カテゴリー「上尾市の人口物語」の16件の記事

2021年10月 4日 (月)

こたつ記事を使う礼賛広報の危うさ

「ここがイチ押し」という手前味噌特集に隠れたネライ

島村時代に「23万人都市にふさわしい図書館を」という推進文句があった。実際は22万8千位だったので、粉飾だと批判したことを思い出した。

で、とうとう23万人を超え、広報あげお8月号が取り上げた。役所にしてはキャッチーな「(上尾市)ここがイチ押し!」 という特集がこれから9回も続くようだ。


ここは余談。 行政がこんな自画自賛したから、下火になりつつあるニッポン礼賛本とか「Youは何しに日本へ」みたいな礼賛番組を連想したので少し書いてみる。礼賛モノが受けたのは、「失われた三十年」で自信を失い(アベノミクスで日本の国際賃金は韓国より低い)、中韓台頭により優越感が凹んだ日本人への精神安定剤みたいなものだった。

その頃から、「取り戻す」というフレーズは、安倍さん以来の自民党が好む言葉なのだが、失った責任は長期間、日本の舵を取った自民党にあるにも拘わらず別な意味に使っていた。それがここに来て、高市さんの発言で「昔の日本へ戻す」の意味だと見えてきた。既に礼賛モノは精神安定剤の役目を終え、隣国との相互憎悪を焚きつける興奮剤になっているが、実は『売れるから・票が取れるから』という損得目的こそが動機だと思う。

 広報は上尾の良い面だけを拾い集める積りのようなので、自信喪失なのは市民ではなく上尾行政なのだろう、と思って読めば良いだろう。但し、上っ面の良さだけ取り上げる宣伝はタイミング的に畠山再選への提灯広報になるということだ。公平公正を目指したいなら、クールに「(上尾市)ここがダメ出し」と課題発掘も忘れるな、と言いたい。

 

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1.先ず、上尾市人口が23万人の件から…

 実は228千人から千人増までは39カ月かかった。日本人の減少を外国人の増加で補い、年間、数百人の微増を続けた。それは大宮以北が軒並み減少に陥る中で、かろうじて踏みとどまる姿だった(過去記事 人口減少の臨界線が南下中)

 しかし、次の千人の増加を16カ月で達成した。(7年前、県の推計ツールで23万人乗せはムリと予測したのは外れた)

 2020年は日本人が608人も増えた。出生数はマイナス続きでも、転入-転出が1372人と急増した。この人数は平成バブルの余熱が残る90年代前半に近く、27年ぶり位だ。世帯数が12%も伸びており、コロナ直前年の住宅着工が多かったためかも知れないが(10%消費税直前)、本当はよく分からない。

 仮に、持ち家転入としたら19年に計画された結果になるから、コロナ禍による東京脱出効果では無い。今年も10/1現在で450人と堅調らしい。

2.ネットの怪しい記事を拾う広報広聴課

 自分の主張のためにネットのアンケート結果を引用することがある。ソースが公的機関ならともかく、民間どころか、どこの馬の骨が書いたか分からない記事がネットには溢れている。それを使って我が意を得たと喜ぶ人もいるが、サクラがいることを忘れてはいけない。

 広報8月号は「ねとらぼ調査隊住みたい駅ランキング」を引用した(そもそも駅に住みたいはヘンなのだが)。見に行ったら広告稼ぎのサイトだった。人は順位を気にするから、ランキング記事はクリック広告を稼ぐネタなのだ(当ブログでもランキング記事はアクセス多い)。

 その「ねとらぼ」が参考にしていた大東建託の大規模調査には出てこない上尾駅が、越谷レイクタウン、さいたま新都心駅を押しのけて三番だ (笑 ←あえて入れた)。

 「これってスゲーぜ」と無邪気に飛びついた感じがする。実はヤフーの転載記事にはコメントが付いていて、元記事のいい加減さが指摘されている。こういうのをコタツ記事と呼び、普通は相手にしないものだ。ちなみに上尾駅三位をツイートしていたのは市と取引のある不動産鑑定士というオチまであった。

3.ダマしグラフ

 上の広報図では、日本全体の人口減少と上尾の人口増加を異なる尺度(万と一)でグラフにし、さらに足を波線で省略している。このような手口は、変化を誇張するためであり、ダマしグラフとか詐欺グラフと呼ばれる。ここは、開始年を100とした変化率の折れ線グラフの方が良いだろう。

4.転入超過人数が三位(?)は凄い!

