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2022年5月の8件の記事

2022年5月25日 (水)

首都直下地震の埼玉県震度を地形分類図で予想

1都3県、首都圏の震度分布は…

前記事 地形分類で選ぼう住宅立地  追記 上尾市ハザードマップの予測(文末)

東京都防災会議から、首都直下地震等による東京の被害想定 報告書がでた。詳しくは各報道参照へ

耳タコだが、発生確率は今後30年間で約70%。いつ起きてもおかしくない。複数パターンのうちの最悪ケースの震度分布図が目を引いた。いつも東京都の絵しか見せないのだ… ( ゚Д゚)

都県境で地震波が止まるわけでは無いから、せっかくのデータで埼玉県・神奈川県・千葉県境まで描いて欲しい。それが共助って言うものだろう。大野知事は百合子さんに頼まないから、前記事で使った国土地理院・地形分類(自然地形)の地図と比べてみた。クリック拡大

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右の自然地形の水色は低地である。その地形解説は、

・土地の成り立ち・・・河川や海の流れによって運ばれた砂礫や泥が堆積してできた平坦地。または、その流れの侵食によってできた平坦地。

・自然災害リスク・・・河川氾濫、高潮、液状化に注意。地震時に揺れやすい

こうみると、埼玉県南部で都境の自治体は震度6強、そしてオレンジ色(台地・段丘)は6弱かなと思う。
所で、地理院地図のズームレベルを拡大すると更に細分化され、江東区や湾岸部は旧水部と定義される。

・土地の成り立ち・・・江戸時代または明治期から調査時までの間に海や湖、池・貯水池であり、過去の地形図などから水部であったと確認できる土地。その後の土砂の堆積や土木工事により陸地になったところ。

・自然災害リスク・・・地盤が軟弱で、液状化のリスクが大きい。沿岸部では高潮に注意。


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●その後、朝日新聞をみたら首都直下地震の被害想定ページに首都圏の震度分布があった。これだと埼玉県も分かるが、今回データとの違いは分からない。上尾市は震度6弱だ。

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上尾市ハザードマップに埼玉県の震度予想図がある。発生確率が一番高い70%の東京湾北部や茨木県南部のケースでは最大震度6弱になる。なお今回の都発表の想定例と下の東京湾北部地震とは微妙に違うものと思う。
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●東京都の今回発表で注目された災害シナリオ
こっちの方が重要だがどこまで浸透するか。詳細はこちらのP10~13
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2022年5月24日 (火)

上尾市の標高図-地形分類で選ぼう住宅立地

地形分類(自然地形)でみると

 昔、液状化しやすい場所を自治体が公開したらクレームをつける住民がいた。自分の土地の資産価値が下がるからだ。今は、そんなエゴは通らないどころか、地形のあらゆる情報が公開されている。外国からでも遠慮なく見られてしまう。

 前記事で荒川の土手崩落を書いたのは、写真をもらったためもあるが、以前に国土地理院地形分類(自然地形) を見ていたためでもある。下図は首都圏の地形分類である(クリック拡大)。

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 オレンジ部は台地・段丘を、水色低地を、黄緑色丘陵・小起伏地を示す。クリックするとその土地の「成り立ち」と「災害リスク」が表示される。台地の場合は下記となる。

  • 土地の成り立ち…周囲より階段状に高くなった平坦な土地。周囲が侵食により削られて取り残されてできる。
  • 自然災害リスク…河川氾濫のリスクはほとんどないが、河川との高さが小さい場合には注意。縁辺部の斜面近くでは崖崩れに注意。地盤は良く、地震の揺れや液状化のリスクは小さい。

 上図を眺めると、鴻巣市~さいたま市への旧中山道沿い台地となっていて、周りが水色(低地)なので中州みたいに見える。なお、この図は転入促進のPRに都合が良いので、ぜひ引用すべきだろう。

 地形分類の地図はこちら

 上の広範囲な絵では細部が分からないのでズーム拡大をして住居表示レベルにすると、色(分類)がさらに細かくなる。マイホームの立地選択にはこちらが重要だ。例えば、下図の蓮田市寄りでは氾濫平野の中にあり、周囲よりもわずかに低い土地」という後背低地・湿地があったりする。でも、そんなの構わずに宅地開発が進んでいる・・・。

