カテゴリー「上尾市の財政物語」の36件の記事

2020年12月31日 (木)

上尾市を襲う予算削減の第一波はしょぼかった

来年の財源不足は32億円、第一波は2億7千万円?

前記事のつづき

首都圏では、二年前に銚子市が赤字転落という財政不安の話題があったが、今度の京都市の危機は全国ニュースになった。その話題で「米びつの底が見える」と書いたが、よく考えたら「お米のビニール袋って横からでも見えるから」と若い人に突っ込まれそうだった。今風に「貯水池の底が見える」と喩えれば、学校プールを中止したり、全家庭の節水など分かり易かったかもしれない。

しかし、水よりカネ不足が上尾市。この先も変わりそうにないことは覚悟すべきだ。

来年(2021)の財源不足は32億円である。これは5/29時点の粗い予想である。同じく、今年(2020)~24年の5年間、毎年の財源不足は20~40億円、総額170億円である。なお、最新見積はいずれ出てくるだろう。

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市は12/22日に「臨時財政運営方針等に基づく主な見直し事業(案)」をHPの奥深くに公開した。来年予算の見直しをしようとする事例だ。たった6件、合計しても2億7千万円だ。年明け後にドンドン追加されるだろう。で、この案を眺めると、見直すと減らすは同義語なのに、行政は決して「減らす」とは書かない。先ずは彼らの脳内こそ見直すべきだろうと思った。

以下、読みやすいようにまとめた。もちろん議会前なので『検討案』である。かっこ内は今年の予算額のこと。

1.重度心身障害者福祉手当(144,935千円)を、対象者を県補助制度に合わせる。

2.難病者見舞金(16,000千円)を、h27年に公費助成が拡充され、よそでは廃止されているから本市も廃止へ(県内44/63で未実施)

3.敬老事業交付金(65,194千円)を、一人当り2千円から1千円へ。

4.国保被保険者の保養施設利用補助(6,120千円)を、国民皆保険下における公平性の観点から廃止へ。

5.後期高齢者への宿泊施設利用補助(17,094千円)は、健康保持・増進の効果が不明瞭であり、H30年度から県後期高齢者医療広域連合補助の対象外となっており廃止へ。

6.英語教育推進事業(20,836千円)は、英語力4技能測定がよそではやっていないので廃止へ(55/63 市町村で未実施)。R3年度より、学力向上支援事業に中学2年生の英語検査を追加。

他に、あげお花火大会、あげお産業祭、市民体育祭、市民駅伝競走大会等のイベントについて見送り検討。(その他のイベントも検討中)


まず、国や県を共通水準としてそこに各自治体が給付を加算した付加部分があり、その付加が負荷になっている。それは理解するが、読んでいて、奇異に感ずることも多い。

「他ではやっていない」を廃止理由にするのは横並びなのだが、他でやっていない事(支出)を始めた時は、県内初とか二番目とかみたいに宣伝してただろう。減らすときは他はやっていないと言い、付加する時は手厚いでしょうと自慢したわけだ。二枚舌である。

驚いたのは、公平性の観点、効果が不明と明記したことだ。これこそ一番感動した理由だ。

給付することは良いことをしているという錯覚にとらわれる議員や公務員がいるが、他人から集めたカネを、それ以外の他者に配分する時にその合理的説明が出来なければ詐欺や買収に近いと思う。この理由こそが削減第一波の大義になれば良い。

3番が気になった。

財政事情を知れば、「千円だっていりません」と上尾の老人会は遠慮しないだろうか。社会保障の構造的な背景を理解することも無く、「ハタケヤマ!たった千円か。子供の小遣いか」なんてサモシイ老人はやがて切れる老人になるだろう。

人件費削減では給料表から見直す

上は、17日付の「上尾市臨時財政改革会議」を受けてのものだ。そこでは「来年以降、コロナ禍が収束するまでの間、市税収入の大幅減が想定されることを踏まえとの認識で、「人件費の削減: 給料表及び各種手当を見直す」、「各種補助金には一律、前年比10%削減」と書いてある。

ようやく給料テーブルに手を付けるのは評価するが、市民サービスのカットをするから我々も身を切りますと言う当たり前のお話しである。市役所には国民系と共産系の二つの労組がおり、畠山市長の後援は労組でもあるから、管理職層からのカットを優先するのだろう。また、自分達で自分の給料を決めるから、減額効果は限定的だ。ちなみに人件費は130億円と扶助費の次に大きい。5%カットなら7億円弱になる。ただ国家公務員が下げる前に下げることは無いだろう。写真はツイッターより

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市民サービス、職員給与のカットは議員報酬カットへ進むはずだ。議員が率先して身を切る提案をすべきだが、結局は最後に追い込まれるとしたら選挙戦のセリフは嘘だったことになる。彼らは兼業可なので報酬を2-3割カットしても、議員になれる能力があるから幾らでも他で働けて、心配がない

先日も、場外で活躍するヒトがいた。議員報酬は私生活にも払っているから、常に問われてしまうのだ。

この認識は間違いだ。コロナが収束しても市税は増えないと財政課が発表しているのに、それを理解できない人が改革会議にいる。まずは効果の無いメンバー削除から始めよう。

 

つづく

 

2020年12月29日 (火)