 2020年の転入-転出は1372人。なお、「統計あげお」では1430人となっている(行政データは市、県、国などで異なることが多々ある)。

 大幅な転入超過で、さいたま市、川口市についで三番になった。しかし、さいたま市は126万人の政令市だから比較対象にはならない。元の総務省「住民基本台帳人口移動報告2020」ではちゃんと区別も表示されており、下に部分引用した。転入して来る人は「さいたま市○○区」を選んでいるからこの方が正しい。年齢別は一部のみ表示。

市区町村 総数 0歳~4歳 5歳~9歳 10歳~14歳 15歳~19歳
川口市 2,383 -322 -75 -15 327
緑区 2,077 317 104 48 44
西区 1,505 152 53 30 50
岩槻区 1,476 328 61 0 42
浦和区 1,378 211 152 26 36
上尾市 1,372 229 57 30 23
越谷市 1,335 36 12 20 101
大宮区 1,220 35 52 37 -32
川越市 1,129 -1 37 31 301
草加市 1,128 32 -4 36 116
朝霞市 1,073 -38 -11 -1 131
見沼区 1,067 174 40 33 108

 本当は人口比率で見れば良かったと思うが、絶対数で浦和区や大宮区と同レベルならまぁ大したものだ。でも19年だと市順は7位、市区順は16位なので、20年が突出している。増加原因は数年単位で見ないと分からないのだが、広報は次のように書くだけである。

5.上尾市が選ばれる理由とは

 転入者アンケートをしていると書いているのに、その集計値を見せることなく月並みな理由をあげる。

 「住宅価格、家賃が適当」は当たり前だ(あえて"安い"と書かない)。住宅の割高とか割安というのは買手の所得見合いだから、サラリーマンなら勤務先の違いとなる。今年、川口市には都内から高収入世帯の若者が増えて市税が増えている。(上表で略しているが)川口市は20代が2600人も増えており、幼児がマイナスなので新婚世帯増なのだろうか。

 その川口は以前なら選ばれるような街では無かった。都心からの同距離圏の横浜方面が高くなりすぎたことと、鋳物工場跡地のマンション供給が増え、近くて安いという若者受けのコスパで選ばれたのだろう。戸田市も似ており、都内通勤の新婚世帯が増えているようだ。なお、両市のハザードマップを見れば水害リスクがそれなりにある。

 上尾は「交通の便が良い」と書くが、高崎線一本なのでそれはない。だが、転入者は都内や神奈川からではなく県内が過半であるから、都内よりも近隣市への通勤者が多いのかもしれない。上尾道路郊外住宅が増えているとしたら、近隣企業へマイカー通勤者なのだろう。

「災害が少ない」というのは近隣も同じだから、上尾が優先的に選ばれる理由にはならない。地震は広域なのでそもそも当てはまらない。災害が少ない立地を認識しながら、10月号で「災害に強い」を自慢するのはズレている。万が一に備えたらキリがないこと位分かっているのに、安心安全を唱えれば反対されない日本社会だから、過剰投資も平気になるのがこの街だ。足りない分野へ予算を補強するのが政策的合理性なのに、(財政が上尾よりマシな他市ですらやらない)エアコンで快適な避難所暮らしが出来ますよと言うわけである。まさに衆寓政策だ。

 過去記事 33体育館エアコン導入の反対理由

ちなみに、転入で選ばれたのは市サービスや福祉政策の効果だと書かなかったのは正直である。

 今の所、当市はかろうじて埼玉県南部の人口勝ち組エリアに踏みとどまる感じだ。廃業した秀月旅館の跡地に15階マンション建設が始まったようにファミリー世帯を招くには民間の宅地開発に依存する。そのための駅近のマンション用地はまだ残っているのだろうか、横浜ゴムはあの広い土地をどうするつもりなのだろうか、と思った・・・。

再び人口増加について 

ここ数年の人口増加が中期的なものか束の間の変化なのかは分からないが、この程度の増加では、国立・社人研が予測する人口減少には焼け石に水だろう。埼玉県63自治体の30年後の将来予測を近く記事化したい。

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つづく

 

2021年9月11日 (土)

コロナ禍とJR上尾駅、北上尾駅、桶川駅、宮原駅の乗車人数の減少

コロナ禍により、JR上尾駅の一日当たりの乗車者人数は23%と大幅減少、

これは、30年の水準かも。

上尾駅、北上尾駅、桶川駅、宮原駅の人数推移の過去記事はこちらへ

今回は、過去記事へのデータ追加では無く、コロナの影響がモロに出た2020年なので新記事扱いとした。データはJR東日本サイトより。(一日平均の乗車人数であり降車数は含まない)

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下に上尾駅のデータを抜き出した。

一日平均は32025人となり、前年の四万人レベルから23%の大幅減となった。内訳は定期外の利用が▲35%、定期利用は▲19%だった。定期外の減少が大きいのは明らかに不要不急の外出抑制効果である。定期利用もテレワーク推進で日払い方式に切り替えた会社が一時的に増えたはずだ。