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 自分の家を見た後で、実家の場所を見てみた。長野市の扇状地の中にある自然堤防という分類だったので、なるほどネと思った。昔々の人は少しでも高い所に棲みついたのだ。

 上尾市の標高図を作った 

 自分で色区分や標高区分を設定してオリジナルの標高図を描ける。上尾市用に作ったのが次、区分は自動設定を使った。もう専門家はイラね\(^o^)/



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  なお上尾駅前の標高は16mくらいだが、浦和駅は東口で13m、川口駅だと3mになり、東京駅も3m位だ。でも新宿駅だと37mと高かったりするので、周囲との相対的な高さ関係も重要だろう。

●こちらで実描写へリンク

 

 ところで、国防問題が避けて通れない時代になったきた。

 日本を負かすのに核攻撃は必要ない。首都圏の堤防を壊すだけで下町のゼロメートル地帯や地下鉄が水没し東京は大混乱だろう。それなら三狭ダム破壊だとしても不思議はないが、それがブラックジョークで済まない。自然よりも怖い人間だ。

 

 

 

 

2022年5月22日 (日)

平方の荒川土手の基礎地盤崩落と疑問点

雨季に間に合うかな土手の修復とその先にある無堤防区間

追記 6/26  崩落分は取り除かれたと地域の人から連絡。


21.9/21・17時頃、上尾市平方にある荒川沿いゴルフクラブ前で基礎地盤の崩落が起きた。

写真はメル友から寄せられたもので、今の復旧工事中のもの。

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 実は、写真をもらうまで知らなかった。人的被害が無かったので報道は小さかったかもしれないが、上尾市サイトを探してもこれしかない現場写真よりも市長の姿を優先するのは、市道じゃないから、やる気崩落だよね( ゚Д゚)。

さて、前記事の上尾道路の航空写真みたいにGoogleマップは頻繁に更新される例もあるので、ひょっとしてと見に行ったら見事な衛星写真(下図)があった。直後でブルーシートのままだ。

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 担当の国交省・関東地方整備局の荒川上流河川事務所のサイトには地元説明会詳しい配布資料が公開されているが、分かりやすいのは2/9の復旧状況(4)の文書だ。施工長は160mとある。

腑に落ちない原因説明 

 本件資料がたくさん有るが、原因について気になる点があった。第一報には「・・・において、基礎地盤崩落が発生しました。それに伴い施工中の小堤の土砂が崩落し作業に使用した無人の重機が河川内へ転落しました。・・・人身事故はありません。後日原因究明を」とある。

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 その後の地元説明会の文書では、原因として『①追加地質調査の結果、崩落した箇所では、基礎地盤の氾濫平野(堆積土)が洪積層の斜面に形成されていることが確認されたため、鋼矢板等を用いた低水護岸を整備します』とある。

地盤のもろさなのは分かるが、なぜ重機がそこに置いてあったのか。

さも自然崩落と言いたいのだろうが、文章が論理的ではない感じがするわけ。何かの工事をしていたのは明らかだから、人的被害が無いと曖昧みたいね。つまり事前予知できたか否かだ・・・

 はよ、雨季までに完成してね。

それと無堤防区間はまだ先になりそうだし、下の記事にも書いたけど、近辺の市街化区域を見直すべきでは(反対多数だろうけど)。

荒川氾濫を伝える一枚の写真_上尾市台風19号



 

 

 

 

2022年5月21日 (土)

ランドポート上尾I・II、上尾道路に集まる物流倉庫

5大倉庫で、延べ床面積35万㎡が誕生する物流基地の街上尾

追記 8/15記事: 領家のゴルフ練習場跡地Landcube上尾 で6件・38万㎡へ


 近年、上尾道路沿いにロジスクエア上尾、アマゾン上尾、今回取り上げるランドポート上尾Ⅰ・Ⅱが続々と誕生した。そこへ24年に愛宕の日本GLP上尾(105千㎡)が加わると、総床面積は約35万㎡になる。この広さはUDトラックスの敷地面積並だ

