カテゴリー「上尾市の財政物語」の54件の記事

2023年12月26日 (火)

35兆円借りて27兆円返す資金繰り予算

別に社会保障費のためだけじゃない。返すために借りているんだ。

年末恒例の国家予算とか人口減少の報道は、クリスマスケーキみたいに消費された感がある。それにしても今年のケーキは値上がりしてたな。

・水膨れ予算に『平時』への道筋見えぬ(日経

・借金づけの難局直視を(朝日

・歳出削減の努力が見当たらない(読売

・110兆円超の予算案 「平時」に程遠い借金財政(毎日)

テレビでは、今年は総額を減らしたという政府発表を垂れ流す報道があった。新聞各紙も、借金頼みの国家予算と指摘する点は同じだが、総額についてはきちんと批判していた。

総額は2兆円減ったが、去年あったコロナ対策等の5兆円予備費を、もう必要ないから1兆円に減したり防衛費増の繰り入れを今年はしないためであり、それは政府の努力じゃない、むしろ、同じ基準では相変わらず肥大化している、と指摘し、テレビの軽さとは違っていた。

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見た通り、税収(70兆円)だけでは42兆円も足りない。業績を反映して法人税17兆円や物価上昇もあり消費税23.8兆円と増えた。しかし、所得税18兆円は去年より3.4兆円も減っており、理由は人気取りの定額減税等をしたため。こう見れば消費税の果たす役割が良く分かるだろう。

  • 収入の3割強を国債に依存する

国債残高は23年末に1270兆円、ここ3年で150兆も増え(読売)、先進国最悪の財政はコロナ禍でさらに悪化した。国債の返済(元利払い)は27兆円と最大化するが今後も増え続ける。そして、今まではアベノミクスによる日銀の低金利政策に甘えられたが、いよいよインフレによる金利上昇へと進む。

今予算では、想定金利を前年1・1%から1・9%に引き上げた。17年ぶりという。R8年度で金利が想定より1%上ると、国債費は3・6兆円上振れするという。産経より

結局、35兆円借りて、元本と利息で27兆円返している。つまり借入の約8割は返済用なのだ。正味、フリーなカネは8兆円である。国民へは、枕詞みたいに「増え続ける社会保障のため」と語るが、実態は、『返すために借りる』という自転車操業である。

増税や歳出改革をしない限り借金は増え続け、そのうち10兆円使うために、50兆円借りて40兆円を返すという資金繰りになるだろう。しかし、金利が想定以上に上がったりすれば、やがて発行できなくなり、歳出削減しか残らない。

  • 実は当初予算だけでは騙されやすくなった
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財政の実態は当初予算だけでは分かりにくい。近年、年度の途中に景気対策とか国民に寄り添うとかの気味の悪い大義で大型補正を組むことが増えているからだ。カネ使いが荒くなっているのだ。つい11月には13兆円も組んだが、7割は国債(8.9兆円)である。つまり人気取りの補正予算で赤字国債を大量発行して財政悪化の原因を作っており、それをリベラル紙さえ危ぶむ。※

※住民税非課税世帯向け7万円給付、ガソリン、電気・ガス代の補助金、半導体メーカーの支援や宇宙開発の基金に使う。朝日新聞 東京新聞

当初予算には注目が集まるから「財政健全化にも目配り」と装いながら、補正という「抜け穴」で国債を発行する。その手口は、政治資金規正法を守ると言いつつ、パーティ券で裏金作る行為と似ている・・・。

  •  金利のある世界へ行く力が有るのか正念場の春

脱デフレとしての異次元金融緩和をやめ、「金利のある世界」へ戻ろうとし、それは各方面から望まれている。※1

金利が上がるメリットは多い。経済活動の正常化や投資の最適化だけでなく、金融資産に利息が付くことである。年金はなかなか上がらないが、(高齢者の)金融資産に1%でも利息が付けば、税引後0.8%となる。1千万円で8万円となり、十万円給付に近いのだ。

アベノミクスの相棒である黒田日銀が金融緩和を続けたことで、財政を肥大化させ、赤字国債を増やしても金利は上がらないという慢心や「日銀は子会社」という態度が自民党に沁みついたが、パーティ券疑獄で安倍派の衰退や解体がはじまった。

それは日銀の政策的自由度が元に戻る事であり良いことだ。短期的には、金利上昇で財政悪化がさらに進むが、その先の正常に歩むきっかけになると期待する向きもある。もちろん、(借入コスト上昇と言う)痛みや緊縮財政を拒否する人々もいるわけだが・・・。

所が金利上昇が制御不能になることを恐れて、植田総裁が本当にやれるかは分からない(思った以上に慎重なのは、国の財政悪化を恐れているのだろうか。他に、日銀の財務状況が悪化するから躊躇するという見方もある)。基本、個人はどう守るべきかと言えば、円高ではなく、「円だけ」リスクに備えた方が良い。そこは変わらない。

※1  金利のある世界へ(みずほリポート) 

2%物価が持続的・安定的に実現した場合の、「金利のある世界」を想定する
■前提となる経済のファンダメンタルズ
―持続的・安定的な2%物価が実現。省力化投資・人的資本投資の活発化で実質成長率(潜在成長率)は0.3%pt上昇(0.8%)。インフレ率を上回る賃上げ率が定着し、安定成長へ
■前提となる政策金利・長期金利の到達点と政策金利のパス
―2026年にかけて政策金利(短期金利)は2.75%、10年国債利回りは3.5%に上昇
―2024年上期にYCC撤廃・マイナス金利解除を実施し、年4回0.25%ずつの段階的な利上げを実施。2026年後半に2.75%に到達
■実体経済への影響
―金利上昇が投資を、円高が輸出を押し下げるも、労働生産性の上昇により成長力が拡大
―家計では、高所得層・中年層で収入増加。預金利子収入増が、住宅ローン負担増を上回る
―企業では、負債利子率上昇や円高のマイナスを、景気拡大による利益増がやや上回る
―政府では、経済成長にともない税収増も、中長期的に利払費の増加が財政を圧迫
■金融機関への影響
―利ザヤは拡大へ。金利感応度は振れ幅があり、利ザヤのレベル感は幅を持ってみる必要
―預貸金残高は、家計・企業のキャッシュフロー改善や、資金需要の増加により拡大。ただし、手元預金を住宅ローン返済や設備投資の原資に充てる可能性も

 

 

2023年6月 7日 (水)

上尾市ふるさと納税の成績は30点

上尾のビッグコンテンツは「上尾」を冠した自転車・メディックス・人間ドッグ・B?