北上尾駅は定期利用は▲20%で上尾駅と同レベルだが、定期外は▲32%と減少幅が少なかった。

  上尾駅 北上尾駅
  定期外 定期 合計 定期比率 定期外 定期 合計 定期比率
2019 11,421 30,233 41,655 73% 3,472 12,248 15,721 78%
2020 7,420 24,605 32,025 77% 2,353 9,825 12,179 81%
増減 -35% -19% -23%   -32% -20% -23%  

ただし、これらの駅の減少は他の駅でも同様で、乗車数ベスト100の駅リストは全てが下げており、新宿駅▲38%、東京駅▲41%、大宮駅27%のように大規模駅ほど減少幅が大きい。優良企業だったJR東の昨年決算は5700億円の大赤字だった。

●上尾駅の一日平均人数は1990年代へ戻ってしまった?

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上のグラフは四駅の2000年度からの推移である。実は、JRサイトの公開は1999年からなのでそれ以前は不明。上尾駅と桶川駅は、いったい何年前に戻ったのかすら分からない。

と言っても、これは机上の平均値であり、日々の上尾駅頭が30年前に戻って閑散としているわけでは無い。

しかし、この後何年経っても、駅利用人数がコロナ以前に戻るかは分からない。そして根拠のない期待や無責任な政策よりも、「戻らない」という前提で将来を考えた方が、より気楽に新しい時代に進めるだろう。

どこかの議員が働く若い世代の誘致とか文切り型に言うが、人口誘致とは"こっちの水~は甘い"と他自治体から人を奪うに過ぎないというコップの中の競争である。そして皆んな費用倒れの失敗をし、ごく一部のみが勝者となるが、勝因は別にあったりするわけだ。

 

参考 他にコロナ禍の"現象例"として上尾市図書館利用者の推移がある。こちらへ。

 

 

2021年1月30日 (土)

赤飯炊くような人口増加と当事者意識の無い上尾行政

上尾市の人口が738人も増えた原因は、コロナ移住か介護老人転入説か…

上尾市の人口推移は、日本人が減り、それを上回る外国人の流入で微増傾向を保ち22万8千人レベルであった。が、去年、人口急増が起きていたことには驚いた。なお、1/1では229,517人である(上尾市人口表より)。(グラフは一部変更済)

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グラフからも2020年の増加の異様さが分かる。入国制限により外国人はグンと減り、日本人が600人も増えた。日本人の市民は死亡数が多いためマイナスが普通なのだから、この増加ぶりは赤飯を炊くような祝い事である。

どうして増えたの? と市に尋ねた。

総務課職員の回答は「老人が増えてます」と、いう答えだった。

資料を元に、年少0~14歳は微減、生産年齢15~64歳は微増、65歳以上は778人も増えたというデータを示した。ちなみに世帯数は人口増の二倍、1500世帯も増えていた。

世帯数も異様なのだが、なぜ老人が増えたのか?

職員曰く、老人ホーム(入居型)が増えたかも…。近くのパート職員も最近、老人ホーム増えてますよね、と言っていた。

介護老人転入増加説である。

コロナ過で東京の人口流出が起き、近くて安い埼玉県は受け皿になっているのは衆知だが、上尾には年寄りが逃げてきたのかと思った。

裏付けるをとるために、高齢介護課につないでくれた。

正しくは、「回された」( ゚Д゚)

担当は、施設リストを示し、施設の増加は無いですね、と明言した!

結局、『老人増加』説は謎だった。

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仕方ないので( ゚Д゚)、人口・世帯数の推移の表をExcelにコピーした。

解決したワ。

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R2年3~5月の日本人増加は転入によるものだ。それが全体を押し上げた。一落着だ。でも、更にピンと来たことがあった。

増加原因は、近所の「レーベン上尾GRAN MAJESTA」だろうと思った。189戸のファミリー型なので700人位だ。地域明細で、上町二丁目の変化をみたら464人も増えていた。市職員が高齢者人口の増加というのは例年の高齢化現象そのものに過ぎない。

グラフの12月の増加も似た理由、つまり好評な物件による効果と思われる。しかし、一方では販売不振の建売住宅やマンションも目にするわけで、去年は一過性かもしれない。売買契約は一年前だったりするから、コロナ禍の影響はこれから現れるだろう。築一年に満たない件のマンションも5戸が売り物件になっている。

結局、統計の中に近所で見た引越し搬入風景が映っていたわけだが、その奥に見えたのは「人口増加を目指す」、「子育て世帯の増加を目指す」というものの、市民生活の変化や背景に無頓着な公務員の姿だった。きっと当事者意識が持てないのだろう。