※ 同社敷地は46万㎡で市内最大だが、35万とは下地図のひし形の広さに近いという意味。クリック拡大。

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野村のランドポート上尾1・2

野村不動産がデベロッパーとして作った物流施設二つが相次いで完成した。Landport上尾Iが3月、Landport上尾IIが5/18日に稼働し、すでに満床という。プレスリリースによると、近年の新型コロナの感染拡大に伴うEC需要増加による物流ニーズを受けてとある。

サイト先→ Landport上尾Ⅰ Landport上尾Ⅱ
所在地 埼玉県上尾市堤崎362-1 埼玉県上尾市堤崎420-1
形状 スロープ型 シングルランプ型
構造 鉄骨造・耐震・4階建て RC+S造 耐震/地上4階建
敷地面積 29,053.62㎡(8,788.72坪) 31,221.23㎡(9,444.42坪)
延床 56,884.42㎡(17,207.53坪) 76,750.71㎡(23,217.08坪)
竣工 2021年11月 2022年5月

 上尾道路の両側に構えて役割は異なるようだが、テナント向け説明ではこうPRしている。

首都高埼玉大宮線の与野出入口より約7.5㎞、圏央道の桶川北本ICより約7.8㎞と都心配送と広域配送の両方に対応します。さらに、国道16・17号などの主要な幹線道路にも近接しており目的地に応じた走行ルートの選択が可能です。 野村不動産/Landport上尾で危険物倉庫&空調付き区画募集中

また、上尾IIの方はフロア毎に異なるカテゴリーを想定し、温度帯保管など幅広いニーズに応える設計を実現。その結果、EC系、医療機器系、出版/書籍系 など多業種が入居するようだ。

ロジスクエア上尾 

 さらにアリオ上尾方面へ行くと、ロジスクエア上尾(株CRE)という倉庫が2019年春に稼働している。敷地12,700㎡に地上3階建て、延床面積19,520㎡(5,900坪)である。

 実は、上尾に進出する物流基地はテナントに向けて同じPRをしている。上記の幹線網との立地環境だけでなく、上尾駅へのアクセス性が高く、近隣に住宅街を控えており雇用確保に優位性があると言うものだ。当節の人手不足の深刻さが背景にあり、県北部と違うロケーションの強みになっている。

 その先に少し行くと、去年、トヨタカローラ埼玉株式会社(TCS)が移転してきた(年商324億円/2021)。隣には、一足先の2017年頃、トヨタモビリティパーツ(株)埼玉支社ができている。こちらは部品卸業なので倉庫を構えている。

 ちょうど前日、オープニングスタッフ募集のチラシが入っていた。S梱包会社による大型物流倉庫でのピッキング作業等とあり、短期で日給15106円、時給1350円で深夜なら1688円とある。昼間の長期だと日給9600円、週二日からOKとある。しかし、勤務地は上尾道路沿い新施設とあるだけでどこで働くのか不明だ。こうしたマルチテナント施設では働き手の奪い合いが起きないように、他社を刺激しないためかもしれない。

 募集チラシは良い事ずくめしか書いてないが、それでも昼間フルタイムの22日で21万円が限界であるように、変動費型の人材募集である。正社員募集は少ないのだろう。ちなみに、Googleマップの口コミを読むとネガティブ投稿が多い(もちろん真偽不明だ)。

 こうして、久しぶりにこの界隈のグーグルマップを見ていたら、宅地開発が進んでいることに驚いた。上尾駅や大宮駅に向かうよりは、マイカーで近郊職場に通える人向けなのだろうか。

 上尾市の人口が横ばいか微増で済んでいるのは市政によるものではなく、立地特性によるものだ。そして人口は遅かれ早かれ減少に転じるから、こうした幹線道路計画がもたらす企業進出は福音である。桶川も高速道路の関係で倉庫や企業進出が増えており、巨大人口を抱える県南の周縁市として生き残れれば良いと思う。