追加:上尾マラソン券 

1 ふるさとで繕う日本 2 埼玉県ランキング  3 本稿

前記事の国資料から再掲すると、2021・R3年に上尾市は490件(≒人数)を受け入れ、実質収支は受入寄付額70-費用30-翌年控除額(流出額)574=▲535百万円だった。こうした赤字は都市部で、かつ人口順と類似する。

逆に、外部へ寄付した上尾市民は約14,000人、寄付総額は12億23百万円だった。つまり、入りは7千万円、出は12億円となり、人数では28倍差だった。

以上は国統計(控除額は推計含む)であるが、市の発表やネット上の他の公開値とは異なっている。

       件数    寄付金額(千円)
R3    447      62,954
R2    497      73,220
R1    306      19,660

 しかし数字の違い以上に問題なのは、上尾市当局が実質収支を報せず、聞かれるまで答えないという姿である。

平成27年度に返礼品事業を開始。自転車は人気が高いが、競争が過熱し総務省から資産性の高いものはふさわしくないという通知が出、29年度に自転車の扱いをやめた。31年に総務省から資産性が高いものの中に価格が安いものは含まないという趣旨の通知があり、10万円未満の自転車を再開した。
寄附額-経費等と市税減収額を引いた収支は、30年度は▲2億2,000万円、31年度とR2年度は▲2億9,000万円、3年度は▲3億9,000万円の赤字見込み。ただし、赤字の一部は普通交付税で措置される。・・・略
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  • 平凡な自治体

過去最大は1.1億円のままで、上尾市当局がしゃにむに上積みを狙うでもなく、何かいいネタ(返礼品)があればなーと言う、いかにも受動的な姿が透けて見える。

以前、悪法も法なりと書いだが、制度がある限りはとったもん勝ちなのだから税収獲得競争に本気で参戦し、停滞したローカル経済やルーチン型行政に変化をもたらすべきと思う。また、自治体担当者は産地品がショボいとかビックコンテンツが無いと嘆く前に、この競争結果は外部評価であり、知恵の有無までもが評価されていると思うべきだろう。

例 上尾市のふるさとチョイス・70件


1.自転車千台を目指せ。今の品揃え、ずれてない?

ブリヂストンサイクル(BSC)の電動アシスト自転車が、上のサイトでは人気の1~6位を占める(ランク順定義は不明、また順位は変動する)。

 一位はアシスタU スタンダード331,000 円。これはBSCのオンライン通販ではオーブン価格で非公開だが、ネットで11万円前後なので返礼率30%に収まるのだろう。TB1eスポーツ型は48万円と高額だが、直販で17万円、ネットで15万円ほどだ。

 しかし、車高の低い子供載せのママチャリは上位に来ない。このタイプは50万円と高く、その額(地方税)は年収(世帯構成で違うが)1800万円位となるので、そうした高所得層の年齢は幼児を抱える年齢層よりも上となりママチャリ需要は少ないはず。

 電動ではないスポーツタイプは直販サイトで5万~8万円台まで5種類あり、15~30万円になるから、このカテゴリーを強化した方が良い。また家族用なら、子供用の方が(安いから)寄付額も低くなって求めやすい。

 ようするに電動高額品よりも非電動の低価格帯にシフトして申込層を広げて数を増やす方が良い。人気のある肉や海産物だって、一品30万円とかはない。それでも20万円の千人で二億円にしかならないが、一方で手ごろな価格で済むヘルメット需要が(努力義務化で)急に生まれたから、数は増えるだろう。

 なお、あの泉佐野市はBSCと取引のある専業企業があるらしくて大量の自転車を載せていた。上尾の公務員との違いなのだろうか、これでは勝てそうも無い ('ω')

2.地産品が乏しい所は体験型だから、上尾メディックスこそ上尾のキラーコンテンツ

今は、埼玉アイスアリーナの無料券10,000 円と花咲の湯 回数券70,000 円がある。どの程度でているのだろうか。スケート場はフィギュア選手を目指す限られた親子に人気があるから、そっちの品揃えは無いだろうか。

そして、なぜ上尾メディックスを使わないのか不思議だ。Vリーグ観戦券なんて既に他自治体でもやっていたし、前に書いた選手交流会への出席どころではなく、姫路市では5万円でレシーブ体験までやっている。

しびれる!プロの強烈アタックふるさと納税返礼品は夢のレシーブ体験 ヴィクトリーナ姫路で5人挑戦

金沢武士団ホームゲーム観戦チケット引換券:14,000

・KUROBEアクアフェアリーズ選手からあなたへのサンクスメッセージ:10,000

・V2リーグ:フォレストリーヴズ熊本・・・スパイクを受けれる権利 観戦チケット+オリジナルTシャツ付き 20,000

・サンバーズの現役選手などから直接指導を受けられるバレーボール教室 55,000

3.上尾中央総合病院の人間ドッグを

上尾を冠して有名なのは病床700を超す上尾中央総合病院だ。なにせ駅から歩3分と近いのがウリは関東圏や埼玉県内からのアクセスが得られやすい。既にやっている所は下。

ふるさと納税の人間ドックおすすめ還元率ランキング!エリア別まとめ

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 見晴らしの良い最上階のラウンジにはフリードリンクもあるし、終わった後で1階食堂の無料券も付けてもイイよね(某健保組合ではそうしてる)。一度、受診、じゃない打診に行ったらどうかな・・・

4.ベルーナの衣料品や高級ホテルは

 ふるさとチョイスの「衣料品」 

 通販ベルーナに高額品を中心に協力してもらえれば品ぞろえが良くなる。なお、札幌駅に作るインバウンド用高級ホテルSAPPORO HOTEL by GRANBELL(仮称)の宿泊券はムリかな? 凄く人気が出るはずなので市長のトップ営業が必要かも。

  • その他

・追記 上尾ハーフマラソン・・・申し込みが多いから、ふるさと納税者優待券とか。

キウイ・・・上尾市の特産品と言う割には使われていない。一枚百円超の煎餅なんかよりいいよ。

・畠山稔 握手券 1000円

・上尾市役所特産ブロック塀工事一式 100万円~700万円

 

おわり

 

2023年5月24日 (水)

埼玉県_ふるさと納税の収支ランキングと入出率

返礼品競争から降りた所沢市の実質収支は?