数字を羅列し、手続き処理をするだけなら高額な大卒は要らない。デジタル化で代替えされても仕方ない。

まさか、民間の競争による人口増加を公の手柄のように吹聴する人がでてくるとは思わないが、たとえ当事者意識が持てなくても、この増加は競争の成果であり、裏では不良在庫を抱えた敗者がいることも知るべきだ。

補足

事務区別人口を見ていて、団地の平均年齢の高さが気になったので少し紹介する。5年前(2015/7)に調べた時から5歳増えていたら、住民の新陳代謝が無いことになる。女性は更に1.5歳加算する。

  平均年齢 世帯数
上尾東団地 59.4 215
尾山台団地 59.0 1,723
西上尾第二団地 58.0 2,759
西上尾第一団地 58.0 3,074
戸崎団地 57.3 104
原市団地 56.0 1,570
パーク上尾 55.4 548
ソフィア上尾 55.1 506
柏座1丁目 49.9 1,163
仲町1丁目 48.5 746
市全体 46.6 103,709
上町 44.1 1,731
フィーリア上尾 43.3 325
エージオタウン 41.6 266

関連 3-上尾市の地区別と団地の高齢化率や平均年齢



 

2020年12月11日 (金)

埼玉県市町村別の出生率・死亡率そして2つの日本一

自然動態がプラスは6市町しかないが、全国からの転入者数と企業転入が日本一、という地の利。

前記事 埼玉県市町村の外国人比率 人口物語の目次

耳タコみたいな話だが、日本は年間150万人が亡くなる多死社会へと進む。死亡数が増えるのは予想の範囲だが、出生数(85万人)まで減っており政府の少子化対策は掛け捨てである。よって、たった一年で鳥取県の人口が消えるレベルだ。

2019年(1~12月)の埼玉県の人口自然動態(8表)を元にグラフ化した。

1.棒グラフが自然動態(出生-死亡)で多い順に並べた(左右の縦軸は0位置が異なるので注意)。


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63市町村のうち、プラスは戸田市336人、和光市299人、朝霞市270人、八潮市、滑川町、志木市の6自治体のみ。前の三市は若い世帯の転入が多く、その「成果」が現れているのだろう。後ろの3つうちどれかはマイナスに転じそうだ。

人口規模が大きいほど死者が多いために右側に集まるが、川口市、さいたま市、越谷市、新座市などは千人当たりの値が0に近いので、出生数もそれなりに多い。

2.人口千人当たりの出生数と死亡者数を見たのが次のグラフ



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埼玉県全体の出生率は6.7人、死亡率は9.7人である。出生率が低いと死亡率が高く出ている。最高と最低で見ると、出生率の開きは7.7人だが、死亡率は13人へと開き、人口減少が加速する地域があることが分かる。上尾市は人口の多い所沢や川越並みに留まっている。

3.人口増減=自然動態+社会動態である。その社会動態(転入と転出)については県HPでは月別しか開示していない。(尋ねたら年間値のニーズが無いらしい…。Excelの串刺し演算で可能と思われるので別の機会へ)

埼玉県はコロナ禍で東京からの転入が増えた。

コロナ禍で東京の転出現象が起きている。今年4~10月、全国からの埼玉県への転入超過が9704人となり、全国1位になった。さいたま市など県南地域を中心に県全体の人口が増加している一方で、圏央道以北を中心に人口減少が進んでいる、という。しかし、人口減少臨界線南下中に書いたようにその境はもっと南にあり、何度も書くが上尾は境界線上にある。

前日、川口市が本当に住みたい街ランキングに一位というニュースがあった。川口市のHPにはまだ二年連続とは書いていないが、市長が喜んでいた。 この手は不動産屋や調査会社が勝手にランキングを作ってPRに使うが、これは実購入者のアンケートらしい。

武蔵小杉と同じ立地条件だが、住宅価格がリーズナブルで隣駅の赤羽より中古マンションが2割~3割程度安い」という。

脱工業化により宅地化してマンションや戸建供給が多いのは、都心から近いわりに地価が安いのが理由である。神奈川方面と比べると特にそうなる。昔、棲んだことがあるが「川向う」と言われたことがあった。後で分かったが荒川を挟んで見下した意識らしい。しかし、コストパフォーマンスで選ばれると記事にあるように、今の若い世代には合理的なモノサシがある。

若い世帯が増えると財政の拡大効果があり行政は子育投資をしやすいという好循環に入る。外国人流入も多いため、人口を巡ってはホットスポットになっている。ただ、昔、近所の住宅建設の現場で水がでた様子を見たことがあり、地盤は悪そうに思う。

転入日本一の記事末には、埼玉県への企業の転入超過数は10~19年まで10年連続で全国1位とある。最大消費地を囲む物流に適した道路網ができると、企業立地は必ず増える。