京都市が財政破綻で第二の夕張?は衝撃ではない

人口減少よりも先に襲う危機。財政規律を守らなかった自治体の行方

外国人が99%も減ったけど、秋に、京都市が「世界で最も魅力的な都市」に選ばれた。しかし二か月後には華々しい姿に似つかないニュースがでた。

秋口から、あちこちから来年度予算の財源不足が伝えられている。埼玉県は1475億円の財源不足で過去15年で最大とか。神奈川県は1100億円、横浜市は970億円、川崎市は今年度の税収不足200億円…キリがない。

京都市は500億円の不足と言うが、財政不安は十年前から指摘されていた。基礎疾患の人がコロナで危ないように、自治体も同じになっている。このままだと、どうやら1400億円ある基金(各種貯金)も底をつき、2028年には企業の倒産に例えられる財政再生団体に転落する。そうなると予算編成権は総務省になり、市独自の政策は止められるだろう。


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かの夕張市は職員260人を100人へ、議員は18人を9人へ減らし報酬は40%カットしたという。水道代も値上げ。軽自動車税は1.5倍になるなど、税は法的な上限値まで高く設定されるらしい。それでも先行きは分からない。最近、マルハチロの工場閉鎖が伝えられた。

京都の件で驚いたのは、トンデモナイ資金繰りだった。

どの自治体も不測に備えるための貯金として財政調整基金を持っている。京都市は去年、全額取り崩していた。それは39億円と市の規模にしては少ないので、毎年のように取り崩してきたのだろうと思う。ちなみに、5月頃に各地で休業補償が支払われたが、京都市はカネが無いから協力金はゼロで、京都府の分しか出なかったらしい。
話は東京都になるが、一兆円もあったものを小池都知事は後先考えずに大盤振る舞いして残りは一千億円もないらしい。これでは首都直下地震の時はムリだわ。

でも、驚いたのはそれじゃない。米櫃の底が見えるように財調基金が少ない例は他にもあるからだ。京都市は、それでも足りないとして「公債償還基金」まで取り崩していた。それは借金返済用の貯金である。つまり、住宅ローンの返済資金を生活費に回していた。新聞では「禁じ手」と書くが、麻薬みたいにやっていたのだ

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●京都市が財政悪化となった原因とは

夕張市は産業衰退で財政が弱いにもかかわらずテーマパークを造るという放漫行政と粉飾決算をした。そんな田舎の行政レベルと比べて、京都は文化芸術と伝統、大学も集積して市民の知的水準も高い。国際的な優良企業が多いことでも有名だから、どうしてこうなったのか不思議だ(ロームや京セラは各50億円でネーミングライツを得ている)。

左派が強いためラスパイレス指数103という高さから職員人件費や扶助費拡大が原因かと思ったが、それだけでは無いようだ。総工費600億円の中央市場、350億円の市役所建て替え、100億円の美術館、250億円の芸術大学移転などが指摘されていた。もっと前から市営地下鉄事業もある。

その結果、借金が標準収入の2倍もあり夕張市を先頭にしたワースト常連だった(将来負担比率)。行政の投資事業は収益を生むわけでは無いから、いくら現市民に喜ばれても、返済が出来なければ後世市民にしわ寄せがいく。

前からあった問題なのに一部の人しか関心を寄せなかったが、コロナが世間に認知を迫ったようなものだ。京都市も、「収入の不足を負担の先送りで穴埋めし、歳入を上回る歳出を維持(社会福祉の充実,防災減災対策の推進等)」と認める。そうした歳出の成果は、民間の「日本の都市特性評価」や「SDGs先進度調査」で首位になるなど,まちづくりは高く評価されたとも書いているが、SDGs推進で財政破綻じゃ矛盾する。SDGsが理念的すぎることが伝わる。

しかし、文書タイトルに「本市の財政状況が非常に厳しい状況に至った要因」と書くように、行政が決して「悪化」と認めない姿は、コロナ対策の政府にも通じると思う。どこか、責任逃れ感があるのだ。

4期目の京都市長は改革として、▽国の水準を上回る事業の見直し▽若い世代への財源の再配分▽公共施設の最適な管理▽投資的経費の計画的な執行▽人件費削減▽繰り出し金の見直しを挙げている。

たしか、ネットでは「神社仏閣から税をとれ」が支持を集めていた(笑)。固定資産はタダ同然かな?

●コロナ禍による一時的か、慢性的なものかで違う。

財政再建には収入を増やすか支出を減らすかの二つしか無い。収入増の近道は増税、支出減とは行政サービスカットである。

各自治体が直面する財源不足が一時的な原因なら、大型事業の一時凍結や時限的な議員報酬や職員給与のカット、市民サービスでは付加部分をカットなどだろう。慢性的な不足なら本格的な自治体リストラが必要だ。市資産の売却、人件費は給与テーブルから見直す、公共事業も削減、受益者負担の徹底など市民サービスも聖域扱いしない、ハズだ?