前記事のつづき

ふるさと納税は矛盾を抱えつつも、お得感が負担を隠しているから納税者も自治体も便乗せざるを得なくなり、年々増えている。でも、その実態は危うい。

(1) ふるさと納税の収支ランキング

 収支=受入寄附額-費用-税額控除 を求めたのが東洋経済の都道府県別の市町村ランキングである。なお、本ブログでは実質収支と称したが、原文は「収支」とあるのでそのままとした。また、20年度の寄付であり、地方税控除額とは翌年の分である。

 埼玉県のランキングをみると黒字は15自治体と少なく、北・西部の人口の少ないエリアが目立つ。寄附額-費用が赤字となることは無いので、他へ寄付できる人が少ないと(流出する)税額控除も少なくなり黒字化しやすい。都市部はその逆に控除額が大きいために赤字になりやすい。

  • 上位5と下位8市のみをあげた。金額の単位は億円
  収支 寄付額 費用 控除額
秩父市 2.91 5.97 2.65 0.42
北本市 2.65 6 2.44 0.91
三芳町 1.24 3.32 1.45 0.62
日高市 1.02 3.05 1.38 0.65
深谷市 0.49 4.01 1.91 1.62
         
上尾市 -3.94 0.73 0.3 4.37
戸田市 -3.94 0.11 0.04 4.01
草加市 -4.47 0.45 0.08 4.84
川越市 -5.61 0.63 0.19 6.06
所沢市 -6.44 0.55 0 6.99
越谷市 -7.1 0.07 0.01 7.17
川口市 -12.83 0.5 0.11 13.22
さいたま市 -53.67 0.55 0.17 54.05

(2) 2021/R3年度の実質収支ランキング

 上表のソースは総務省の寄付額と控除額のExcelファイルである。その2つからデータを照合して作るが、なぜかひと手間かけないと統合できない形式だった。それはともかく、直近で一番新しい2021年用を作り、かつ、(1)の形式以外に二つの工夫をした。

一つは、受け入れの反対となる「自市民による他への寄付額」を明らかにした。その人数も分かるのだが表が大きくなるので略した。

もう一つは「受入寄付額÷流出寄付額」、つまりIn/Out比率である。それを見ると実に酷いもので、さいたま市は100倍の差だ

 埼玉県のふるさと納税 実質収支ランキング.pdf

上尾市の場合 (金額は百万円)

R3寄付額 費用 R4控除額 実質収支 他へ寄付額 入/出率
70 30 574 -535 1,233 6%

●下から三番の所沢市の収支比率が100%なのは、2017年に「ふるさと納税の趣旨から逸脱した競争から降り、ふるさとを思う気持ちからの寄付に期待したい」として返礼品をやめたからだ。 2300万円は見返りを求めない寄付であるが寄付者の税額控除はされる。そうは言っても、前記事の世田谷区のように流出する寄付が圧倒しており、▲9億円と大きい。

産経 所沢市・・・「終わりなき競争」から撤退

しかし、前記事末に書いたように理想ばかりでは喰えないので、23区の逆襲も始まっている。所沢市だって市長が替わったりするとどうなるか分からないだろう。

つづく

 

2023年5月21日 (日)

ふるさと&寄付で繕う日本

最大の罪は、日本に寄付文化を根付かなくしたこと

多くの自治体が寄付額と件数しか発表しないのは、世間がそこしか注目しないからだ。一方、国は、寄付額-直接費(返礼品コストや送料)-事務費までの収支公開している。その方がマシなのだが、まだまだ不十分。本当は、他へ流出した地方税分までも引いた実質収支が必要だ。(※当方が勝手につけた名前)

 ふるさと納税に関する現況調査結果より。2021年度は8302億円と過去最高だった。22年は更に増えるはず。なお、利用者は740万人の12.5%であった(こちら)。

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  • 上位10自治体の寄付額
    件数 金額・億円 平均・円
1 紋別市 1,105,051 153 13,843
2 都城市 695,351 146 21,020
3 根室市 774,308 146 18,861
4 白糠町 827,301 125 15,136
5 泉佐野市 894,137 113 12,690
6 都農町 562,727 109 19,450
7 洲本市 583,982 78 13,429
8 敦賀市 445,917 77 17,317
9 富士吉田市 266,946 72 27,024
10 飯塚市 574,043 66 11,435

 実は、20位までの合計額が全体の20%を占める。つまり全自治体の1.1%に二割が集中なのだ。なお埼玉県のランキングは次記事にした。

 ふるさと納税を巡るニュースは毎度キリがない・・・

  • 「減額は適法」という二審敗訴の泉佐野市

つい先日、ニュースがでたばかり。泉佐野市はAmazonギフト券まで付けて全国からカネを集めまくり19年には185億円に達した。そんなやり方するならと、国は地方交付税を減らしたので裁判になり、市が一審勝訴していた。なお、同市は2008~21年まで1005億も集めて累計日本一である。

  • 捕まる公務員もでた

『町職員になってから時間を持て余してきた。ふるさと納税はやりがいがあった』

返礼品業者から9千万円の賄賂で逮捕された奈半利町の課長の告白は素直な説得力がある。上司や両親まで起訴されただけでなく、返礼品の価格を安く偽って国に報告したため、町は指定取り消し一号にまでなった。多くの寄付を集めたこの人を「エース職員」と呼び、口を挟む人はいなかったとあるが、(捕まらなくても)この程度をエースと呼ぶのだから本当に暇な職場らしい。

  • お得が溢れて負担が見えない

 ふるさと納税は、住んでいる自治体に納める税を、寄付金と返礼品を介して、他自治体に移転するものだ。国は、「経済的利益の無償の供与」であると建前を語るが国民も自治体もそうは考えない。

第1式 2000 円 < 返礼品の価値 < 寄附額-仕入と事務費

 自己負担2000 円を上回る返礼品が貰えるという経済的合理性が働くから寄付とは名ばかりになる。もちろん(自治体との)出自に関係はない※。一方の自治体は、コストとの差額が収入になるから、多く集めようと返礼品を競う。かくして、ふるさと納税の指南本やWebには「お得」の文字が溢れている。

 ※最近の赤ん坊の産地は8人に一人が東京都であり、ふるさとは東京と答える人が圧倒的になる(東京圏なら3人に一人)。

 また、返礼品業者は(たぶん)値引き販売しないため利幅が大きい。取引のインフラを請け負うサイト運営者(ほぼネット通販)は掲載料・仲介料ビジネスであり、低リスクでうま味がある。だから、年末が近づくと、中身などお構いなしにサイト名を連呼するCMが増える。

 話しは変わるが、かつて景気対策というと道路やハコモノであり、それをゼネコンが担ってきた。今はソフトな事業が増え、IT系や派遣型企業に国家予算が回る。大手ではパソナとかリクルート、電通などの名がよく出てくる。