企業誘致の方が人の誘致よりもメリットがあるから、そのうま味を県北部で享受している町もある。人と企業の転入日本一とは埼玉県が地の利に恵まれている証拠だ。それを棚ぼたで終わらせるのか否かは、自治体の行政能力の差になる。もっと工夫すべきだろう。

関連 定住人口よりも法人誘致へ 2/2  

 

2020年11月28日 (土)

埼玉県市町村別の外国人人口と比率

40市と23町村の人口増加を日本人と外国人に分けてみたら、既に外国人で人口減少を埋めていた。

人口問題の目次はこちら

要約  埼玉県には19万人の外国人がいて、人口比率は2.6%である。2%以上(50人に一人)の自治体は31もある。過去7年間で日本人の人口は県全体で41,570人増えているが、増えたのは19、減ったのは44自治体もある。一方、外国人は76,180人増えており増加分の65%を占める

コロナ関連記事で蕨市の外国人が多いことの中で、蕨市の赤ん坊の二割が外国人ということに驚きました。その延長で、埼玉県内の外国人比率を調べてみました。二年前、人口減少エリアが南下しているを書いた時に外国人の要因を除いてしまった反省もあります。

住民基本台帳に外国人の人口表示を始めた2013年(H25)から2020年への対比です。人数はさいたま市が圧倒的ですが他市を見やすくするために省しています。下記クリック拡大。スマホ用の縦型は文末に

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外国人比率の高いのは、蕨市9.8%、川口市6.4%、戸田市5.4%、八潮市4.3%などです。

蕨駅近くの芝園団地は中国人が多いことで有名ですが、なんと住所地の芝園町の外国人比率は5割を超えています。昔、川口市に居たことがあるのでやや記憶があります。当時は外国人は居ませんが大きな高層団地です。

たぶん、外国人が入居しないと高齢者だけの空き家団地になった可能性がありそうです。外国人は若い人が多いために蕨の出生数のような例になるのかもしれません。

隣駅の西川口エリアは、風俗街でしたが風営法の強化で空き店舗が増えたところに中国人が入ってきたようです。今はチャイナタウンと揶揄されます。

上の東洋経済記事には吉永小百合の映画『キューポラのある街』のことが書いてありました。当時は韓国朝鮮系が多く中国人は少なかったということです。実は、今月のNHKBSで放送していたので懐かしかったです。高度成長期の入り口にあたる混乱しつつも勢いのある時代でした。そのキューポラはマンションに替わりました。

上の4つの市は東京に近くて家賃が低い、というのが外国人の転入理由の一つですが、そこに親戚や知人が頼って集積したようです。

続く、上里町3.9%、嵐山町3.3%などではブラジル人が多いと言われます。大きな理由は、近くの群馬県太田市も外国人が多いことで有名です。スバルと関連下請けの自動車産業への雇用需要があるためです(「スバル」快走の陰で軽視される外国人労働者)。

埼玉県南部は東京のサービス業や建設業へ、県北部の上里や本庄市などは製造業の労働力不足や低賃金利用として、外国人に都合の良い立地として集まったようです。

関連 「使い捨て」にされてきた外国人労働者

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2020年11月 1日 (日)

人口減少の悪いニュースと良いニュース

来年は出生数80万人割れへ加速し、今後も三年間で十万人減か

追記 下表の2020年欄。  前記事 上尾市の少子化推移 のつづき

2019年の赤ちゃんが前年比5・8%減の865千人と急減した。大きな社会事変も無いのに、あっさり90万人を割った。

データ 出生数 合計特殊出生率 減少人数 減少率
2017 946,146 1.43 -31,096 -3.2%
2018 918,400 1.42 -27,746 -2.9%
2019 865,239 1.36 -53,161 -5.8%
2020 840,835   -24,404  -2.8%

上表では三年間で11万人も減っており、ピッチは予想以上に早い。で、今年も気になるが、その先の来年の出生数80万人割れという記事があった。

読むと、妊娠届”(母子手帳交付)による推定だった。「感染不安が高まった3月ごろに妊娠した人が届ける5月~7月まで前年を1割超少ない」と伝える。出生数の先行指標というわけだ。

去年は令和婚ブームで7年ぶりに婚姻数が増えていた(+1・2万組)。それなら今年は期待できそうだが、去年の妊娠届は3万件も減っていた。果たして、年間70万人台へと落ち込むことに社会は耐えられるのだろうか。