当然、役に立たなかった議員達は報酬大幅減だ。

つづく 上尾の資金繰り財政

 

2020年12月 9日 (水)

上尾家の貯金残高は696円。息子よこれが我が家なの

元々、稼ぐ力以上に寄ってたかった結果なので、見ないふりをしてきた通帳を見る羽目になったに過ぎません。それでも見たくない人が多いのは、誰かが何とかしてくれると当てにするからです。

やや長文です。

個人の預金残高が696円しか無かったら生活保護を求めるレベル。企業なら資金ショートです。取引先は納入を止め、商品を引き上げ、我先に再建回収にやって来ます。その前に、一番先に気が付く経理屋が逃げますが・・・。

広報12月号には昨年の決算があります(p12-14)。広報があまり読まれないのに、更に財政データまで見る市民は少ないでしょう。今年からカネを掛けてカラー版ですが、財政の弱い姿が良くなるわけではないので、ある意味「粉飾」です(笑)。

そこでは部門別の支出を伝えても、職員人件費や扶助費を伝えません。また、一人当たり平均額とか家計にたとえた円グラフは素人受けしますが、形式的に過ぎません。なぜなら今の時代、負担する人と給付を受ける人が乖離していますから、平均値的な市民は少ないのです。

今年の657億円の支出のうち、一番は扶助費200億円、次いで職員人件費130億円(パート除く)、借金返済65億円です。この三つを『義務的経費』とよびます。支出が義務付けられ任意に減らせないという意味です。これは公会計の考え方で人件費は減らせないという意思が込められていますが、民間ではあり得ません。

支出に占める義務費の割合は県内平均で52%ですが、上尾市は60%と堂々一位。比率が高いほど財政が硬直化していると難しく言いますが、ようは、高血圧みたいな生活習慣病ですからヤバいのです。基礎疾患ものです。


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6日の読売新聞で県内自治体の来年度予算がタイヘンだと報じました。その事例に、わが上尾市が堂々と二番手で取り上げられました。下記の通りです。一番手はさいたま市

政令市として保健所を持つためにコロナ検査費の公費負担が重い。来年は減収が見込まれる市税135億円を含め210億円の財源不足が予想される。財政調整基金(自治体の預金)は前年の31%水準(72億円)まで減った、という。

 二番手が上尾市役所です。

市内の中小零細業者への一律5万円支給や学校等への消毒液などに使ったため財調を取り崩しし9月末残高は696になった。

国の臨時交付金11億円で乗り切る予定だが、市税の減少は避けられず、来年度予算は前年比10%削減するように各課に求め、独自事業の見直しや市民の安全確保以外の工事の先送りなどを掲げた。園児の減少などで財政が悪化した平方幼稚園について、募集停止も決めた。

同市は、2008年のリーマンショック後に約3年で歳入が26億円減少したといい、「コロナ過では単年度で同程度の影響が出るかもしれない」と危機感を募らせる。

続いて所沢市。何度もクラスターが発生し、13回も補正を組んだ。交付金を充てても財調は12億円を取崩し、イベント縮小や老朽化した給食センター建替え先送りは必至とある。新座市は「財政非常事態宣言」を出した。財調を全て取崩して交付金をあてても25億円が不足。既存事業の廃止や縮小、人件費削減、各種補助金の削減などあらゆる事業の見直しを急ぐ。

記事は、市側は県に財政支援を求めると伝え、「この財政難はあと何年続くのか分からない」と熊谷市長の言葉で結びます。

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他市と比べ、上尾市が10%カットと生々しく報道されたのは意味があります。前から財調(預金)に手を付けた資金繰り慢性病患者だった所に、コロナに罹ったようなものです。その処方箋として、報道の「10%削減」というのは誤解を招きます。市の予算編成にはこう書いてあります。

予算要求額については、義務的経費(人件費、扶助費、公債費)や継続実施している事業(施設の建設など)に係る経費など除き、原則として、令和2年度当初予算額を10%削減した額を上限とすること。

一律減では無いのです。本年支出予算657-義務費394=263億円なので、26億円減らせかもしれません。地方公務員の人件費は国家公務員が下げない限り追従しません。下げてはいけない決まりも無いのですが・・・。では義務費以外でそんなに減らせるのかが問われます。支出と票田を同義語にする議員からは「美しい言葉」で反対されます。例えば、子供達が可哀想、老人の憩いを奪うのか、地域の衰退を加速させるとか。 

話しは変わりますが、10月に環境センターで火事がおきて損害が数億円と伝えます。以前も故障しましたが、財政が火の車の時に火事で休止です。原因は市民が捨てた充電式電池と言いますが、それなら日本中で起きそうな話です。なぜボヤで鎮火できなかったのかの説明もなく、市民の性善説に依存した仕事です。三密さえ守らない今の世の中で、ゴミ捨てに100%求めるってヘンでしょう。汚職の舞台となったこの施設は上尾のアキレス腱です。

議会もそうかもしれません・・・

上尾市の財政調整基金の少なさは過去にも何度か書きました。扶助費が増えることは対象者の増加に比例しますから、市独自サービスの縮小との綱引きを遠慮なく提案すべきです。あるいは各種補助金の減額です。それができない背景は、保守系にはタカリ業者や狭い地域根性が後押しし、リベラル系には扶助費拡大が多いからだと思います。行政は腹が痛むわけでないから、両者に良い顔をすればよく、無責任になりがちです。たぶん今後の日本は、税を巡っての分断というのがあるかもしれません。

