プーチンのウクライナ戦争-1
今、ベレンスキー大統領は世界中に向かって支援を訴えている。国連軍が編成されるわけでもなく、NATO軍もこない。それはプーチンが核をチラつかせるからだ。通常兵器だけの正規軍の戦いならば兵器の能力差でNATOか米国がロシア軍を退けただろう。
しかし兵を出せないのだから、ベレンスキー大統領のホンネは、同情するなら武器をくれなのだろう。何しろ被害妄想狂から侵略されたのだから話が通じない。有利な交渉条件になるまで戦うしかないという決断だ。
しかし、日本は出兵も武器輸出も出来ない。
美人が多いことで有名、と言う通俗的な理解しか無かったが、避難している人々の防寒具を見ると雪は無くても相当寒そう。底冷えする地下壕で何週間も過ごすなんて信じがたいが、現実である。そうした遠くの戦争を、連日テレビで接していると、「消費」している感じになって気が重い。たぶんそう思う日本人が多いだろう。
先日、深夜にM7.3の大揺れが東日本を襲ったが、翌日は普段通りの静かな夜だった。改めて、戦争はどちらかが殺されるまでやり続けるのだから天災より怖い。
ヨーロッパ地図へ日本を重ねたのが上図(クリック拡大)。緯度の位置はやや粗っぽい。それでも北海道どころではない。凍土がゆるむと戦車部隊が進めないというので、冬季オリンピックが無ければもっと早く侵略したのだろう。
ヨーロッパが小さく分割されているためか日本列島がやけに大きく見える。次図で重ねると、モスクワとキエフの距離は意外と近い。

国境線と言う見えない線で地べたが通じている所で、過去から戦争をしてきた歴史があると、互いに疑心暗鬼になるのだろう。だから海に囲まれた日本人の安全保障認識などは、まったく通用しないから軽々には言えないと思う。日本列島は相当ヤバい地殻構造の上に海面に突き出しているけれど、この点は長所である。
で、モスクワとキエフは札幌と金沢みたいな日帰りできそうな距離である。こんな近い所に、NATOのミサイルや核が置かれたらトンデモナイとプーチンは怒ったのだろう。
1962年にキューバ危機があった。子供心にも覚えている事件だ。キューバにソ連が核ミサイル基地を密かに建設中だったのをアメリカの偵察機が発見した。ケネディ大統領が怒って、ソ連船への海上封鎖をし、それを突破するか否かで米ソ核戦争の瀬戸際だった。当時のソ連にはICBMは無かったので一番近くの攻撃拠点の積りだったようだ。
今回、ウクライナにはそんな基地は無いのだから、プーチンは被害妄想としかい言いようがないが、そこまで追い詰めたのは冷戦終了後の西側である、と言う外交的な見方も捨てがたい。
しかし、ロシアを嫌って旧ソ連邦の国々は離れた。嫌われているのだから仕方ない。尊敬されたり好かれるようにすれば、親戚のままだったり友達でいられたのに、それが出来なかった。
先日、ウクライナの女性が現地からのネットインタビューで、『初めは怖かった。今は、怒りと憎しみに変わった』と語っていた。これから何世代も憎悪感が受け継がれるだろう。それが、なかなか消えないことを日本人は知っている。
下はツイッターより。
There's an updated version now pic.twitter.com/UmhCGU5StD
— Jędrzej Tomczak (@JedrzejTomczak) March 17, 2022
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上司が退職後、始めたブログが10年以上継続している。
現役時、思想的な面を感じることはあったが、思想・宗教の話は避けるものです。
今堂々と自説を発表できる場ができ、元気そうだ。
ところで、この種の話題こそ別の視点が出てきそうだが、世界史の知識が必要。
貴ブログに下手に絡む市民はでないでしょう。
駿台の世界史の元講師、関真興(実家はお寺)の著作をたまに読みます。
社会(共産)主義は資本主義の負の面を解消できる理想形だった。
独裁者、スターリンを評価する別の視点を持つ歴史研究者も少なくないとのこと。
東欧、バルカン半島、トルコ付近の近現代史の知識は、ロシアの暴挙の理由を
考えるためには必要でしょう。YouTubeで「暇人・・・」とかいう人が読書苦手な人
向けに古代世界から現代史までいろいろ投稿していて、結構面白い。
油断したら責められる。これが、陸続きの国家の脅威です。
プーチンは前職からして疑心暗鬼になるのは当然だと思います。
投稿: 本好き | 2022年3月19日 (土) 10時07分