 しかし、純粋な市場原理が働くわけではない官製市場なので、こんなうまい話が成り立つわけは無い。誰かが負担をしないと帳尻が合わない。それは、税の流出超過(赤字)となる自治体(=住民)と赤字の75%を補てんする国庫(=国民)である。しかし、間接的な痛みでは感じにくく、「ふるさと」や「寄付」という美しい言葉で継続する。

 ちなみに、見返りの無い純粋な寄付をして税控除される仕組みは昔からあるのに話題になることはない。改めて、タイガーマスクはエライ。

第2式 (寄付額-仕入と事務費)-流出した地方税=実質収支

第3式 実質収支+国からの交付金(流出した地方税のX%)・・・一般に75%だが地方交付税の無い豊かな自治体は0

●やり過ぎ自治体

 長野県伊那市はパナソニックの4Kテレビや掃除機、オリンパスのカメラなどを返礼品にし、2016年に72億円も荒稼ぎした。下請けや部品メーカーがあるだけで返礼品に入れたらしい。そして、品物の時価÷寄付額で求める返礼率(還元率とも呼ぶ)が高く設定された高額品であり、かつ換金性もあるから人気がでた。

 しかし、返礼率を3割以下の地場産品という総務省の通達で全滅となり18年には一億円レベルまで落ちた。寄付した人達が応援していたわけでは無いことは、言うまでもない。今の伊那市の家電はこのていど。

●牛肉と焼酎で集める都城市

 東洋経済の20年度調べは、都城市は寄付額135億円で全国1位で、控除額まで引いた実質収支は+70億円である。人口16万人の同市は、R5年一般会計予算書をみると968億円にふるさと納税140億円を計上する。なお、昔からある純粋な寄付金は1しかない。つまり千円という意味だ。

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 使い道の最多は子供支援に67億円とあるが、主な中身は、保育料無償化約7億円、中学生以下の医療費無料化6億円などで、この程度なら他市でもやっていそうだ・・・

 本制度は、自治体間の競争を促す面もあるが、魅力ある特産品がないと、かえって(税流出で)赤字になる。だから、反対論が増えないように流出した75%を国が損失補てんする。なんだかマッチポンプみたいであり、これでは本気になれない。かと言って、金額が少ないとランキングが公表されるのでカッコウが悪い。

 毎日新聞(21/12/17)によると、20年度の純粋な赤字は471自治体あり3大都市圏に集中する。一方、黒字は北海道418億円、鹿児島190億円、宮崎187億円に多い。これだけ見ると、都市から地方に所得移転されてイイじゃんとなるが、前述したように、少数の自治体に多く集まる歪みがある。既に、製造業が海外移転して少ない日本だから、贅沢食品をウリにするが、今後はサービス消費のコトを増やす必要があるのだろう。

  • やられっぱなしで怒る世田谷区

 税金が流出する上位は、横浜市230億円、名古屋市143億、大阪市123億、川崎市102億、世田谷区83億、さいたま市73億と続く。

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 特に、(豊かな)世田谷区は交付税無しなので75%補てんが無い。だから、毎年、国に怒る。小学校なら2校改築できる規模だと嘆いていた。そして広報せたがやで区民に訴え、見返りのない寄付(用途は指定)を求めるが、グラフの青棒で分かるように反応はつれない。

 そりゃそうだ。たった2千円で十倍・百倍も価値あるモノが得られるのだから、行動経済学を持ち出すまでもない。応援感情よりも損得勘定なのだ。そして、こんなにインセンティブが高くても寄付と呼ぶのだから、ふざけた話だ。日本社会に寄付文化が根付かないわけである。

 それを分かっていながら、官も民も美しい言葉で繕うのが最近の日本だ。古い喩えだと、タコ足配当だよね (>_<)

しかし、奪われっぱなしではマズいので、東京都の23区の逆襲が始まり、ホンキでカタログ商戦に参入するらしい。ジュエリーとか資生堂パーラーの食事券など、あか抜けた差別化で勝負するらしい。

追記 7/9 毎日新聞 交付税で補されない世田谷区の流出が深刻だ。23年度は97億円と予想し、100億円突破は時間の問題。魅力ある特産品が無い所は都市でも地方でもマイナスになる。

つづく

 

2023年5月 2日 (火)

上尾の予算を語る市会議員と伝統芸

参考 上尾市サイト 当初予算の概要

市の税収額は過去の最大値325億円(2007年)に並ぶ水準へと回復した。リーマンショックから実に16年ぶりである。しかし、予算規模は当時より4割も肥大化して735億円、これはコロナ前年(19)より80億円も多い。よって、予算に占める市税割合は44%と低水準のままである。

(余談)
 上尾が草加市に負けた日・・・人口類似のために比較しやすい草加市が、ついに上尾市を上回ったという屈辱的ニュースをみた。102億円で耐震構造の10階建て庁舎を建てたのだ。しかし、屋上まで吹き抜けにしたのは、今まで風通しの悪い職場だったのかな・・・

-以下本編-

一つのテーマ(2023年予算)について複数の市議が書いていたので感想を交えて書く。

●井上茂議員62号で予算が734億円になったことと主な新規事業と予算額を短く紹介したが論評はない。詳しくは広報を見てねと言う感じ。

同じ会派の鈴木茂議員レポート13号では予算のポイントとして新規事業、特に教育系事業を取り上げたが市の文書のコピペみたいだ。なお、同レポートには三月議会の顛末が書いてあり、相変わらずだなーと思った。

読んで腑に落ちなかったのは、市政65周年で1246万円の式典の件だ。上尾はいちいち5年おきに式典をしているのだろうか? また、今年から伊奈町との消防事業統合がスタートし6.3億円増えたが、伊奈町からの委託収入分も開示しないと片手落ちだと思った。

上尾同志会の市政ニュースにも

上尾同志会は相変わらず尾花(新県議)のサイト内に間借りしていて独り立ちできない。その春号の紙版が郵便受けにあった。予算への論評をグラフ付で書いてあり、パッと見の印象は良い。

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 予算額は過去最大と伝え、自会派が求めたいくつかが入ったと誇示する。でも、前年比較の同心円グラフは小さくて読めない。そもそも前年踏襲なので二年比較での差は目立たない。(下のウォーターフォール図のが良い)。