先日、ゴミ処理汚職のW逮捕事件後の対策案を作った吉沢俊一弁護士らが、市の取り組みを検証し、読売新聞は「(順法)意識の欠如が甚だしい」と最低評価を下したと埼玉県中にPRしたことを、かまちょ図書館は上尾市中にPRしました。早い話、上尾市役所の公務員はモラルが低いという烙印です(今年から弁護士を次長級で雇いましたが、外の先生からこんなこと言われて平気なのかな)。

弁護士からこんな評価をうけたのですから、自ら減給を言い出しても良いはずです。でないと、吉澤先生の言葉を借りれば、モラルなき人に650億円を任せるのはヤバイということです。組織と私益を優先し、残りを市民に配分する姿を連想します。

●もはや国政も無責任が大手をふるう日本。

今年の国家予算は60兆円が積み増しされ、リーマンでも東日本大震災でも無かったトンデモ規模です。財源は国債の増発ですが、それを誰が、いつまでに、どうやって負担するかという議論は避けています。安倍さんが繰り返した悪夢の民主党政権よりも怖いことです。

前記事でパブコメ応募を伝えました。 その一つ、行政改革プランには今後5年の改革案がp10-16にあります。とてもアバウトな内容ですが、減らす項目にはコロナ財政危機は追い風となりました。ただ、そこにある提案は今の財政危機を十分には反映していないだろうと思います。その程度では済まないだろうと言う意味です。

その中に、人件費について「職員給与は継続的な見直しにより、削減を行っているものの、一部が国の水準を上回っている。」とあります。高卒者の上級職の待遇が高すぎることかも知れませんが、よそと平均的だとしても上尾の財政余力とのつり合いはとれません。給与減が嫌なら、人員減に力を注ぐべきです。濡れタオルに見えることが多いです。

なお、行政から議会には干渉できませんが、市民から議会へコストカットを要求できます。

今後、市政の無駄使いや財政記事が出ますのでパブコメの参考にどうぞ。


関連 カテゴリ「上尾の財政物語」より

横並びの人件費カットごっこは

補正で36%も膨れたコロナ太り予算-1

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上尾市の凋落-埼玉県の1人当たり市町村税額ランキング

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2020年10月28日 (水)

横並びの人件費カットごっこは、給付金や補助金バラマキ競争より緩やか

悪しき前例踏襲である。賞与2万円減で手を打ち、給与減額なしで一体感を保つ巨大勢力。

 ●人事院、国家公務員ボーナス 10年ぶり引き下げ勧告

 人事院は2020年度の国家公務員一般職のボーナス(期末・勤勉手当)を0.05か月減らすよう勧告した(19年は4.5か月分)。リーマン・ショック以来10年ぶりだ。0.05ではピンとこないが、行政職平均で月数のカット幅1%、21,000円減るだけだ。一般職の国家公務員27.8万人を対象にして総額200億円減という。

 肝心の月給与は別途勧告だったが、結局変わらずになった。平均年収は673万4000円(平均43.2歳)となる。

 地方公務員の給与も原則これに沿うから、多くの自治体職員はホッとしたことだろう。

埼玉県職員ボーナスも0.05カ月分下げて4.45カ月分になった。行政職(平均42.1歳)の平均は162万4000円となり約19,000円減る。平均年収619万円。対象54,000人で総額11億円減るという。なお県議会議員の年1600万円についての減額の話はない。

 各自治体は、このように国に倣った横並びが殆どなのだ。コロナで傷んだ医療や市民生活に、あれやこれやと(原資は国債だから)気前の良い給付競争をしていた自治体も、自らのコストカットには微減という横並びを決め込む。

さいたま市はましである。給与減額を市長30%、副市長20%、教育長10%で、来年3月まで、減額総額は2150万円。議員報酬は議長20%~議員10%で来年3月まで、総額約5千万円。いずれも新型コロナウイルスの対策費に充てる。

 だが、さいたま市職員の賞与も0.05カ月カットで収まる。平均175.5万円から2万円減り、行政職の平均年収は636.8万円(平均39.3歳)となる。その人件費削減効果を朝日新聞は1.1億円、毎日と埼玉新聞は職員14306人で2.9億円と書いていた。後者が正しそうだ。

上尾市の三役この程度であり、職員賞与は横並びとし給与は減らさないだろう。議員がそれに言及しないのはブーメランとして跳ね返ることを恐れるからだ。一年前、熱心にチラシを配ったり、毎朝夕に駅頭で”何か”を叫んだ人々も、その後は無言で他市選挙応援に熱心である。

 さらに、上尾市議会は視察旅行をやめて654万円減らしたと大袈裟に報告する姿にも現れている。当時は旅行どころではなく、全国的に議員旅行を避けている。薄っぺらな報告書と慰安旅行まがいのイベントを中止したくらいで、身を切ったつもりで済むのはそういう風土だからだ。

●財政問題がコロナで顕在化して、再建へ進まざるを得なくなる

コロナ前の一月、新潟県は最大640億円の収支改善を目標に掲げ、人件費削減を打ち出した四年間、削減率を1.5%~2.5%、ボーナスは一律3%減。これはコロナ以前からある財政再建問題への対応例であるが、コロナで更に悪化したはずだから早晩、練り直しになると思う。

コロナが落ち着けばどの自治体も財政問題を無視できないが、問題に向き合うか否かは自治体の政治体質次第だろう。

 

2020年7月16日 (木)

