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2023年2月 6日 (月)

売上を溶かすブリヂストンサイクル

ここまで酷かったとは! ガンバレBSCと言いたいが

23.2/16 追記を文末に。親会社決算より


 去年、マレリ社の倒産にはビックリした。旧「カルソニックカンセイ」と言った方が有名だが、高崎線の車窓から見える本社ビルからは想像できない苦境だった。負債総額の1兆1850億円は埼玉県の過去最大だが主に金融機関が負うもので、今は事業再建を目指している。

 原因の一つには旧親会社の日産の不振・減産がある。その連想で、上尾市のブリヂストンサイクルはどうなのかと気になっていた。要するに、これは去年書くはずの記事である。

 親会社のブリヂストンは世界的メーカーでEV時代でもタイヤは無くならないが、近年はミシュランに首位を奪われ、低価格帯は中韓の追い上げもあり、20年度には70年ぶりの赤字転落になった。直ぐにグローバルな大リストラを進め、生産拠点の四割を減らす粗治療で回復途上にあるが、撤退の多くは非タイヤ事業つまり多角化の失敗や不採算事業である。

 だから連結子会社のブリヂストンサイクルも含まれた。加須市の騎西工場(年産22万台)を閉鎖し、中国と上尾工場へ生産移管となったことは21年に書いた。本社の上尾工場が存続したものの、実は親会社以上に深刻だった。決算は非公開だがFUMAによると次の通り。

Photo_20230205220101

年商420億円の企業で100億円を超す赤字という恐ろしい年があった。黒字の年でも利益は微々たるものだ。

●原因は、度重なる自転車リコール問題である ※1

 2019年に、「一発二錠」搭載車343万台の無償部品交換を発表した。その後1年半で53万台を改修するも実施率は15%。しかし、自転車の耐用年数を考えると、多くは廃棄された可能性があり、「推定廃棄数」を考慮すると20年末で88.6%だという。

一発二錠とは後輪を施錠するとハンドルの回転も同時に止める機構で、盗難防止のためにあるが、走行中にハンドルロックがかかり転倒リスクが起きたという。03年からの長期製造・販売だったことや最終出荷から4年も過ぎてリコール宣言したこと、購入者履歴が分かりにくい等が重なり、解決に苦しむ。111万人にDMを送ったと言う。

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 記事(※1)によると、リコール損失の74億円は19/12月期の計上だ。しかし、20年はさらに赤字が増えていた。新たなリコールが相次いでいるためである。

 去年の上期、親会社のブリヂストンの連結決算では、『子会社の自転車・電動アシスト車のリコール関連費用』として153億円を計上した。これはロシア事業の減損135億円よりも大きいのだ。親が優良企業だからやっていけるが、このスケールの二期連続の赤字(累積約300億円)は独立系の中堅企業なら債務超過になり兼ねない。

 今の会社ホームページを見ると分かる。リコール案内ばかりが目立ち、前向きな事業展開になれない姿が伝わる。昔書いたパンクレスタイヤどころではない(※2)。経営がパンクしたのだ。

22年11月09日 ・・・電動アシスト自転車・・・引き上げ棒 無償交換のお知らせ
22年10月31日 折りたたみ自転車・・・・製品回収(返金)のお知らせ
22年10月11日 ・・・・「ステンレス製リム」リコール(無償交換)のお知らせ
22年04月05日 ・・・自転車バッテリー・・・無償交換実施のお知らせ
21年01月26日 ・・・一部モデル用バッテリー無償交換実施のお知らせ
19年06月24日  ハンドルロック「一発二錠・・・自転車の無償点検・改修のお知らせ

 ●縮小する国内自転車市場

 自転車産業振興協会によると、22年上期の国内流通量は308万台、前年比24%減は過去十年来の最大の落ち込みという。コロナ禍の密回避として20年度は需要が伸びたが、世界的な部品減少による供給不足や、原料高による値上げの影響があったという。

 なお、ブリヂストンサイクルは去年も再値上げをした。為替、部材、物流費等々の上昇がきつく、その価格転嫁は販売台数の減少につながるから、プラスマイナスの行方が気になる。自転車に技術革新が見込めなければ、先細りなのではないだろうか。本体の決算発表は来月と思う。

似た話は、日野自動車の問題である。不正による出荷停止に追い込まれたが、UDトラックスに漁夫の利が少しはあっただろうか。ナントも奇妙な組み合わせが上尾で起きていたわけだ。


● 私のリコール体験記 

新しい順に書くと、日産の検査不正問題でマイカーが該当した。うろ覚えだが、ディラー車検をするときに割引されるらしいが、他の整備会社でやったので、後から、お詫びみたいなカネを振り込まれた(金額は忘れた)。

Windows 7時代、パソコンのレッツノートのバッテリーがリコールとなった。火災リスクがあるという当節よくある問題だ。新品と交換したが、実際は、当該ロットでも殆どは正常品であり、ユーザーとしては儲けものだ。その時は、回収費用がバカにならないと同情した。

もっと昔、Sビールの苦い記憶が蘇えった。新製品の試し買いをしたが、なんてマズいビールだと思った。単に口に合わないだけと思っていたら、翌朝刊に「異臭がするので回収」という広告が目に飛び込んだ。空き缶を送ったら中身が満たされて戻ってきた。

さらに昔々、オフィスソフトがバージョンアップする度に解説が人気を博す時代の話だ。Wordの本を出版初日に買って読んだら、途中から関係ない内容のページがあちこちに見つかった。出版社は私の電話で初めて気が付いた。

製本は、16ページ折り面付けというように一枚の大紙に複数ページを印刷して折って綴じる。それはコンピュータ化されているが、どこかでズレたのだろう。忘れた頃、新本が送られてきたが、むしろ返金して欲しかった。中身の乏しい本だったから。

 以上はモノの話だが、世の中にはヒトの場合もあると聞く・・・

1 日経クロステック ブリヂストンサイクル343万台リコールの今、1年半に重ねた努力

※2 上尾を自慢させてくれる2つのテクノロジー

●追記 2/26 ブリヂストン連結決算より

 ロシア事業関連損失 184億円、ブリヂストンサイクル(株)リコール費用 164億円。

 

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