 それでも、予算編成の懸念点を指摘したのは他者にないことだ。

その一つ、不意に備えるための貯金(財政調整基金)を過去最大の32億円も取り崩したのは良くないから、もっと増収策をと書いている。それはもっともだが、その中身が定住促進や企業誘致で市民税増、用途緩和で固資税増と平凡だ。もっとリアルでないと、「きれいごと」と当局から笑われるだろう。

本気で短期で億単位を集めたいなら、ふるさと納税の拡大強化しかない。高すぎるインセンティブで寄付精神を歪めた悪法だが、集めたもん勝ちだから批判覚悟でやれば良い。
既にブリヂストンサイクルの電動自転車を扱うが、もっと低価格帯の車種(他社品でも?)やスポーツタイプをカタログに入れ込めないか! ヘルメットも義務化で追い風だから子供向け中心にデザイン性と高価格品へ品揃えを増やすと良い。
さらに、無形サービス(例、Vリーグ観戦券)とか上尾メディクス選手交流会とか、まぁ何でもありで探すべきだ。北西酒造も最優秀賞とったことだしね。
繰り返すが、集めたもん勝ちであり「出自」とは関係ない。悪法もまた法なりだ。
追記 21年分、寄付7.3千万-費用3千万=収支4.3千万円。他市へ流れて失った税4.37億円を引くと約4億円の赤字東洋経済より

さらに、水光熱費が4.2億円も増えて十億円になったと書く。そのデータに驚いたが、資源インフレと円安のためだから上尾だけの問題ではない。そして節電効果などタカが知れている。

むしろ、コロナ前の19年度と比べて80億円も多い水準を精査すべきだ。元々、何かを増やしたら同額の何かを減らすと言うオフセット(相殺)思考がないから増える一方である。

今年の膨らみの原因は何だろう。まだコロナ対策の継続があるのか? 或いは、インフレによるコスト増→価格転嫁→売上増→賃金増→税収増という連鎖によるインフレ影響なのか?(本来はインフレ増加分を開示すべき)。

 そうした上で、今年の予算をこう見るべきと思って書いたのが、冒頭の囲みである。

なお、同志会は貯金の役割を勘違いしていないか。長期または短期的な資金不足への備えが目的だが、現実には長短の区分は無いがため、ほぼ短期資金繰りの調整弁になる。それを上尾財政課は伝統芸とし、毎年、期首で大きく取崩し、支出予算は必ず多めに申告するから、期中に余りがでたら補正予算で積立し、期末まで復元するを繰り返す(今回の大幅取崩は下の収入グラフに示した)。

問題は復元できなかった時だが、緊急時という共通認識になると、(怖くて)ムダと言えなかった項目がムダと言えるようになり、原資になる。体脂肪をため込む人みたいだ (>_<)

●小池ゆうや議員レポート

同志会とは別に小池議員ブログに4本の記事があった。市の予算書やグラフを転載して、自分が書いた風なレポートにする議員が多い中、オリジナリティがあって良い。内容が拡散するので今回は省略するが、"ちょっとそれは無いだろう"のみを書いておく。

・法人税が少ないから市内事業への支援をという。具体的に何を求めるか分からないが、税を納められない企業の経営改善を公務員に求めてもムリ。追い貸しになり兼ねず、さらなる税の損失が膨らむ。

・歳入を少なく見積もり過ぎるとし、ヨミの精度を高くと迫る。近年のことだとしたらコロナ禍の経済混乱、ロシア侵攻によるインフレなど有事によるものではないか。そして、収入を堅く見積もるのは財政健全化の基本だろう。

・公立保育所でも先端的に英語やプログラミング教育をというが、子育て経験をしてから提案した方が良い…

●2023年予算の特徴をウォーターフォール・グラフで説明 

 2022との前年差異である。クリック拡大。

1 収入の部
 総額で38億円増えた増減要因を示す。市税の8億円増は近年稀なこと。増加が大きい繰入金は貯金取崩しのことで、借金返済が大きいために充てたと想像する。

2023

2 部門別の支出
 部門別ってあまり意味がないと思っている。(^^♪

2023_20230501005801

3 性質別の支出
 人件費のうち6億円は消防統合による伊奈町からの転籍だろう。扶助費は減らない。物件費の23億円増がやけに目立つ、一体何を買うのか上手に伝えて欲しいものだ。なお、下グラフは前年との差異のみだが、実額で見ると扶助費が全体の3分の一、235億円を占める。

2023_20230501010401
※ ペイアズユーゴー(Pay-As-You-Go)の方が適切かも。

2022年9月 4日 (日)

一人当り税負担額、上尾市いまだ浮上せず

埼玉県 市町村の人口一人当たり納税額ランキング 

過去は 2017年度  2016年度

  63市町村別の税目別負担額埼玉県 財政資料で公開されている。決算値を1/1の住基人口で割った一人当たり納税額である。過去記事の続きとして最新データを見た(と言っても20年だ、古い!)。

市税全体 個人市民税 法人市民税 固定資産税
137,066 60,950 6,483 52,517
 一人当りの地方税額、上尾市の順位は39位と低迷のままだった。その内訳は・・・
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  • 個人税は前年より微増していたが順位は19位と冴えない。

 定年退職する人が多いほど減ると思うが、近年、上尾はファミリー層の転入が増えている。しかし、定年退職者による減収と転入者による増収の綱引きは、世代人口が違い過ぎてムリだろう。定年60歳人口は今後十年で1.7倍に増える。

  • 法人税41位と過去最低レベルだ。法人税は、景気の影響と地域的な偏りが強くでやすい。また、額としては大きくはなく地方税全体の県内は5~8%ほど。上尾は宅地化需要のために土地を売却して移転する法人が多かった結果なのか、税のシェアは6%とやや低い。 参考 日経
  • 固定資産税57位と沈んだままだ。これは安定財源なのだが、他自治体と比べて特に見劣りする点だ。なぜ少ないのだろうか。団地が多いからと思ったが、持ち家比率が特に低いわけでも無さそうだ。もし、法人分が少ないためなら、近年のイオンや倉庫面積拡大に期待しよう。

●市町村税の増加額のベスト10

 手元に2015年のデータがあったので、2020年への5年間の増加額をみた。

順位 市町村名 市町村税 個人税 法人税 固資税
1 さいたま市 29,565 29,833 -2,797 2,556
2 川島町 22,963 2,394 903 18,112
3 杉戸町 16,410 3,063 3,233 10,062
4 神川町 15,717 3,763 298 10,044
5 横瀬町 15,387 3,425 -3,379 14,474
6 幸手市 14,213 1,439 186 11,094
7 吉見町 13,517 2,413 -1,774 11,238
8 東秩父村 13,032 3,213 164 7,902
9 秩父市 12,728 5,013 -1,899 8,088
10 松伏町 10,879 3,119 -677 7,455
:          
46 上尾市 4,852 3,628 -1,614 2,183
62 戸田市 -2,683 6,208 -7,511 -1,021
63 滑川町 -13,440 652 -12,634 -1,478
参考 40市平均 10,863 9,420 -2,059 3,104
町村平均 7,984 3,150 -1,006 5,167