自宅から通って住居手当をもらう公務員

 初めて知った時には呆れたもんだ。

「自宅に係る住居手当」という既得権益を手離さない地方自治体の破廉恥さ。しかも廃止する時は一気にではなく、渋々と。

 民間企業には住宅手当と呼ぶ制度があり、内容は会社によって異なる。厚労省の「平成27年就労条件総合調査」では、住宅手当は企業の46%で支給され、平均月額は17,000円だ(年20万円)。一般に、貸家への家賃補助が多いと思うが、中には住宅ローンの補助とする企業もあるらしい。この手当は所得税の課税対象になるが、制度すら無い会社も半分くらいあるわけだ。

 なんと持ち家の職員にも支給されていた。と言っても、国家公務員は平成21年に「自宅に係る住居手当」を廃止し、自治体にも廃止を基本とした見直しを助言していた。で、十年たった平成31年でも廃止しないのは202団体(全体の12%)ある(総務省データ)。都道府県庁は廃止済み。

 1.上尾市は今年からゼロになったが、過去には年間9万円も。

  月額(円) 支給対象者 総額
H30 2018 2,000 600人 1440万円
H26 2014 6,000 679人 4889万円

上尾市は平成26年に廃止を決め、翌年から千円ずつ減らし今年でゼロになっている。一気にカットしない理由は、労組の抵抗が強かったのか、既得権益を守るためだったのかは分からない。しかし、この少しずつ減らす手口のことを経過措置と呼んで彼らは正当ぶる。

例えば、2014年では総額が五千万円近くも税金から支出した。最近でも対象者が600人位いた。まさか親の家から通う職員にも払っていたとか、夫婦職員で二人分とかも無いよね ('ω')

 古い資料では、H17年で持家居住者6,000円、(新築・購入後は5年間7,500円)とあった。これだと年9万円になる。公務員はローンを組みやすいのだから、市内の中小企業従事者の皆さんはこの厚遇ぶりをどう思うだろうか。  

 この悪習が温存されてきた背景は、(資料では公開されるが)住民は知る由もなく、行政職員に媚びる市長や議員、労組寄り議員が多いと知らん顔をするためだろう。ちなみに上尾市役所には自治労と自治労連の二つがあり、二労組と合意しないと出来ないのはネックだ。 

2.埼玉県には甘い体質の自治体が多い。

特定地に多い 制度ある自治体 市区町村数
北海道 109 178 61%
埼玉県  27 62 44%
千葉県 0 53 0%
東京都 0 62 0%
神奈川県 19 30 63%
全体 202 1721 12%

 首都圏では千葉県が廃止済みなのに、埼玉県と神奈川県に多い理由が分からない。下はH31/4の県内の実態だが、減額中の上尾市はカウントされていない。いずれにしても、特典を得るときは国に準じてを正当化の理由にし、廃止するときは独自、ということなら単なるエゴである。市民に向かって、「国は廃止しても、うち貰ってます」とはとても言えないはずだが、どこの街の市民も実態を知らないだろう。

参考 埼玉県の27団体
川越市、熊谷市、飯能市、加須市、本庄市、羽生市、深谷市 草加市、越谷市、蕨市、戸田市、和光市、新座市、桶川市、北本市 八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市、坂戸市、吉川市、ふじみ野市 越生町、美里町、神川町、杉戸町、松伏町

なお、国家公務員の家賃補助は月額最大28,000円埼玉県(平成31年4月1日現在)は、借家等居住者に、家賃に応じて月額最高27,000円(年額32.4万円)。持ち家への住居手当はない。

 

つづく 別な歪んだ待遇へ

 

 

2020年7月 1日 (水)

コロナ太り上尾市補正予算の解説-2

バランスシートな見方

前記事の続き

6月の補正予算は市資料を見ても分かりにくい。

分からない理由は、羅列的な説明のためなのか、或いは畠山市長に説明能力が無いためか、はたまた座るだけ議員には解説能力が無いためか、そもそも もらうことしか興味のない市民が多いから支出を並べるだけの文書になるためか ( ゚Д゚)

多分、全部かもしれないが、補正予算とは前回予算に対する差分、つまり追加分と削減分のみを計上するために、今回のように多岐に渡ると全体を分かりにくくする。だが、一番は単式簿記風な説明のためだと思う。

というわけで全体を対比させた。給付しか関心が無い人やバラマキ議員は支出ばかりを気にするが、常に資金の出所を気にしないと大事なことを見失う。

6月補正  歳出 (支出) 万円  歳入(収入)   
国) ひとり親給付 19,388  国庫から 20,543
水道料金  33,698  県から 1,206
子供子育て世帯 4,382  繰入金(財調取崩) 31,089
福祉 妊婦タクシー等 4,493  繰越金 899
事業者支援 グルメと花等 1,714    
感染防止 6,519  諸収入 -191
当初予算の減額 -32,577  市債 -15,930
 合 計 37,617   合 計 37,616

果たして市民は、コロナ関連という支出が多ければ安心するか?