 ただ気がかりは景気の行方だ。

 歴史的な景気拡大を続けてきたアメリカが歴史的な物価上昇と金利高により景気後退になるかもというリスクが生まれてきた。中国経済も減速中なので、そうなると日本への影響は大きい。

 関連

歓迎。アマゾン上尾FC。上尾にできる巨大施設-1

横浜ゴム跡地へ日本GLPが230億円で大型物流施設

 

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2022年5月18日 (水)

4630万円騒動が伝えない日本の凋落ぶり

阿武町も男も、あぶはち取らず (>_<) 

 名前も顔写真も公開されており、全国の同姓同名の田口さんには大迷惑である。臨時特別給付金は住民税非課税世帯に十万円なので山口県阿武町(あぶちょう)では463世帯ということだ。

町長は残りの462世帯へ、『もう配れません。彼の口座にあるよ』と言えば、皆が彼の家へ押しかけて無事回収だったかも( ゚Д゚)。

つまり、伝えられる話は、「しょせんは税金だから」という緊張感のない三文芝居になっている。

本件は、お役所の入力ミスだけではなく、受取人が不埒な人間だった、と言う二つの低い発生確率が重なったことにより表ざたになったと思う。

そこで、思い出すのは、昔、みずほ証券のジェイコム株の誤発注事件

61万円を1」と入れた大損事件である。今回の役人もお粗末なのだが、株の誤発注事件では入力後の警告メッセージを無視して実行したらしいので、ヒューマンエラーは0にできない。と言って、いい歳した役人二人で読合せ入力なんてバカな仕事をする自治体が増えるのも恐ろしい(残業代が簡単に出ない自治体だとサービス残業かも)。

どうも、本件の核心は男の方にあると思う。

家族のあり様が衰弱している日本では、このような人が増えていると思う。想像になるが、若くて、一人暮らしで、ネット漬けだったりすると、社会規範が希薄化すると思う。独りでも便利に過ごしやすい当節の時代が、このような人の発生確率を高めているように思える。

結局、阿武町は人口増を狙う定住促進で男を招いた。その男は、ギャンブルで稼いで元金を返すつもりなのか知らないが、町も男も「あぶはち取らず」になっている。 

 で、ここまでが前置き・・・

この男は、町の空き家を活用し定住促進を図る制度で移住してきた。つまり、町民税を払えない人であっても公的負担をして招いている。それは、地方交付税の算出因子に人口が影響するので、「人口」という数字に拘る行政の姿である。でも、これって官製版の「○○ビジネス」みたいだ。

そして重要なのは、非課税世帯数の多さを見れば地方から確実に貧しくなっているという姿である。

実は阿武町サイトはずーつと閲覧できないので総世帯数を概算1500とした(人口は2952人)。また、生活保護世帯はH25年の古いデータで14世帯だった(地方は少ない)。つまり、全世帯の31%は住民税を納めていないという担税力の無い地方の姿である。

前にも書いたが、全国には 市の住民税<市役所の人件費 という市が60もある。町まで含めるともっと多い。自治体というけど、「自治」力はない。

上尾市の非課税は21200世帯、全体の20% 

現段階で、住民税非課税世帯数は約21200世帯ある。具体的には住民税の所得割が0、均等割りが0という世帯のことだ。なお、同世帯の中の一人でも納付していると該当しない。

住民税0円とは給与年収でみると、単身者96.5万円、妻と子供2人で233万円、年金だと65歳以上の単身者152万円以下のことである。(住民税のしおりP7より)

上記とは別に、くらし支援給付金という市独自の給付がある(良いことなのか否かは分からないが)。

これは均等割り5000円のみ納めた世帯に5万円給付するもので、対象は3300世帯。そもそも「均等割り」はみんな納めているものとばかり思っていたが、そうでは無かいことを本件で知った・・・