さいたま市は5年間で一人3万円も増えた。個人税の増加によるものだが、異様な額なので比較対象になりそうもない。

二位以下には周縁部の自治体も目立つ。共通するのは固定資産税が一万円も増えたこと。個人の固定資産税が増えるはずも無く、企業進出による投資効果と思われる。そこへ、(分母となる)人口が減った皮肉な効果が重なったとか…。

実は、5年間で8割の自治体が法人税を減らしていた。何か税制が変わったのかは知らない…。

なお、一人当りの固定資産税を減らした街が、5年比較で4つあった。八潮市、戸田市、滑川町、寄居町。これは、一人当りなので人口が増えた効果もありそう。なお、ホンダ移転による狭山市と寄居町の行く末には興味がある。

●上尾市の税収の行方は

 上の表で、上尾市は5年間で4,852円とわずかだ。市平均が一万円も増えているのに、その半分にも満たないばかりか、町村にも負けている(>_<)。市平均と比べて、個人税で24,000円、固資税で10,000円も少ない。一万円の差は、市税で23億円の規模であり、それは使途フリーな財源になる。

 なお、22年度の市予算は地方税を前年より22億も強気見積りした(その根拠説明は見たことが無い)。

個人税8.9億円(+7%)、法人税6.7億円(+55%)、固定資産税5.9億円(+5%)

過去記事 2022年度予算_市民税が過去14年で最高額へ

関連 上尾市の財政物語

 

2022年5月18日 (水)

4630万円騒動が伝えない日本の凋落ぶり

阿武町も男も、あぶはち取らず (>_<) 

 名前も顔写真も公開されており、全国の同姓同名の田口さんには大迷惑である。臨時特別給付金は住民税非課税世帯に十万円なので山口県阿武町(あぶちょう)では463世帯ということだ。

町長は残りの462世帯へ、『もう配れません。彼の口座にあるよ』と言えば、皆が彼の家へ押しかけて無事回収だったかも( ゚Д゚)。

つまり、伝えられる話は、「しょせんは税金だから」という緊張感のない三文芝居になっている。

本件は、お役所の入力ミスだけではなく、受取人が不埒な人間だった、と言う二つの低い発生確率が重なったことにより表ざたになったと思う。

そこで、思い出すのは、昔、みずほ証券のジェイコム株の誤発注事件

61万円を1」と入れた大損事件である。今回の役人もお粗末なのだが、株の誤発注事件では入力後の警告メッセージを無視して実行したらしいので、ヒューマンエラーは0にできない。と言って、いい歳した役人二人で読合せ入力なんてバカな仕事をする自治体が増えるのも恐ろしい(残業代が簡単に出ない自治体だとサービス残業かも)。

どうも、本件の核心は男の方にあると思う。

家族のあり様が衰弱している日本では、このような人が増えていると思う。想像になるが、若くて、一人暮らしで、ネット漬けだったりすると、社会規範が希薄化すると思う。独りでも便利に過ごしやすい当節の時代が、このような人の発生確率を高めているように思える。

結局、阿武町は人口増を狙う定住促進で男を招いた。その男は、ギャンブルで稼いで元金を返すつもりなのか知らないが、町も男も「あぶはち取らず」になっている。 

 で、ここまでが前置き・・・

この男は、町の空き家を活用し定住促進を図る制度で移住してきた。つまり、町民税を払えない人であっても公的負担をして招いている。それは、地方交付税の算出因子に人口が影響するので、「人口」という数字に拘る行政の姿である。でも、これって官製版の「○○ビジネス」みたいだ。

そして重要なのは、非課税世帯数の多さを見れば地方から確実に貧しくなっているという姿である。

実は阿武町サイトはずーつと閲覧できないので総世帯数を概算1500とした(人口は2952人)。また、生活保護世帯はH25年の古いデータで14世帯だった(地方は少ない)。つまり、全世帯の31%は住民税を納めていないという担税力の無い地方の姿である。

前にも書いたが、全国には 市の住民税<市役所の人件費 という市が60もある。町まで含めるともっと多い。自治体というけど、「自治」力はない。

上尾市の非課税は21200世帯、全体の20% 

現段階で、住民税非課税世帯数は約21200世帯ある。具体的には住民税の所得割が0、均等割りが0という世帯のことだ。なお、同世帯の中の一人でも納付していると該当しない。

住民税0円とは給与年収でみると、単身者96.5万円、妻と子供2人で233万円、年金だと65歳以上の単身者152万円以下のことである。(住民税のしおりP7より)

上記とは別に、くらし支援給付金という市独自の給付がある(良いことなのか否かは分からないが)。

これは均等割り5000円のみ納めた世帯に5万円給付するもので、対象は3300世帯。そもそも「均等割り」はみんな納めているものとばかり思っていたが、そうでは無かいことを本件で知った・・・

無税と言う点では他に、生活保護世帯が1829世帯・2344人(2020/3月末)いる。最近増えている。

総世帯数105,469(22/1/1)を使うと、住民税非課税世帯は20.1%、均等割り0世帯は3.1%生活保護世帯は1.7%となり、合計25%である。

この非課税世帯比率が全自治体別に開示されると良いと思うが、今のところ集約する機関はなさそうだ。ただし、この事業により今まで見えなかったものが明るみになったと言えよう。と言って、日本人に危機感が有るわけでは無い・・・国債刷ればいいだろう。日銀は子会社だし・・・

当面は、「自治体名 非課税世帯数」で検索する。

春日部市は22.7%だった。

 

 

 

2022年3月 7日 (月)

上平の複合施設計画はマッチポンプである-4

自分で立て、自分で取り消して公約実行だという。

予算関連 1 規模  2 市民税  3 特徴 4本稿 

前記事3のつづき 『アレ、予算ないね…』と最初に感じ、そりぁそうだなと思ったのが「上平の複合施設計画」だ。

去年11月の市長選では対立した深山元議員が「子育て交流プラザこども未来館」という世間受けするイメージ案を唐突に出していた。それは、とん挫していた本件の代替案だと思ったが、争点にはならなかった。本館移転と比べたら市民の関心はとても低いためだ。結果は予想外のダブルスコアーで畠山圧勝だった。

