | 42,258,098 |
815 | 上尾市 | 286 | 65,361,033 |
上尾市は一人当たり年28万円ボッチなので、給付を受けることのない市民には「行政サービス」を肌で感じないはずだ。ところで、これだと上尾は貧乏市でダメみたいに見えてしまうが、実はそういう意味ではない。また、上尾市をディスりたい人のために出しているわけでも無い。
上表を見れば、首都圏の周縁部に位置する自治体が多い以外にどんな共通点があるかは分からないが、ベッドタウン型の郊外市だから大きな産業が無いかもしれない。次に、反対側となる「一人当りが多い」の自治体を見てみる。
一人当たり歳入額 | 財政力指数 | ||
1 | 陸前高田市 | 4,412 | 0.33 |
2 | 釜石市 | 1,706 | 0.52 |
3 | 石巻市 | 1,704 | 0.54 |
4 | 気仙沼市 | 1,535 | 0.45 |
5 | 夕張市 | 1,457 | 0.21 |
6 | 三笠市 | 1,397 | 0.20 |
7 | 歌志内市 | 1,325 | 0.11 |
8 | 紋別市 | 1,201 | 0.32 |
9 | 室戸市 | 1,158 | 0.23 |
巨額の復興予算が投じられたとか北海道の衰退自治体など、と言うのが分かる。これらの市では一人当りが上尾市の5倍以上になるが、財政が豊かな街でないことは、財政力指数で分かる。とても低い値である。上尾市は0.9だ。
これらの自治体では住民税が少なく、交付金や国庫支出金という国からの仕送り、都道府県からの仕送り、また夕張市のように市債(借金)が大きいなどで、一人当りの歳入額が手厚く表示されているに過ぎない。しかしなんだか釈然とはしない。
実は今の日本では、市民が負担する住民税<市役所の人件費 という市が60もある。もはや自治体とは言えないレベルであり、町村まで含めたら数えたくない数になるだろう。
だから上尾市は全国サイテーだからダメ、という事ではない。
ならイイじゃんと思うが、予算規模が653億円とデカイ街でありながら一人当りが低いのは他市と比べてちょっと心配になる。
良く言えば、新規投資に抑制的な結果ということになる。公共事業を増やすと市債が増えて予算規模がグンと膨らむ。そうすると、経常収支比率などの値も改善して良く見えたりする。問題は、公共事業をすると元利返済だけでなく維持費が増えることだ。そっちの運転資金を長期的に払う見込みがないと、投資によって生活苦を招くことになる。そこが不安なのだろう。
この点は、上尾以外の地場産業が弱い、少子高齢化が進むベッタウン自治体の共通点だと思う。
そこを脱するには、法人誘致という産業政策しか無い。公共事業よりも(他人のカネである)民間投資を呼び込む方が賢いのだが、最近の日本GLP進出みたいにどうにも運任せである・・・。
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コメント
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幻の図書館のような箱物を建設すれば、1人当たりの金額がアップするなら、上がらなくてもいい。
他人まかせは市政の得意技。過去の不祥事をお抱え弁護士におまかせして済ますつもりだろう。
数年後、同様の不祥事が起きないことを祈るのみ。
鎌倉市役所は職員が病むことで知られている。明石市もすごそうだが・・・。
我が町はどのくらいストレスあるのだろうか。
投稿: 職員のレベル向上に期待 | 2022年2月16日 (水) 06時45分