「前門の虎、後門の狼」ではないが、日本の人口問題とは、高齢者の増加と少子化という挟み撃ちに合って立ちすくんでいる様だ。

●日本の少子化問題と対策

扇動的な安倍首相は少子化問題を「国難」と呼んだ。間違いではないが、口先だけだった。でも、日本は2003年の少子化対策基本法から始めているので、まだ日が浅い。少子化対策の手本と言われるフランスの家族手当の原型は100年前に作られている。

この間、待機児童対策、子育て両立、男の育児参加、保育無償化、児童手当増額などをやってきた。しかし日本の人口問題とは高齢者人口の増加への社会保障が先にたち、少子化への優先度は低い。だから合計特殊出生率は2005年の1.26が最低、15年の1.46が近年の最高値である。

菅首相は早々に不妊治療の保険適用を打ち出した。早くても二年後らしいが、詳細はまだ不明だ。仮にフル適用すると1120億円という。 探しても、効果としての出産の期待人数は分からなかった。そんな数字を持ち出すとリベラル勢力から「産む機械か!」と叩かれるためだろうか…。そうなら、税の使い方としては説明が必要なのに議論が窮屈な時代になっている。

少子化対策としての効果は小さいのだろう。「人に優しい政策をしてますよ」とPRし、野党の福祉政策を先取りして潰す選挙目的だったりする。かつて野党の時に、民主党の幼児教育や保育の無償化を「バラマキ」とケチ付けたのに、それを安倍さんは選挙目的でやった。

●東京からの転出超過が起きた

 もう一つの人口動態である、転入・転出には次のニュースがある。東京都が単月で転出超過となったのは5月と7〜9月である。

安倍首相は「地方創生」と囃して東京圏の人口を抑えようとしたがかえって集中した。どれだけの予算を投入したのかは知らないが、インフレ目標や少子化対策と同じく成果が出ていない。それでも失敗を認めるわけにはいかないから政策は続いている。

その関連で、東京の私立大学集中の是正や入学定員厳格化があった。前者は、都心の新設学部の容認を抑制することだった。後者は合格者を多く出して地方からの学生を吸収していることを正すものだった。

国の政策としては正しいが、国会議員の小池さんは知事になったら反対した。部分最適(東京)を優先したわけだ。

でも、この政策は効果が無かった。

既に、都内の大学は首都圏子弟のシェアが圧倒的だった。多摩地方にキャンパスを構える移転策が、通学不便となり失敗だったことに現れてる。また、地方経済の衰退は生活費まで出して東京に送り込める親を減らした。それでも上京する層は、魅力的な雇用が地方に無いためだから金を出しても来るわけだ。

今の東京からの転出現象は画期的なのだが、政策ではなくコロナによるものだ。超過数はまだ三千~五千人弱と微々たるものだから、企業の郊外移転やオフィス縮小が目に見えて起きてこないと構造的な変化にはならない。

参考 下図は、NHK 4月から半年間 一極集中に是正の動きより

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まだ珍しいケースなので郊外移転が話題になる。引っ越し先に好まれるのは比較的近間のリゾート地である。郊外の単に地価が安いと言うだけの街は選ばれず、素通りだ。ちなみに出生率は東京都が最低で南の県ほど高い(ただし2を超す所はない)。

一方で、コロナが収束し地価やオフィス賃料が安くなっていたら、チャンスとばかりに集まる人や企業も現れる。香港からの避難富裕層のような海外勢も来るだろうから、十万や二十万人減った所で過密がもたらす危険度が減るわけでは無い。

誰が考えても、コロナより怖いのは首都直下型地震である。

新型コロナは百年に一度のパンデミックなら、首都直下地震は30年内にいつ起きても不思議の無い災害なのに、国は五輪を、都はタワマン容認の再開発で人口誘致になっている。昔言われた首都機能移転はタブー視である。

東京都は、コロナ対策で貯金9千億円のうち8千億円を使い果たした。余裕のある都市では無くなった。

長期的なことが苦手な日本である。

つづく

 

2020年10月30日 (金)

上尾市の少子化とコロナの今

上尾市の人口は微増なのだが、出生数は減少中。コロナで加速か… 

前記事 少子化の真因 関連 上尾の人口問題の目次 

1.ウォーターフォール図で見る上尾市の出生数の長期推移


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1982年からの上尾産・赤ちゃんの対前年比の増加または減少人数である。データは統計あげおの10頁にある。

右端が2019年であり、82年から700人近く減ったことが分かる。近年の子育て政策の成果はないと見た。年100人以上減った年は過去に7回ある。コロナ禍がもたらす負の大きさは例が無いから、ここ一・二年の減少幅の予測はつかない。