既に、5月の補正で市独自策として児童扶養手当受給者に対し(18歳以下の)子供一人三万円を配っている。対象は約2100人、1400世帯で総額6,400万円である(所得ルール有、生活保護との重複は不可)。この自治体独自の弱者給付政策は他でも似たような額でやっている。

今回(表)のひとり親給付とは、国の政策であり、低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金として1億9千万円を配るものだ。

・児童扶養手当受給世帯等へ1世帯5万円、第2子以降1人につき3万円
・収入減少した児童扶養手当受給世帯等へ1世帯5万円。

生活保護と重複は可となり市の給付基準よりは所得条件が緩いために対象者は一桁増えるらしい。最低もらえる額は市の方では3万円、国の方は5万円または10万円となる。それにしても一人親世帯の増加が気になる。

 関連 養育費確保へ法改正検討へ

独自策としては水道料金の値引き(8~11月)3.3億円が目立つ。家庭は口径が13か20ミリなので基本料金の700円×4カ月=2800円がタダ。一世帯ではチリみたいな額でも10万世帯にもなると山になるわけだ。

気が付かない人もいそうな政策だが、そもそも水道料金を値引く必要があるのか疑問だ。更に問題なのは、水道事業は水を作って売るという企業会計を適用した独立採算なのに、今回はその穴埋めとして一般会計で負担させていることだ。
 (水は2リットルで33銭という水道事業の収益性は過去記事へ )

福祉政策では妊婦に一万円タクシー券(1500万円/健康増進課)とか。園芸農家向けに消費を増やそうとい新婚向けに花二千円券(410万円/農政課)とかがある。詳しくはこちらへと言いたいが、アバウトな説明で良く分からないし、この程度で議会を素通りするのだから大したものだ。

補助金とはピンキリだから、対象者を根本的に強化したり再生するには程遠いだろう。そもそも市役所にそんなスキルがあるわけでもなく、初めから成果を具体化できないものは出費倒れになりがちだ。さらに、妊婦タクシー券の話を聞くと元市長との連想が働いて胡散臭く思う人もいる(^-^?)

つまり、お花をプレゼントしても、タクシーに乗せても、今年の婚姻と赤ん坊は激減間違いなしなのだ。身もフタもない言い方だが、去年は一日4人しか生まれなかった。

こうしてみると、彼ら行政部門には「やっています感」が大事なのかもしれない。困ったことだ。

水道代の値引きだって、水道局の人員整理で浮いたカネだったら有難がって飲むが、その財源は「(財調)預金取り崩し」じゃないか。それって市民の財産のことだぜ、バカかよ。(>_<)

こういうのをタコ足配当って呼ぶ。

だから、この程度の政策で、『市長サマはよくやってくれた』という無知な有権者がいる限り予算の膨張は止まらない。文字通り今回のは水膨れである。

なお、6月補正では財政調整基金と言ういざと言う時のための預金を全部取り崩してしまったが、予算の支出額は多めに見積もる習慣なので、年度末には実質支出との差額が生まれて財政調整基金にいくらか積み戻される。
てなことを毎年やって、資金繰りの綱渡り感に慣れっこな上尾財政なのだが、本当に戻らなくなると預金ゼロ世帯になっちゃうわけだよ。

だから、そうならないように家計や企業ならば、当初予算657億円の全ての支出を例外なく(例えば)1%カットして7億円弱を浮かせるようなことをする。ところが「他人のカネ」を自分のカネのように振る舞い、篤志家気取りをする人や団体が現れてくる。

常に、何かの支出をする時「その財源は誰が?」と気にすることは、他人のカネである限り当然なのだ。

最後に、上尾市議会の議員報酬カットはまだなので、さいたま市議会のお手本を示す。議員(60人)の報酬減額は議長20%、副議長15%、議員10%で、6月1日から来年3月31日まで、減額総額は約5千万円埼玉新聞より上尾の30人議員がこれをやると二千万円は浮くだろう。ぜひ!

参考 東京都9032億円まで積み上げた財調基金を取り崩し、休業要請に応じた中小事業者への「感染拡大防止協力金」などの対策に1兆820億円を投入。現在の財調基金の残高は807億円となった。毎日新聞

 

2020年6月30日 (火)

補正で36%も膨れたコロナ太り予算-1

危機を食べて膨張し、連続性を失う姿へ 続きはこちら

上尾市は補正予算を4月に三回、5月に1回、6月に2回も組んだ(こちら)。これは3/23日に、コロナ問題が確実に予想される時でも「コロナが無い前提の予算」を可決したためでもある。機動的と言えばそれまでだが、その裏には変化に即応できない形式主義も見えてくる。

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グラフは、2018年のリーマンショック後から今日までの上尾市の歳入(収入)を主な項目で見たもの(クリック拡大)。金融危機や大震災、そしてコロナという危機が起きると家計や企業は引き締めを図るが、公会計は危機を食べて膨張する。

右端の2本は、2020年度予算の当初657億円と「10万円給付」を追加した補正後892億円の姿である。10万円の元となるピンク色の国庫支出金に235億円が加わり全体が36%増えた。もちろん、原資は赤字国債という国の借金である。

自治体の予算は歳出=歳入というバランスが前提であり、歳入-歳出=余剰を大きくする事を目指すわけではない。家庭は収入の範囲で支出をするが、自治体は逆に、歳出(支出)のために歳入(収入)を調達しているようにみえる。

今回は、歳出側の民生費が326億円+235で561億円に膨れた。もともと上尾市は民生費が多い所にきて、予算の63%になってしまった。なお民生費には職員人件費や管理費が含まれるため、それを除いて対象者に配るカネとして見たのが扶助費である。2020当初予算は丁度200億円である。参考までに2008年からの伸びを示しておく。