その選挙感想記で書いたように、四年間で上平出身の市長と議員が消えたことになるのだから、畠山さんは彼らに"義理建てする理由"は消えた、と思っていた。だから、終わった本件が、2/19の朝日新聞に載ったのは驚いた。ソースは議会用に発表されており、短いので簡単に読めるが、朝日とはニュアンスが違う。

まず、ソースには、「市長選の公約として本計画の見直しをする」とあるが、当時の選挙公報には何も書いてないことを指摘しておく。そして、三つの方針を決めたと発表した。


1 あの土地は当面、「上平広場」として継続する。

2 コロナ禍と財政を理由に、(苦渋の決断ですが…)複合施設建設は凍結する。

3 図書館分館機能を含むとした案は撤回する。

以上だ。これだと図書館を入れない案なら、いずれ解凍すると読めるから、素直に白紙撤回とは受け取れない。

二番で、コロナと財政を理由しているのはこじつけ。本件は逮捕市長からの負の遺産であり、畠山さんにはお荷物だったから、「清々しました」、「時間かかり過ぎました」、「ごめんなさい」と言えばよいものを、月並みな『苦渋の決断』と気取ってみせる。

なお朝日記事の終りに「再検討には市民の意見を伺う」と伝えるが、「市民」にも色々いるから、そこが問題だ。本件だって、(好都合な)市民の意見を聴いたことにして突き進んだじゃないか、愚かな施設課よ。

W逮捕後からを回顧してみた。

彼は島村案を見直し、途中でPAPAへ本館移転という寄り道を目論むも否決され、自ら進めた複合施設案も否決され、今回の「見直し」へたどり着いた。つまり、自分で立てて、自分で取り消したが、謝罪もないし、予算を無駄使いしただけなのに責任も負わない。極めつけが「見直しは公約実施だから」では、マッチポンプである!!

これなら誰でも「市長」が務まる(実際そうだから、無能でも成りたい人が現れる)。

こうなる最大の理由は、政策の合理性が無いためであり、そうなるのは彼が本気で問題に向き合わないためだ。人柄が良くてもそこが限界となり、それを良いことに、自信過剰に陥った幹部職員が政策の道を読み違えてしまう。これが畠山市政が迷走する実態である。

そして、W逮捕から四年、上尾は畠山稔市長と渡辺一議長と言うコンビになった。どんな意味かは書かない。

あの記事は朝日にしては薄っぺらだった。書いてほしかったのは、『買うべきではい土地をなぜ買ったのか』という出自についてである。歪んだ地域愛と権力者へすり寄る人々(職員と市民)が市政を堕落させて産まれた土地であることを、自治力の育たない郊外市の姿として描いてほしかった。

所で、深山さんは島村時代に「文化のバロメーター」と言って図書館建設に熱心だった(しかし、本館で姿を見かけたことはないとコアユーザーは言う)。島村逮捕後も、私はあきらめないとブログで一人気を吐いていた。たぶん、後継者を育てることもなく二年後には戻るだろう。

その頃までに、畠山さんは、さっさと負の遺産処理をやれば良い。先ずは上平広場の管理を畑違いな図書館部門から「みどり公園課」へ移せ。ゲートボールで老人優遇するだけじゃなく、若者にバスケットリンク位作ってやれよと言いたい。地域偏重案が出た時には若者が反対するようにね。

そろそろ、下り坂を歩く準備が必要だ。

所で、当然のように、(新たな)ハコモノにノーという市民がいる一方、既存施設を削るのはノーという人も現れる。例えば、利用者の集まらない公立幼稚園廃止を"許さない"という地域民とか、小中学校の統廃合への反対も一部である。

つまり、作るのもダメ、削るのもダメと言う現象だ。どちらも人口減少という背景で起きていることだが、そんな事にはお構いなしだ。しかし、上平計画が消え、今後の長期的テーマは学校施設更新問題であり続けるだろう。

それは人口増で一気に学校を増やした郊外自治体の共通の悩みである。膠着した綱引きみたいに問題解決できないでいると、両者が一緒に衰弱するだけだろう。

オシマイ

 

2022年3月 6日 (日)

目玉無くも静かに肥える上尾市予算-3

一カ月前なら考えなかったが、もうコロナどころじゃない。省エネ徹底政策へ!

前記事 1 規模は全国サイテー  2 市民税が近年サイコー

どんな予算なのかは「予算のポイント」という文書で分かる。初回記事を書くときに見た感想は、目玉が無いないなーと言うものだった。あっても衆寓的な事業だったりするので、無い方が良いかなとさえ思った。

たぶん、畠山氏の選挙公約が控えめだったためかもしれない。上平の複合施設計画が無かったことも気づいたが、「無いこと」が目玉と言うのもヘンな話だ。だから、金額で目についたのは、(災害が少ないと自覚しながら)不要不急な体育館エアコン導入費6.5億円子ども子育て支援複合施設の19億円などだ。それらは前からの継続事業である。

他に、民間保育園整備(6.4億円・定員70×2)で二つ作るらしいが、人気の流山市みたいな駅前保育という構想はない。

なおワクチン事業10.5億円は三回目用と小児用である。6波の統計に書いたように三回目の接種ペースが遅いのは、日本にはモデルナ嫌いという贅沢病があるためだ。上尾市は黙っているが、予約率は千葉市でファイザー90%、モデルナ20%だ。さいたま市の3月は、ファイザー88%、モデルナ17%である。

マスコミは二つのワクチンの発熱、痛みなどの副反応比較をしているが、肝心の三つ目が抜けている。それは、感染した時の症状だ。つまり、抗体を得る方法は、FとMそして自然感染の三つから選べるのだ。NHKより

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感染しても医療費タダで救われるのに、第6波では社会的な感染防止よりも個人のワクチン不安が優先され始めた。それは、感染指定の格下げをしてインフル並(医療費が自己負担)にしても良いという覚悟なのではないだろうか。そうすべきである。 

日本が世界的にダメだったIT予算で思うこと…

IT活用では小さい予算がちょこちょこついている。まずWi-Fi導入1290万円がある。前に反対した図書館への導入ではなく市庁舎への導入なので、市民サービスなのだろうか? 実際、あの本庁内では電波が入りにくいからMVNO系スマホにはありがたい。

しかし、現実は何かのシステムを導入したからと言って業務やサービスがレベルアップされるわけでは無い。例えば、学校に大量のタブレットを配賦して休校時には役立ったが、集合の授業ではあまり使わない方が良いという現場の声が出ているらしい。私的には全く同意であり、本と紙と鉛筆が一番役立ち、ICTは年齢や理解度に応じたサブ教材化が良い。

また、市議会ではコロナ交付金で iPadを50台ほど導入しているが、政策の質が高まるわけでは無いことは明らかだ。見かけのペーパーレスよりも議員レスの方が効果があるだろう。また、デジタルサイネージと洒落た言い方をしても、「うつむく市民」に素通りされる看板となって、「やってます感」のために使いこなせないモノを買っている。

ここに来る人なら、最近、市役所HPのトップ画面が小幅リニューアルされたことを知っているだろう。

今どき、PCから訪れる人は高齢者位で、多くはスマホである。今回の変更がなんのためなのか新旧比較で見てみよう

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前よりもバナー面積が減り、2行くらい情報面が増えたのは良いが、違和感アル・アル!

