日本核武装の勧め。エマニュエル・トッド-3
日本は核を持つべきだ。
日本の核武装に関する部分の引用(文藝春秋5月号)。
当面は、日本の安全保障に日米同盟は不可欠であるが、アメリカはどこまで信頼できるのか、という疑いを拭えない以上、日本は核を持つべき。
日本が核を持つことは以前から提案してきた。
日本では核はセンシティブな問題だと認識している。フランスもそうであるように、ナショナリズムの表明でもパワーゲームでの力の誇示でもない。むしろパワーゲームの外に自らを置くことを可能にするもの。
同盟から抜け、真の自立を得るための手段である。核を持つことは国家として自立すること。核をもたないことは、他国の思想や時々の状況という偶然に身を任せることです。
日本が核を持つことは米国から自立することで、世界にとっても望ましいこと。
ウクライナ危機は歴史的な意味がある。WW2後、始めてロシアのような大国が通常戦を行ったからだ。つまり通常戦に歯止めをかける核であるはずなのに、核を持つことで通常戦が可能になった。これを受け、中国が同じような行動に出ないとも限らない。
日本で核シェアリングが議論されているが、核共有は全くナンセンスだ。核の傘も幻想だ。使えば自分の国も攻撃を受けるリスクのある核兵器は原理的に他国のためには使えないのだ。中国や北朝鮮に米国を狙える核能力があれば米国が使って日本守ることはない。
広島と長崎は、米国だけが核を持っていた時代の悲劇である。核の不均衡はそれ自体が不安定要因となる。だから日本の核保有はむしろ地域の安定化になる。日本も対ロ制裁に加わっているが。台頭する中国と を取るためには、日本はロシアを必要とするという地政学的条件に変わりはない。
ロシアが許せないとしても、米国を喜ばせるために多少の制裁に加わって、ロシアと良好な関係を持つことは日本の国益に適う。長期的に見て国益はどこにあるかを見失うな。
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日本の核武装については、「日本がウクライナになる日」で取り上げたように実現性は低い。日本人の核アレルギーは被爆国のためだが、被爆国で無かったらどうなったのか?
そこは分からない。また、アメリカの核の傘にいながら非核を唱えても海外への説得力は弱いだろう。
とりあえず、ロシアはまだ大量破壊兵器を使ってこない。その点は、欧米側の抑止力が働いていると解釈できるのかもしれない。ただ小型核であっても使ってしまうと、核の抑止力は無いということになり、世界の核戦略は一気に転換してしまう。
参考 日経ビジネスの「日本はウクライナ戦争から抜け出せ」
この記事では、日本はウクライナから遠く、かかわる必要は無い。NATO加盟国でもないから、日本が取るべき立場は、中立国ではないか、と呼び掛ける。
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