無税と言う点では他に、生活保護世帯が1829世帯・2344人(2020/3月末)いる。最近増えている。

総世帯数105,469(22/1/1)を使うと、住民税非課税世帯は20.1%、均等割り0世帯は3.1%生活保護世帯は1.7%となり、合計25%である。

この非課税世帯比率が全自治体別に開示されると良いと思うが、今のところ集約する機関はなさそうだ。ただし、この事業により今まで見えなかったものが明るみになったと言えよう。と言って、日本人に危機感が有るわけでは無い・・・国債刷ればいいだろう。日銀は子会社だし・・・

当面は、「自治体名 非課税世帯数」で検索する。

春日部市は22.7%だった。

 

 

 

2022年5月16日 (月)

専守防衛というハンディキャプ戦争-4

前記事のつづき(ゼレンスキー大統領)

プーチンは大将戦でも負けた

 四月半ば、プーチンはキエフ攻略を諦めて東・南部へ戦力集中を命じたが戦果はでていない。よって、戦勝記念日の演説は西側が騒いだほどの内容は無かった。むしろ驚いたのは、同日のブレジンスキー大統領の演説ビデオの方だった。

支持者に囲まれるでも無く、ひっそりとしたキーウ市内を独りで歩きながら演説していた。足もとに目をやるでもなく、周囲を見るでもなく、ずーっとカメラ目線で歩いて演説した

よく事件現場で、テレビレポーターが歩きながら中継することがあるが、数十秒ほどだったり、視線は現場の方を向いたするものだ。(編集が入っていたとしても)なかなか真似のできないプレゼンであり、この日もリーダー像としてはプーチンの負けだ、と思った。

●ウクライナ軍は兵力が少ないのが弱点

先日、第二の都市ハリキウ(ハリコフ)周辺からロシア軍を追い出したらしい。ウ軍はキーウ防衛戦で勝ち、ロシアが兵を引いたことで、主力部隊をハリキウに集中させた効果だろう。ロ軍は東部と南部にまで戦線を広く展開しているが、ウ軍はそこまで対峙できないから東と南の奪還はゆっくりだ。

マリウポリの製鉄所地下に籠城するアゾフ隊をいつまでも救援できないのは兵力不足のためだろう。一方、ロ軍の作戦の混乱や士気の低さとか命令無視は前から伝えられている。そこで、気になったのは、

●ロシア軍の死者は貧しい地方から来た若者

BBCニュース・ロシア語が伝えるロシア死亡兵の属性分析だ。公式発表や地元メディア報道、SNS、ロシア軍人の親族への聞き取りをもとに2336人の死亡を確認し、名前や階級、所属部隊も分かったという。人数はロ国防省の3月発表の2倍という。

通信面の問題があるためか約二割が将校だという。犠牲者の25%は偵察や襲撃に投入される空挺部隊であった。そして、死者の多くはロシア国内で経済が困窮する地域の出身者であり、モスクワはロシア人口の9%を占めるが、同市出身の死亡は3人しかいないという。つまり、弾の当たる最前線に行くのは貧しい地方出身者というわけだ。

 貧しさと無知が戦争の燃料になり、暖をとるのは都市の人間や既得権益者というのは昔から変わらないが、肝心のモスクワ市民がそれに気づくまでは戦争は終わらないだろう。帰還する棺が増えるのをみてロシア国内から厭戦気分が生まれるしかない、と思っていたら、日曜の毎日新聞Webにトンデモナイ記事がでた。

 ロシアで「クーデター計画進行中」というがソースはウクライナ諜報機関だ。丸でスポーツ新聞並である。

●違和感の多い戦争に見えた理由とは

宣戦布告の無い『戦争』になっている。プーチンが「特別軍事作戦」という名称に拘るのは国内向けだけではなく、戦争じゃないから宣戦布告は必要ないし、戦争犯罪にも該当しないというレトリックなのだろう。

この戦争を見ていて一番、奇異なのは、ロシアはウクライナ領土を好き放題に破壊できるが、ウクライナ軍はロシア領土へ攻め込めないことだ。理由の一つはウクライナはロシアが嫌いでも戦争を仕掛けたいわけでは無いという基本姿勢がある。そしてもう一つは、侵攻したらロシアに核を使う口実を与えてしまうためだ。