2.赤ちゃんが生まれるための3つの数字

上尾市 2020_9月まで累計 増減数
出生数 1,132 -9
婚姻届数 539 -104
妊娠届数 1,075 -40
上のグラフから年間出生数は2019年は7人増えて6年ぶりの増加になったが、今年は9月までは9人減である。下の月ごとのグラフは前年同月との差である。
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4月までの増加分を5月以降で帳消しになった。過去最少は18年の1506人であり、1500人割れが心配だ。ちなみに、今は一日、4人産まれ、5.7人亡くなっている。

妊娠届数は4月からずっとマイナスのため年間で約60人の減少と予想する。これは来年の出生数の先行指標になる。

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婚姻届けは他市民を含むために上尾市民とは限らないが、前年比較は意味がある。(表の)104人と大幅に減っているのは、令和元年5月婚が137組もあった反動による。次のピークである11月も減りそうなので年間でマイナスは間違いない。婚姻届け数は、妊娠届よりはアバウトになるが出生数の先行指標になるだろう。

つづく 2021年の出生数は80万人割れ?

2020年10月22日 (木)

少子化の本当の原因は、男性の未婚率上昇と晩婚化

前記事の続き

韓国は合計特殊出生率(一生に女性が産む子供数の理論値)が0.92と1を割って深刻な様に、少子化は先進国の共通現象であり、日本も1.4人弱と低い。だが、出生率を気にすると原因が見えてこない。

完結出生児数という値がある。結婚後15~19年たった夫婦の最終的な平均子供出生数を意味する。

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2015年は1.94人であり、約2人生まれている。(近所を見ても)ひとりっ子家庭は少なく(19%)、普通に子供二人の世帯が多い(54%)ことからも実感に近い

つまり、結婚生活が安定した女性は人口維持可能な2.07人に近い子供を産んでいる。合計特殊出生率の式は分母に未婚女性も含めているために低くでる。

結局、少子化の原因とは子育て環境の悪化というよりも結婚しない男女が増えたことと、晩婚化(2015年、男31歳、女29歳)にある。

未婚率はかつては5%未満だったが平成三十年間で急増した。特に、男性の4人に1人は生涯未婚、女性も15%が未婚である。また婚姻があっても4組に1組は再婚である。

結局、未婚率の上昇が少子化の真因である

だから待機児童などの子育て支援では現実の少子化は止まらなかった。それらは、給付対象者の顔が見えるから政党や議員の集票策となり、行政は「やってます感」を得られるが効果は乏しい。本気で子どもを増やすならフランスみたいに相当な養育政策をやる必要があるが、踏み切れないのは高齢者の社会保障を優先するからだろう。

未婚率を上げる「結婚しない理由・結婚できない理由」とは、マクロ的には非正規雇用の増大や地方衰退(東京一極集中)が指摘される。つまり平成三十年を仕切ってきた自民党の政策に問題があったと言うことだ。でも、それ以上に政策ではコントロールできない個人の価値観の変化とか25歳以上では「相手がいない」のが大きな理由と言うように、おカネじゃない理由もある。

そもそも若い頃にカネが無いのは今も昔も変わらないが、今は一人暮らしが容易な環境が揃っているから不自由しない。中には「貧乏な恋愛(結婚)ならしたくない」という意識もあると言う。だから自治体の婚活パーティが対策になるわけでも無い。

結局、日本は少子化を受け入れつつ、生産性の向上により「生産年齢の減少分」を補うしかない。一人当たりGDPは26番くらいというのは、一生懸命ムダな仕事をしている産業があるという意味だ。 (ヘンな褒め方だが) 生産性が低いから伸びしろがあるとみても良い。

だから、安易な移民に頼ってはダメだ。

所が、今までできなかったのに、これからはできるという保証はない。既得権益や悪しき平等主義にこだわり、競争を避けるようではムリだろう。

つづく 上尾市の最近の人口動態

参考 上尾市の人口物語

 

議員レポートの間違いと上尾市人口

子育て対策では少子化は止まらない。

畠山市長になって子供や親世代の人口が減った、とは言いがかり?

地方議員は暇なのに、三か月に一回の議会報告すら書けない人がいる。かと言って書いたら書いたで、A4一枚のお粗末なモノから、秋山議員のようにA3判裏表(4頁構成)の人までいる。

頻度が問われたら、次に量が、そして質が問われるが、上尾市議会の秋山かほる議員の市議会レポート(No64)には間違いがある。第四面の枠内にある人口問題だ。

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まず、0~14歳は859人減少と書き、最後に、畠山市政の二年間で幼児と子育世代の人口減が著しく、定年後の転出も多いのは畠山市政のせいだ、と書いている。

「数字」がいっぱい書いてあると『なるほど』と思ったり、支持者なら『鋭い指摘ね』てな感じになるのだろうか?

