« スマホから道路等損傷通報システムを使った事例 | トップページ | 上尾市江川の汚染問題_領家工業団地 »

2022年6月14日 (火)

日本がウクライナになる日

夜郎自大の帝国マインドとは言い得て妙だ!

河東哲夫 著・元在ロシア大使、CCCメディアハウス 

Photo_20220614174001ロシアを見てきた元外交官がプーチンの侵略戦争と日本の今後を多面的に解説した本。データで説く本では無く、豊富な外交官キャリアを元に語る感じ。読みやすいが、急いで書き下ろした感もある。

 日本はロシアと領土問題を抱えているが、この戦争からは地理的にも遠いため、国内報道は外電の孫引きが多い。そしてリアリティにも欠ける。そこで、日本語サイトではニューズウィーク日本版を見ることがある。最大の影響国アメリカの専門家の意見は多様な見方の一つとして意味がある。元CIA分析官の寄稿もあったりする。

 本書は同誌のコラムニスト・河東哲夫氏によるものだ。日本向けは最終章「日本をウクライナにしないために」が提言となる。つまり、タイトルとは真逆である。これは出版社の「売らんかな」の危機感商法だろう。

 ------

 著者は、ロシアを夜郎自大の帝国マインドを持つと批判する!

 ロシアはアメリカと同格であらねばという考えが強く、その根拠にはアメリカを破壊できる ICBM をたくさん持っているからだという(約6000発)。この戦争はロシアが帝国復活を作して失敗するという崩壊のダメ押しになりかねない。アメリカは、ウクライナが弱ければ東西の緩衝地帯で良しとし、もしウクライナが強ければバイデンは強気に出ると指摘する。

 ロシアはアメリカも今まで武力侵攻してきたと言うが、アメリカは他者の権利を守るために介入する例が多く、ロシアは自分の利益のために侵攻する。だから多くの国がアメリカを支持するが、ロシアの侵攻を支持する国は少ないという。

 中国のことも書いている。中国が台湾を制圧すると、在日米軍基地を脅かせるから、金がかかってもアメリカは基地を日本以外へ移すだろう。だから、日本は自主防衛のための防衛力を整備することは当たり前だと説く。

 その中国を、自他共に過大評価の国だと指摘するが、その点はやや違和感がある。ロシアは軍事力で他国を脅かすだけで経済支援ができないから嫌われる。一方、中国は経済力で他国を懐柔して軍事基地化する。汚いけれど後進国には巧みなのだ。中国の技術はまだ西側の模倣でも、東洋人には努力気質があるから、いずれ西側に追いつく分野が増える。さらに、ロシアよりも国内の情報統制は強固である。

 日本については、連日の戦争報道により日本の呑気な時代は終わったから憲法改正・核武装などの安全保障を現実問題として考えろ、と言うのも文切り型で思考停止だと書く。先ずはタブーを取り外して考えろと説く。例えば同盟関係では、有事に仲間を助けるという義務に背くとその国は世界史に残るほど信用を失うが、トランプのような内向き人間が出てくれば、日米同盟で必ず日本を守ってくれるというわけではない、と警告する。

  • 核武装をどうするか

北朝鮮、中国、ロシアの核ミサイルを抑止する方法の議論が必要であり、非核三原則を「見ざる聞かざる言わざる」と同じだと嘆き、法律ではないから変更可能だと言う。しかし、幾つかの理由をあげて日本は核兵器を作れないし、アメリカも認めないという。

ならば次は核シェアリング検討となるが、米軍の核を国内に置くことを国会で決めても、地方自治体が大反対するから無人島に置くぐらいだろう。或いは、アメリカ原潜の核ミサイルの共同使用も複雑な話になるので無理という。

結局、日本が核武装できるシナリオは思いつかないと書く。

だから、相手国が核を使う脅しをかけてきても気にしないガッツを持つか、相手のミサイルを確実に落とすレーザー兵器などを開発するしか選択肢はないだろうと・・・この辺りは物足りない話になっている。

また、日本人の安全保障観はひどく捻れている、戦争反対と叫んでいれば人間としての義務を果たしたような気分でいるのだろうと批判するが、一つ同意できるのは、「日本人には軍事についての基本的な感覚がない」という指摘だ。だからこの機会に防衛のイロハの学習をすべきと言う。確かに、核にせよ防衛方法にせよ、議論してはいけないというのも思考停止である。

著者のコラムはこちら。外交官の万華鏡

親ロシアあるいは宥和的な人

 いろんな専門家がいるものだが、日本にも親ロシア的な態度をとる人が少なからずいる。参議員の鈴木宗男氏は有名。元外交官の東郷和彦氏もたまにテレビにでるが、彼の場合は口下手なために意味不明だ。

 嫌ロシアばかりになるのは危険なので宥和的な人も必要だが、ホンネが既得権益だったりすることもあるから、ロシアで飯を食っている人には要注意だ。

でも、この間に一番呆れたのは安倍晋三である。27回もプーチンと会って飯を食いながら成果は無かった。今更、「プーチンは力の信奉者」だと批判して、防衛費拡大や核共有を現職総理へ口出ししている。どうにも便乗商法的で、そのずるさは相変わらずだなと思う。

27回も会談した理由は単純だ。首脳会談の場合はNHKや新聞が毎回トップニュース扱いするからだ。ニコニコと会談する姿を、「やってます感」満々に宣伝される。NHKは岩田とか言う女性記者が提灯解説をするわけで、まさに、「プロバガンダに騙されるな」である(本書の帯)。

文春 プーチンに媚びた面々 安倍、森、鈴木、鳩山

前記事 ウクライナ報道と防衛研・高橋杉雄氏

 

 

« スマホから道路等損傷通報システムを使った事例 | トップページ | 上尾市江川の汚染問題_領家工業団地 »

本・読書感想等」カテゴリの記事

戦争・安全保障」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« スマホから道路等損傷通報システムを使った事例 | トップページ | 上尾市江川の汚染問題_領家工業団地 »

上尾市政をみつめるサイト

  • 上尾オンブズマン
    市民的視座から上尾の教育行政&市政を考えよう。 (情報公開請求により市政に斬り込むサイト)
  • はるかさん_かまちょ図書館
    上尾市民として市政とりわけ図書館問題を熱く語っています。ぜひ飛んでください。 かまってちょうだいの意ね。
無料ブログはココログ