この自国領土内でのみ闘うスタイルが専守防衛なのだと、元自衛隊トップが開戦以来語っていた。先日も別な元幹部が語っていた。相手の兵站基地を叩けないから、

ロシアは本土がやられないから何波でも攻めてくる(TBS・BS)

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つまり戦況がロシアに傾けば、キエフを再び攻めることになる。

陸続きの戦争と核の有無という面があるが、専守防衛とはまさしくハンディキャップ戦争である。だから核を使わせないで勝つ方法しかないという難しい戦い方になる。きっと、長期戦に持ち込むしかないのだろう。一気にウ軍が勝とうとするとプーチンに核使用の動機を与えるかもしれない。その辺りは、アメリカが日々観測と分析をしているハズだ。

そして日本は、今まで想定していた専守防衛の本当の姿を見せつけられ、アップデートすべき「現実」に来たのかもしれない。その第一段階が参院選になる。

いよいよ議論を避けるのが通用しなくなってきた。上記の番組は質の高い内容でYouTubeにもある。

つづく

 

2022年5月13日 (金)

久喜市が通年議会へ。埼玉県内で初

テレ玉ニュースより

久喜市は、これまで年に4回開いていた市議会の定例会を廃止して、必要に応じて招集する年1回の通年議会として、5月16日から開催します。通年議会の導入は県内では初めてだということです。

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久喜市HPの説明 によると、実際は、6月、9月、11月、2月に現在とほぼ同様の日程で定例会議を開くとある。

通年議会の主なメリット   

市サイトから要約すると、臨機応変な議会運営ができるようだ・・・。


1.いつでも会議を開けるため、より慎重な議案審議や、専門的な調査を行える
2.委員会を必要に応じて開催でき、調査研究活動や議員間の討議の活発化
3.市政への監視機能や政策立案の機能の強化
4.市長や議員が必要に応じて、議案を提出できる
5.市長の提出議案などを年間を通して審議できるため、市長の専決処分を必要最小限に抑制できる


ところで上写真、上尾市市議会と比べたら質素な議場だ。たぶん建物の豪華さとアウトプットには相関関係は無いと思う。さて、昔調べた記事だが・・・

上尾市議会の年間会期日数と議員の時給

2016年だと、(休日含む)会期日数は86日間で、そのうち本会議日数31日、委員会日数21日だった。

つまり本会議は年間30日程度だ。その本会議や委員会に欠席しても何のペナルティもない(昔、他市で全休議員がいて全給もらっていた事がある)。

上尾でも、アノ悪名議長は、副議長に司会進行役を任せた時は、議席に居ることはなく休んでいた。

地方議員の中には、議会が無い時は家業や農作業(田舎だと多い)に勤しんでいる人が多そうだ。そんな人は、稼業の片手間に議会へ行っている感じだ。だから、稼業を持たない議員は何をしているのか不思議だ。多分目立たないように生活しているのだろうか。

政党議員の場合は、政党の仕事と他自治体の党候補者への選挙応援が欠かせない。議員の一番の仕事が選挙になっているとしたら目的と手段があべこべだ。

 

 

 

2022年5月 6日 (金)

プーチンの侵略戦争-3、ゼレンスキー大統領

3/24日の侵攻以来、二か月がたった。そして戦争は第三段階へと進むらしい。

当初、キエフまで巡航ミサイルで攻撃された時、30年前の湾岸戦争を思い出した。米軍の精密誘導ミサイルがピンポイント爆破する映像である。軍事大国ロシアの前では、可哀想だが「もたない」なと思った

しかし、ウクライナはよく耐えて反撃に転じている。凄いことだと思う。

1~2月に、バイデン大統領がロシアの侵攻を度々警告していたのは、ロシアへの牽制だと思っていた。そして2/18日は、『数日以内にウクライナに侵攻する計画があり、首都・キエフも攻撃対象になる』と言い切った。

しかし、周辺国はおろか当のゼレンスキー大統領さえ『そんな兆候はない』と否定した。実際、ミサイルが撃ち込まれてから国民が慌てて列車や車で逃げる光景からも、「キエフまで攻めてくるわけない」と思っていたようだ。

