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2023年1月10日 (火)

埼玉県 魅力ある県立高校へのパプコメ VS 茨城県

和光国際高校には反対が、秩父高校と皆野高校の統合には心配が 

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●魅力ある県立高校づくり 第2期案の県民コメント

去年7月、ローカル紙が本件のパプコメ募集を伝えた。※1 学校統廃合は反対者が熱心に応じるので、敢えて賛成の意見を出してみた。でも世間の関心は小さく党派的な反対運動の様子も無いようだ。

と言うのは、4校を2校にする1期のパブコメは54人・109件なのに、三倍の対象12校の2期は93人・7団体の211件だ。つまり1期並みなら160人来ないと釣り合わないのだ。

2期パブコメの集計結果である。

A 意見を反映 1件
B 既に案で対応済み 5件
C 案の修正はしないが参考とする 88件
D 意見を反映しない 98件、 E その他  19件

意見を不採用というD判定が半数弱。ザっとみたら教育理念的な反対よりも、統合相手がイヤというのが目立つ。が、その前に気になるAの1件はこれ…

意 見 「・・・の課題研究等」とすることを要望する。

県回答 「・・・の課題研究など」と修正しました。

 出した人も公務員なんじゃないの \(^o^)/

●提出した意見と回答 A4一枚に7件書いた。Dは無いが、Eは直接本案との関係がないためかも。

Photo_20230108232101

●和光国際高校と和光高校の統合には30件来て、反対多数

和光国際63と和光41の統合は、偏差値も校風も違い過ぎて反対(値はブログ主による)が多い。しかし、和光は新校前に閉校となるから、懸念は杞憂なのでは。

国際側は定員割れとは無縁の人気校だから、統合の名を借りた和光高校の(三年かけた)廃校策だろう。なので憂慮すべきは、当該学力層の選択肢が一つ減り、吸収できる他校の地理的分布状況となる。交通網が良いエリアなら何とかなりそう、という話かなと思った。

●秩父高校と皆野高校の統合には約50件と最多

こっちの方が深刻だ(前記事に地図)。熊谷や本庄方面に通うのは大変という意見だ。しかし、地方県ではそれは当たり前になっていると思う。故郷の長野県では78校を64校へ2割弱減らすようだ。XX県 高校 再編 整備」等で検索すれば幾らでもでる。

参考 21年の年齢人口から今の高1は108万人、去年出生は77.6万人だから▲28%。四席から一席不要へ

なお、県に対して偏差値で議論をしても暖簾に腕押し、通用しない。「偏差値で入学選抜をしてないから、偏差値での統合検討はしない」と彼らは建前で語るのだ。現実は中学の進路指導で、「この位の偏差値が無いと確率的にヤバイ」として応募段階で選別する。他の客観的モノサシが造られない限りムリなのだ。

●エリート主義でも良いという例

去年、東工大と東京医科歯科大学との統合に世間が驚いた。勝ち組大学同士がわざわざ統合するからだ。理由は、もう国内ではなく、国際的な大学競争に向けた政府指定の「国際卓越研究大学」に選ばれるためだ。攻めの統合である。

そんなの大学の話じゃないかと思われるが、身近な所でも変化がある。

茨城県の中高一貫校化と比べたら、ダさいたま

茨城県の公立高校が中高一貫校に姿を変え、その数、13校は全国最多という。以下は毎日記事※2 の要約。

しかも、県トップ高の水戸一高や土浦一高など各エリアの進学校ぞろいなのが特徴。だから中学受験の塾に通う小学生が急増したという。

一貫校化へ舵を切ったのはコロナ前。先発した一貫教育3校の人気が高く、SSH指定の高校が難関大学への合格者を増やすなどした。そんな成功例を知った保護者から、「県立一貫校の充実した教育を子どもに受けさせたいが、3校しかなく、遠くて通えない」という声が多く寄せられた。

そこで、不公平の解消として各エリアの進学校を一貫化し、相応しい学校マネジメントのために校長を外部公募した。ようするに優秀な生徒ニーズに答えており、記事では他県への流出防止とある。

例年、茨城県は「魅力度ランキングで最下位」が話題になるが、下世話な評価よりも、こうした教育改革の方が重要だと思う。保守的な土壌と思っていたが、よく実現できたと驚く。同じ魅力ある高校改革でも、埼玉県は定員割れ対策という後ろ向きである。

なお、茨城県の定員割れ高校の統廃合については知らない。学力不足の生徒への対応はパブコメに書いた。ようするに、机に一時間も向き合えない子に普通科教育を無理強いするのはムリがある。技能を優先する教育にすれば偏差値から解放される。