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■本稿では棒グラフが示す、過去数十年の連続性が大きく崩れたことを歳入面からみる。

まず自前のカネである地方税は頭打ちであることが分かる。

・地方税の中でも景気変動を受けずに安定する固定資産税は今年は減免政策を既にとっているから減るだろう。上尾市では毎年、1000~1200件の住宅建設(建替え含む)があり、税増収のアテになっていたが、どの程度が落ち込むのか分からない。コロナ移住と言う現象は東京のコロナ被害の少なさからは期待できないし、あったとしても(上尾のような)郊外を飛び越えて新幹線停車駅まで行ってしまうかもしれない。

市民税は前年所得に課しているため今年は納付率が気になる(通常99%)。そして、来年の税減収は避けられない。リーマンショック後の2009年には11億円(-7%)減ったが、来年はその比では無いだろう。

地方交付税は使い道が自由だが26億円しか配給されない。増えないのは国が抑制的だからだ。国庫支出金とは福祉や教育など国の政策使途が指定されたカネである(生活保護費など民生費が多い)。

地方債(借金)は49億円である。近年、大型公共事業を手控えているために多くはない。だから、小口案件にモラル無き業者がたかるのかもしれない。なお自治体は資金繰りのために借り入れをすることはできない。

そして、棒グラフの数年先の姿が気になるのだが、その点について上尾市財政課は「財政収支の見通し(~令和6年度)」というラフな試算を出している。職員人件費が聖域扱いされたシミュレーションである。この見通しについはまたの機会に・・・。

つづく 6月補正の内容へ

 

2020年6月 3日 (水)

都道府県公務員の年収と退職金

参考 民間給与 公務員給与ランキング

地方公務員給与実態調査から47都道府県職員の給与、賞与、年収、定年退職金をみる。

総務省の上記調査(2019、H31/4/1) から県庁職員について、平均給与月額×12+賞与=年収としたランキングを公開する。職員区分は一般行政職、金額は千円単位に丸めた。退職金とは「60歳定年退職者への平均支給額」のこと。

平均は、年齢42.9歳、月給41万円、賞与164万円※、年収660万円、定年退職金は2180万円※。 ※賞与と退職金は全体の加重平均が非公表のため47自治体の単純平均を使った。どれも男女別の無い全体値である。

1.都道府県職員の年収と年齢による散布図 (クリック拡大)

 大都市圏の自治体ほど若くて収入が高い。また年齢が高くて年収が低い右下ゾーンは地方圏に多い。平均年齢は42~44歳に集中する。年収は概ね600~700万円の範囲だが意外とバラつく。

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 年収が最高の東京都721万円と最安の沖縄県589万円とでは二割近い132万円の差がある。埼玉県は13位、673万円である(千葉県より高い)。なお、同じ年収比較でもこちらで書いた民間正社員の504万円は沖縄を85万円も下回り比べようがない。退職金は2100~2300万円の範囲である。
 
2.都道府県の年収ランキング(一般行政職)
順位 都道府県名 平均年齢 給与月額 賞与 年収(千円 定年退職金
  平均= 42.9 413 1,639※ 6,595 21,814※
1 東京都 41.7 449 1,825 7,210 22,363
2 大阪府 42.3 432 1,777 6,960 22,275
3 愛知県 41.7 435 1,734 6,952 22,822
4 神奈川県 43.3 432 1,749 6,938 22,619
5 三重県 44.6 430 1,760 6,923 22,066
6 静岡県 42.5 431 1,735 6,903 23,525
7 兵庫県 44.3 429 1,749 6,900 21,545
8 徳島県 44.3 430 1,706 6,863 21,954
9 滋賀県 42.3 425 1,684 6,781 22,580
10 広島県 44.1 418 1,765 6,779 21,650
11 茨城県 42.7 417 1,746 6,748 23,159
12 岡山県 43.5 419 1,712 6,734 21,427
13 埼玉県 42.4 419 1,698 6,728 22,014
14 愛媛県 43.8 423 1,645 6,722 21,981
15 香川県 43.7 420 1,677 6,716 21,150
16 山梨県 43.4 414 1,719 6,692 22,251
17 山形県 44.0 420 1,625 6,669 23,023
18 新潟県 43.8 414 1,689 6,656 22,361
19 京都府 42.8 414 1,690 6,656 23,203
20 和歌山県 43.6 411 1,662 6,600 21,537
21 岐阜県 42.4 411 1,649 6,583 21,094
22 栃木県 43.0 407 1,696 6,583 23,030
23 群馬県 43.5 408 1,688 6,581 22,801
24 奈良県 42.8 413 1,614 6,570 20,764
25 千葉県 41.0 408 1,650 6,551 21,635
26 福岡県 42.8 407 1,663 6,548 22,427
27 宮城県 42.2 407 1,629 6,510 21,390
28 福島県 42.8 408 1,603 6,502 21,967
29 熊本県 43.3 405 1,626 6,485 22,967
30 長野県 45.4 401 1,666 6,483 21,772
31 富山県 43.9 403 1,642 6,474 20,322
32 山口県 43.8 401 1,624 6,439 21,732
33 大分県 42.8 398 1,606 6,380 22,487
34 石川県 41.9 399 1,587 6,378 21,638
35 長崎県 43.6 396 1,587 6,341 21,325
36 福井県 42.5 392 1,632 6,338 22,027
37 佐賀県 42.1 395 1,574 6,309 22,032
38 秋田県 43.0 398 1,529 6,308 21,954
39 北海道 43.7 392 1,590 6,298 20,989
40 島根県 43.3 399 1,473 6,264 21,147
41 岩手県 43.0 391 1,565 6,256 22,175
42 鹿児島県 44.4 391 1,533 6,224 20,975
43 宮崎県 43.2 384 1,540 6,146 21,533
44 鳥取県 44.2 390 1,395 6,078 14,419
45 高知県 42.9 386 1,444 6,077 21,041
46 青森県 42.9 380 1,448 6,007 21,731
47 沖縄県 41.1 369 1,460 5,891 22,386