米・英の情報能力の高さが際立っていることがこの戦争の特徴になっている。それをインテリジェンスと言うことも今回よく報道されている。しかし、最高のインテリジェンスを持ってしても、ウクライナ軍の健闘と弱っちいロシア軍の実態は想定外だったわけだ。本当の戦争と机上演習では大違いなのだろう。

なお、在ウクライナの中国人の保護方針が、初めは「中国旗を掲げて退避」という案内から後に「中国人と分からないように」と混乱していたことから、中国ですら侵攻を予測していなかった。

 以前は、プーチンのネライはウクライナのNATO入り阻止と思っていた。しかし、地図を見ると加盟済みバルト三国からでもモスクワへの距離には大差ない。その後の交渉からもNATO加盟反対が大きな目的でないことは分かった。

ソ連邦から解放された各国は経済的に豊かになりたいからECへ加盟し、威張るロシアが怖いからNATOに加盟したかったと思う。つまり、EUやNATO加盟は結果であり、そこへなびく原動力が「自由と民主主義」の浸透なのだと思う。つまり、このままでは民主主義という感染症が東欧だけでなく、ロシア内にまで及ぶことを恐れた、というのが真の理由ではと思っている。

「ロシア帝国の復活」とか「ウクライナは元々ロシアのモノ」みたいな歴史観による理由は国内向けだと思う。ただし前提として、ウ軍は弱く(クリミア併合時は一日で退却)、ロ軍は強いという判断がある。

以前から、バイデン大統領が現在の国際情勢を「民主主義対専制主義」という捉え方をしていて、二極対立にして大袈裟過ぎる気もしていたが、ロシアの侵略戦争によりその納得感は増した。

 地図の上ではロシアはウクライナの領土分割で占有したいのだろう。そして残った西部を破壊尽くして西側に渡してやるという腹積もりだろう。ウクライナ被害額70兆円なんて知った事か、というわけだ。国土が破壊される姿を西側へ逃げた裏切り国に見せつけたいのだろう。

 しかし、そうならないことが戦況から見えている。アメリカは当初、キエフ陥落を予想していたが、今はロシアの弱体化を望む、と踏み込んだ発言をする。

チャップリンがチャーチルに変貌した。

 ゼレンスキー氏が大統領に当選した時、ウクライナの緊迫した政治情勢よりも喜劇役者と言うことの方が大きく伝えられた。当時、トランプみたいな衆寓政治家が真っ盛りの頃だったから、良い印象は持たなかったものだ。

 しかし、吉本のお笑いタレントを連想してはイケなかった。

 就任後は新ロシア的振舞をして支持率は30%に低迷していたが、ロシア侵攻で一気に急上昇した。数度の暗殺計画まであったらしく、アメリカは国外逃避を勧め、海外に臨時政府の話もあったが、彼は国内に留まりネットを駆使して徹底抗戦を訴えた。半年前のアフガンでガニ大統領が逃げ出したのとはえらい違いだ。

 更に、巧みな言葉で語る能力も優れる。各国議会への演説をしていた頃、『チャップリンがウィンストン・チャーチルに変貌した』という比喩で、WW2におけるヨーロッパの偉人と肩を並べられた。『ヨーロッパの英雄になる』と言う人もいたが、軍事力の差を見れば「悲劇の英雄だろう」と思っていたのだが・・・、本当の英雄になりそうだ。

 それ位、国境線が地続きの欧州では他人事では済まない危機感があるのだろう。その辺りは、海に囲まれ支配された歴史が希薄な日本人には理解できない。だから無責任な事を言う人もいる。国民の犠牲を増やさないで「はやく降参すべき」という意見は、命を優先した穏当な意見ではあるが、命よりも大事なものがある、と思って戦わざるを得ない人には、冷たい言葉だろう。

 彼らは、『同情するなら武器をくれ』と言っている。

 アメリカは日本を占領したが、反米的な日本人を国外へ連れ出し、代わりに自国民を入植させたりはしなかった。ソ連は平気にシベリア抑留をして働かせたように、おそロシアはタダのシャレではない。

つづく

 

 

 

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