スタンフォード監獄実験の茶番を受け売りした右京サン
(読後)「希望の歴史」が導く性悪説から性善説とその向こう・・・
ドラマ相棒シーズン22は筋書きが凝った話しが目立つ。面白いけれども無理やり感が有るからリアリティは欠けてしまう。脚本家が替わったのかと思ったが昔からの人だった。 第12話「惡の種」、1/17 脚本は徳永富彦
悪のタネは、ある状況下では被害者なのに他の局面で殺人者になるという不思議な展開だった(ラストは余韻残して終わったので新しい連続モノなのだろう)。
そのドラマ中、右京が薫に説いたのが上である。それ以上得意げに語ると右京さん赤っ恥だよ」と思った。と言うのは、この実験名が上尾の読書家ブログに出ていたことを想い出したから。
そのブログでは、科学と人間との関係を考えるきっかけとなる一冊として「闇に魅せられた科学者たち」を推奨していた。
ブログで扱ったのは脳に穴を開けて手術治療したハンター医師の例で、スタンフォードの監獄劇を真に受けていたわけでは無いのは賢明なブログ主らしいが、付いた、拡大解釈のコメントは自分の感情に「囚われ」た風に読めた
ついでに書けば、ついこの間、人間の脳にコンピーターチップを埋め込む手術が行われたばかりということ。答えのでない議論をしている間に、SFや漫画の世界が現実になっているのだ。
(CNNのこちら)。
●監獄実験とは。簡単に書くと
スタンフォード監獄実験 – Wikipedia 1987年のこと。刑務所を模した部屋で、広告で集めた若者に看守役と囚人役という特別な立場を与えると、彼らは役割に合わせた行動をしたというもの。拡大解釈すると、恵まれた環境にいた人でも、状況を変えるだけで行動に強い影響を与えられ、条件さえ整えば、誰でも凶悪になれるという。 |
名声を得た学者の名からジンバルドーの監獄実験とも呼び、衝撃的な結果だが、実験そのものが非人道的なので、誰も検証しようが無いために、今でも大学1年生の教科書に掲載されているという。だから受け売りしたり、都合よく自分の攻撃材料に応用する人もいるだろう・・・
こうして、世の中には通説のような「事実」があるけど、そうしたものは疑わしい研究だったりして、事実とは程遠いということを丁寧に指摘した本がある。
Humankind 希望の歴史 上と下 ルトガー・ブレグマン(著
本書に通底するのは、人間社会では性悪説が受け入れられやすいが本当にそうなのかと問う。
そして、性悪説を助長する権威的な科学を装った研究の中に怪しいものがあると暴く。その一例は監獄実験である。騙されたと思った人には必読だろうが本書の価値はそこではない。
人間は性善説で生きるべきだと強く主張しているわけでもないと思うが、悲観的に傾きがちな今日、もっと人を信頼できる「希望の持てる」事例も扱っているが、読了しなかった・・・ブラジルの住民参加の地方自治の成功例、介護施設の成功例、WW1のクリスマス休戦など。
国際的なベストセラー。
歴史書ではなく思想や倫理の本と言う感じ。
追記2/15
監獄実験では、足かせを付けたり、番号で呼ばれ人格を否定されるが、なんと受刑者をサン付で呼ぶようになる、刑務所まで人に優しい時代になるが違和感ある。
殺人犯でもか!
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