 

※1 東京新聞 埼玉県立高12校を6校に    埼玉新聞    

※2 毎日新聞 茨城の公立中高一貫校数、全国トップ

参考 10歳で進路が決まる?!「受験のない国」ドイツの教育事情

 

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学校の統廃合」カテゴリの記事

コメント

愛校心が高いのかな、と考えたりします。関東の他県の比べてですが。教育後進県ともいわれてたような。
県立男子校に通いました。昭和50年代です。県の共学化の検討とかで、学内アンケートしたら反対8割。
理由は伝統とか校風とか以外に勉強に集中できなくなる意見があり、教職員間でうけてました。
当時の現役進学率は推薦含め2割代。ほとんどの同級生が浪人しました。共学化したら大変です(冗談です)。

「机に一時間も向き合えない子に普通科教育を無理強いするのはムリがある。技能を優先する教育にすれば偏差値から解放される」
このご指摘、まさに同感です。おおざっぱに言えばドイツの教育システムに近いものを感じます。
ドイツの教育システムも問題があるようで、今は見直しが進んでいるようですが。
6-3-3制が今の時代に適切なのかどうかの議論も必要でしょう。
個人個人にあった適性を見出し、本人と保護者に提示し、その道に進むことを強制はしないものの、十分理解していただいて最後は当然、本人と家族に選択していただく。(これが難しいと思います)
今の社会、教育によって得られる結果、つまり高い偏差値や良い高校、大学に入るという成果を追い求めすぎだと私は思います。
もっと非認知能力をしっかりと育むことに力を入れないとあかんと、思います。

昔々ですが、私は男子校で、女子が私の学年に4人位いました。女子校がイヤ、レベルが合わないとかの理由だったとか、そんなものなのかと思った記憶があります。国立の現役は一割しかおらず、浪人が当たり前の時代です。
しかし、(県内は)共学化し、県初の理数科、SSH指定、付属中もできた、おまけに学校前駅までできちゃった。
その結果は県内三位までランクアップ。
県立でこれだけの変化はあり得ないので、特定の校長の力量かもしれません。
で、件の女子生徒の中に、飛び切りの美人がいたなーー

そう、ギムナジウムみたい。制度が違い過ぎて真似はできませんけどね
喰うためのスキルを身につけて自信を与える方が効果的と思う。

>今の社会 ・・・・高い偏差値や良い高校、大学に入るという成果を追い求めすぎ
 昔の序列の方が酷かったです。国立の一期・二期は格付けそのもの。でも一番遊びたい盛りに、浪人までして高い序列に挑むことは珍しくありませんでした。
今は浪人イヤ。
だから安全圏を狙い、その羅針盤に偏差値が使われていると思うんですよね。
また、昔は経済成長が高かったから、あまり序列差の経済効果を気にしなかったと思います。
八百屋さんや魚屋さんでも十分生活できましたからね。

本日は年休です。寒くで外に出る気が起きない。
浪人あたりまえでした。高校は受験指導はほとんどなし。自分でやれって感じ。今はSSHに指定されて
いるようだが、ぱっとしない様子。
机に座れない云々、学習能力不足等の課題については、公立でも留年制を導入するしかないと思います。
学習不足で卒業は本人のためにならない。
卒業した私大は中・高でも留年ありでした。付属校上がりの2留年同級生がいました。2連続は放校処分。
社会人になれば一部企業・役所を除き、大学は関係ないことがわかります。

今でも県北経済圏の中心である、熊谷市は激しいみたい。
今の小学30(うち休校1)、中学17(うち休校1)が、統廃合案を全適応すると、小19校、中10校となり、18校減。それってたった20年後の想定です。上の2休校は廃校予定です。
せっかくだらか、輪をかけたように高校生の南下を防ぐため、中高一貫校化も視野に、第二第三の伊奈学を、と提案しましたが、そこまで考えていないみたいね

高校受験当時、市内の受験生で不合格者3名(昨年0名)が話題になった。市内、学区内優先の頃です。
名前の書き忘れだろうが、公立の問題は「注意力テスト」なので、中学の推薦=合格でもいい、中高一貫でもいい
という考えもありと思います。第二、第三の伊奈学設置大賛成です。昔ながらの受験枠50人なんてつくれば、秀才
が集まるかも。同学年で〇〇3兄弟(秀才という意味で)の次男坊がクラスにいたなあ。親子代々受験してたそう。

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