アッピーが5つもあるのは市民が幼稚に思われているらしいが、肝心のテキストは小さく、デザイン性も不統一な書体である。だから、アクセシビリティ向上で変更したのではなく畠山二期目のブチ整形とみた。職員がちょこっと直しただけだろう。もしカネ払っていたらバカだと思う。

上尾市サイトの最大の欠点は、階層が深すぎることにつきる(他にも一杯あるが)。そこを直すことが先決なのに、市民にムダなクリックをさせても何とも思わないのだから救いようがない。

こんな例もある。公開される公文書において、市の委託仕事でもしていない限りは市民の名前や住所は黒塗りになる。しかしムチな職員がやると、見た目は黒塗りでもデジタル世界ではGoogleに丸見えとなる。出した方も出された方もIT音痴なら知らぬが仏で済むものの、23万人の市役所にしてはお粗末だ。

さて、突然のプーチン戦争により世界は大混乱し、パンデミックの次はエネルギー危機やコンピュータウィルスのに備えなければならない。最恐コンピューターウイルスEmotet が再び で報じるように、脇の甘い市からのメールには要注意である。

埼玉・富士見の2学校 ウイルスはエモテット

他に、こども医療費助成制度・7億万円があり、そこには18歳までの入院医療費等が含まれるらしい。最近、18歳までの医療費タダを成果自慢にする議員や自治体がいるが、タダはモラルハザードを産むから問題だ。

既に、義務教育でもないし、学力にも関係なく、高校授業料は実質無償化で家計負担が軽くなっている。公立12万円、私立は年収590万円世帯で40万円も浮くらしい。もはや進学しない子の理由は「貧しいから」では無いだろう。だから、公的サービスとは他者だけではなく自分の負担の上に成り立つということを、高校生から体感させることは意味がある(同じ文脈で、去年、高齢者の1割負担の人が、夫婦二人で年収320万円以上なら二割負担になったことには賛成だ)。

払える人が払うという原則は社会保障の持続性として当たり前だ。ちなみに、上尾市の一般会計からは毎年6~10億円が法定外繰入金として独立であるべき国保会計を補てんしている。これはサラリーマンからの市税の一部が国保に使われているということだ。

UDトラックス上尾スタジアム

ネーミングライツ でカッコイイ名前になった。予算には野球場と上平公園テニスコートの照明LED化2億6千万円とあるが、これに合わせたのかは分からない。電球交換でも随分カネがかかるなと思うが、電気代の節約額で割ると何年で回収できるのか知りたいものだ。そして電力料金値上げになればグッドタイミングかも。

「いすゞ」の名が入らないのが不思議だが、年間300万円で三年契約だから900万円となる。低迷続きのUDトラックスが良くなっているのなら大歓迎だ。次は、「ベルーナ上尾文化センター」で売り込みに行くよね。

また外壁を黄色にして、『ドン・キホーテ上尾市役所』なら、立地の良さから年間1000万円は堅いだろう。ハヨ、市長、開拓へ・・・

 

長くなったので、消えた複合施設計画は次記事へ

 

 

2022年2月17日 (木)

上尾市の2022年度予算_市民税が過去14年で最高額へ

前記事 上尾市の予算

●コロナ前に戻れたのか? 市民税317億円の内訳 

  百万円 構成比
市民税(個人) 13,625 43%
市民税(法人) 1,874 6%
固定資産税 12,305 39%
その他 3,945 12%
市税 31,749 100%

近年、上尾市の市民税は299~315億円のレンジにいたが、 今年は317億円となり、前年比で+22億円、7.5%も増える。これは、-0.2%、-6.5%と二年間マイナスだったのでホッとする数字だ。なんと過去14年間でわずかとはいえ最高額になったのだが、前年が▲19億円の大幅減だったので、コロナ前に戻っただけかもしれない・・・。

●市民税が22億円も増えたのはアノ会社のおかげ?

前年との差異が下の表だ。

主な増加項目 前年比(百万円) 増加率
市民税(個人) 886 7.0%
市民税(法人) 667 55.3%
固定資産税 586 5.0%
その他 70 1.8%
 市 税  2,209 7.5%
地方交付税 896 34.1%
県支出金 231 4.5%
地方消費税交付金 128 2.9%

個人市民税が堅調なのは何よりだが、理由までは明らかにされない。一つには「人口増加」にもつながったマンション効果もあるだろう。そして市民の年齢変化もありそうだ。二年前比では50代が3000人増え、40代が2300人減っている。人口最多層である団塊ジュニアが50代へ入ると、一般に給与は50代半ばがピークなのでその効果もありそうだ。ただし、いずれは労働人口の減少と共に市民税は減る一方になる。

法人市民税は市税の6%と少ないのであまり当てにならないのだが、今年は55%も増えそうだ。こちらも前年が大きく落ち込んだ反動があり、コロナ前の水準に戻っただけかもしれない。そもそも市内企業の業績がそれほど良くなったとは思えない。

個人税と並び、景気の影響を受けない安定財源である固定資産税は6億円近く増えた。内訳で見ると土地は微増、建物は6%増だが、償却資産からが2割近く増えたのが目立つ。おそらく、イオンモール上尾やアマゾン上尾の竣工が寄与したと思う。

 

前記事で書いたように、上尾市は予算規模が人口比では少額なので、そのためもあってか本予算の歳入全体に占める市民税の割合は46%となる。これは県内他市と比べても比較的高い方である。歳入が交付税に依存するようになるとヤバい。


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図は2019年度の埼玉県・市町村財政のすがたより。20年度は参考にならない(コロナ決算事情)。

 

Photo_20220217002401

つづく

 

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