 (なお、14歳や44歳で区切る意味は不明だが、そこは本質ではないので触れない)

結論から言えば、間違いを通り越して呆れた。

彼女が市長になっても同じ現象(シャレ)になるが、誰も人口減少を止められないという意味ではなく、もっと単純な理由、見りゃ分るでしょうと言うものだ。

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グラフは2017年末(実際は18/1/1)の人口分布である。昔、描いた人口ピラミッドよりも分かり易い絵にした。

これから2019年末のグラフの形がどうなるかは、各棒を右へ二年ずらせばよい。そして黄色と緑色の年齢エリアはパッと見で「右肩上がり」なので、2年前より減るに決まっている。

もちろん、当年人口=前年人口+(出生-死亡)+(転入-転出) というように二つの「増減要素」があるが、左端に現れる赤ん坊は前年より少なく、死亡は70歳以上に集中するために影響はない。また、「転入-転出」が急増するようなデキゴトは何もなかった。参考までに、2年間の人口は299人増だった(1/1付統計差)。

ちなみにレポート後半は畠山市政への批判のてんこ盛りであり、「畑山市長」という誤植もオマケみたいにあった。

つづく 少子化の真因へ

参考 上尾市の人口物語

2018年1月 1日 (月)

埼玉県の人口減少臨界線が南下中…

埼玉県の10年間における市区町村別の人口増減分析

人口問題の目次より

追記 末尾に笑劇の「よく分かる埼玉県マップ2018」、図1の説明に追記(外国人比率)

埼玉県の現在人口(2017/12/1)10年前(2007/12/1)と比較してその変化を市区町村レベルでみた(こちら)。推定人口(常住人口)を使っている。役所のHPで発表する住民基本台帳ベースの人口よりは少ないが、実態に近い。なお上尾市では3千人の差がある。

●データの注意点
さいたま市は人口が100万人超なので10区別にした。合併で大きくなった市は、10年前の値に被合併市町を加算して比較した。埼玉県全体は20万人増だが、実はさいたま市95千人と川口市の二つで持っているようなものであり、全72件中の過半は人口減少に入っている。大都市圏以外ならほぼ全滅に近い県も珍しくないだろう。

図1 10年間の増減人数の多い順グラフ。折れ線は変化率を示す。クリック拡大。

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増加では川口市が突出し、33千人増は寄居町人口に相当する。東京都心へのアクセスが県内随一であり、キューポラの街がマンションの街になって久しい。戸田市と八潮市の伸び率の高さが際立つのは、東京隣接でありマンション供給が盛んである。

追記 川口5.5%、戸田市4.8%と県内でも外国人の人口比率が高く、外国人の流入の多さも影響している思う。移民政策で欧州が揺れているが、フランスは11%だと先日テレビで報じていた。

減少の一位は熊谷市の8千人。元人口が大きいために変化率は-4%だが、20万人割れとなった。秩父市、(陸王の)行田市がそれぞれ7千人減でつづく。
マイナス24%の東秩父村は元人口が少ないためと思う。自然減(出生-死亡)、社会減(転入-転出)の中でも工場移転とか大学キャンパスの都心回帰などが起きると、地方都市では深刻だ。平成33年にはホンダの狭山工場が寄居町へ移転する。年産25万台・4600人雇用の工場だった。

2 人口増減の散布図

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●バブルチャートはクリック拡大。

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横軸が人口、縦軸が変化率、円サイズは増減人数を示す。都心から遠くて人口の少ない自治体ほど人口減少に陥り、行政サービスの後退をもたらして更なる人口減少へと進むと言われる。一つの市でも、周辺部から中心部への転居傾向があるから、埼玉県南部の増加には県内での移動もあるだろう。

東京隣接市以外で伸び率が高いところは、新駅や大規模宅地開発によるものがある。しかし特定世代に偏った急増は、公共施設のピーク需要の落差が激しくなるため、必ずしも好ましいとは思えない。

3 地図グラフ(増加)
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詳細図(1.1Mb)はこちらへExcelBingマップを使用。増加のみの市町、円面積は増加人数。北部から見て円サイズの小さい自治体を結んだ線が人口減少臨界線であり、今後も南下が進むだろう。

図4 人口減少の自治体を示す地図グラフ
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地方の子弟が東京に集まることで東京経済圏が持ち応えるという東京一極集中化政策とはトリクルダウンそのものである。その無策が続く限り我が国の人口減少スピードが緩むことはないだろう。

図5 都心への通勤時間別の散布図

4_2 概算の通勤時間数を使っている。高崎線と東北線は東京までの時間だが、他は新宿や池袋を乗り換え経由で使った所もあり参考程度とする。実はこれが目的だった。

県の統計データの多くはExcel化してあるから加工が簡単だが、思った以上に合併が多かった。

下図のソースはこちらへ

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  • 上尾オンブズマン
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