高さ10m級の堤防が平方・上尾市を守る
無堤防区間の解消は用地買収でいつになる?
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荒川沿いの水害対策についてナマ情報を投稿してくれる読者からの続報です。年末に届いた写真には、「第三調整池の掘削作業が始まっています」と添えられていました。いよいよなんですね。
浜ゴム跡地(愛宕三丁目)のGLP上尾の工事もですが、こっちはもっと壮観なので見に行きたいものです。
池の仕様は、過去記事の「効果30cm」に書きましたが、目的は下流域への水量抑制です。上尾(平方)の水害対策は、並行して進る築堤事業つまり土手造成です。
寄稿には、ちょっと気になることも書かれていましたが、当方が検証できないため(議事録でも不明)、掲載を見送ります。m(__)m。しかし、他に気付かなかった事が分かりました。
が、その前に3つを紹介。
1、台風19号(2019.10/12)の被害を受けた「川岸屋の娘」さんが去年6月に廃業を伝えました。下は被災直後のもの、この日から娘さんのツイートが始まっています。
川岸屋、避難中です。
— 川岸屋の娘 (@FX2ESamjGdzKz6j) October 13, 2019
荒川氾濫のため、しばらく休業します pic.twitter.com/5alWYHAzha
2、被害のスケール感を生々しく伝えた平方洪水写真。ソースは群馬大学教授・早川由紀夫氏の空撮と思われます。それを当ブログで紹介したのは翌年7月なのに、今でも閲覧は続き1950回を超え、上尾市が公文書に載せたものより貴重な光景です。
3、22年1月から用地交渉に入り、11月のストリートビューでは移転補償※3 により住宅解体が済んだ所も。
●これが平方地区の堤防計画の姿
以下は国交省の平方地区説明会資料より(21/12/19) クリック拡大
最終的には開平橋を境に上流と下流に高さ9m※の堤防が作られ、既にある堤防へと繋げます。これで無堤防区間が解消されます。※高さは測定起点で変わります。20/12月の資料には下流側で9mと明記。 工程は、①低水護岸、②小堤、③市道・排水工、④本堤 の順です。上流側はクラブハウスの先にある既存堤防に繋がります。河川敷と往来するための坂路や市街地の雨を荒川側に排水する樋管(ひかん)が設けられます。 本堤の敷幅は川沿いの現市道から65mほど民地へ食い込み、川岸からだと90m位です。堤防天端の幅員は7mです。長さは説明図には見当たりませんが上流側で440m位です(Gマップ上)。 たぶん、開平橋の下をくぐる感じで下流側へ繋がりますが、下流図が無いので詳細は不明。下流側に第三調整池が造られます。※2 計画エリアには、住宅以外にも医院、クラブハウス、食品工場が含まれると見ます。本堤の着手は24年予定ですが、用地交渉次第なので、完成がいつなのかは分かりません。だから、仮の「小堤」を造っています。21年には予期せぬ基礎崩落もありましたが、高さ1.5mを作って、大型土のうの設置も完了済みらしいですよ。 |
●最後に、上尾市政のダメダシ
国交省荒川上流河川事務所 のサイトはとても分かりにくく、新旧混在、中身を連想できない文書タイトルが多いです。結局、当方が見落としていただけで、20/12月には地域へ公開済みでした。
しかし、国の事業だとしても他市民に説明しないのは「お役所仕事」です。防災は市政の最重要テーマですから、荒川沿いで9mの本堤が造られようとしている姿を伝える義務があります。専門家の上尾市建設課がやるべきであり、こんな国交省へのリンクだけなら子供でもできます。その意味では、上の説明は素人の見方であり、正しさを保証していません。
当地の議員は長期休み、住民からもネット発信も見当たりません。先日、小池議員がローカルインフルエンサーを提案してましたが(こちら)、こういう役割なら必要ですね。
●夏の花火大会は?
実施前提で書くと、工事現場を市民が目にする機会は重要であり、水害対策への理解と事業のPRになります。それができるかが問われます。
独白 地方に行くと、田畑が道路計画に織り込まれると宝くじに当たったも同然です。跡取りのいない農地や敷地を先祖の地と惜しむ人もいますが、多くは耕作放棄地やタダの荒地と区別がつきません。流動性の低い土地を公共事業で買い取ってくれたら、利便性や医療アクセスの良い市街地へと転居できます。
参考
※1 荒川氾濫を伝える一枚の写真… 、荒川洪水に備える第二・第三調整池…
※2 調整池の完成イメージ
※3 国交省荒川上流河川事務所
補償金の算定 ※3より引用
(1) 土地の補償
取得する土地に対しては、『正常な取引価格』をもって補償いたします。土地価格の算定にあたっては、現地を踏査したうえで、売買実例価格、地価公示価格などを調べ、さらに不動産鑑定士による鑑定評価格を求めます。
なお、皆様からお譲りいただく土地の面積は実際に測量したものとなります。
(2) 物件等の補償
土地に建物がある場合は、その建物の配置、種類、構造、敷地の形状等に基づき通常妥当と思われる移転工法(再築工法、曳家工法、改造工法等)を決定し、その移転工法により算定された額が建物移転補償となります。また、工作物についても、建物に準じて算定し補償いたします。
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