・元になる総理府データは、給与と賞与、退職金が別々のExcelファイルになっており、実は簡単に年収を推定できない。前述したように加重平均値もない。

・年齢別も非開示である。地方公務員の給与は民間よりも年功給依存が強いと思うが、もはや高年齢=高能力という根拠はなく、実態は加齢給というべきだ。つまり年収カーブの開示も必要だろう。

・都道府県職員のデータは一般職員、一般職員のうち一般行政職、教育公務員、警察職の4つと全職種の5つが公開されている。月給ベースでは警察職が平均年齢が若いにも拘わらず高い(38歳、44万円)のは、諸手当が12万円/月と他職種の二倍以上もあるためだ。勤務形態による加算かもしれない。次いで教員職(44歳、42万円)となる。一般行政職とは特に専門職の薄い数年でコロコロ短期異動するフツーの事務職のことであるが、公務員の代表として取り上げられる。

参考までに下記に全職種のデータを載せた。一般行政職よりも20~40万円くらい高くなる。

つづく

参考 全職種分のデータ: 全都道府県、月給、賞与、年収、退職金

順位 都道府県 平均年齢 月給 賞与 年収(千円 定年退職金
  単純平均= 42.8 425 1,708 6,813 22,136
1 東京都 40.5 462 1,858 7,403 22,050
2 大阪府 39.9 447 1,746 7,108 22,376
3 愛知県 40.5 439 1,794 7,066 22,374
4 静岡県 41.8 440 1,776 7,050 22,982
5 神奈川県 41.2 443 1,728 7,043 22,869
6 兵庫県 41.8 439 1,743 7,014 22,418
7 埼玉県 40.8 434 1,758 6,971 22,104
8 三重県 42.8 434 1,761 6,965 22,840
9 岩手県 43.7 439 1,689 6,961 21,988
10 新潟県 43.5 434 1,756 6,961 21,937
11 福島県 44.4 432 1,766 6,956 22,514
12 徳島県 43.4 434 1,742 6,955 22,092
13 茨城県 42.6 428 1,800 6,942 22,499
14 千葉県 40.9 432 1,755 6,939 21,947
15 滋賀県 41.5 431 1,758 6,932 22,227
16 山形県 44.4 433 1,708 6,901 22,495
17 京都府 41.7 429 1,746 6,890 22,779
18 宮城県 43.2 428 1,751 6,888 22,006
19 香川県 42.5 428 1,725 6,862 22,032
20 愛媛県 43.8 429 1,694 6,844 22,155
21 鹿児島県 44.5 429 1,690 6,842 21,929
22 福岡県 42.6 424 1,738 6,827 22,347
23 群馬県 43.0 422 1,746 6,809 22,500
24 広島県 42.3 421 1,743 6,793 22,217
25 長崎県 44.4 424 1,699 6,784 21,709
26 岡山県 42.5 419 1,748 6,774 22,548
27 大分県 44.2 420 1,729 6,769 22,362
28 秋田県 45.3 422 1,699 6,762 21,770
29 山口県 44.1 420 1,708 6,751 22,249
30 長野県 44.6 418 1,729 6,746 22,221
31 栃木県 42.8 416 1,745 6,742 22,265
32 山梨県 42.3 420 1,694 6,735 22,428
33 福井県 42.4 416 1,732 6,729 22,300
34 熊本県 43.4 418 1,700 6,716 22,248
35 北海道 43.2 419 1,687 6,715 21,614
36 岐阜県 42.0 415 1,715 6,690 21,342
37 宮崎県 43.6 416 1,644 6,642 21,968
38 富山県 42.8 414 1,669 6,633 21,911
39 島根県 43.3 423 1,555 6,632 21,937
40 和歌山県 42.1 412 1,688 6,631 21,853
41 沖縄県 42.3 418 1,605 6,624 21,263
42 奈良県 41.6 412 1,657 6,596 21,692
43 佐賀県 43.3 409 1,679 6,591 22,193
44 石川県 42.3 407 1,664 6,548 22,107
45 青森県 44.4 414 1,561 6,527 21,459
46 高知県 43.4 414 1,561 6,527 21,531
47 鳥取県 43.0 413 1,461 6,416 21,767

 

2020年5月31日 (日)

業種別年収とアベノミクス6年効果

前記事の続き

国税庁・民間給与実態統計調査(平成30年分)より

この調査については利用上の注意(国税庁)として、「標本調査のため、標本事業所及び標本給与所得者から得た標本値に、それぞれの標本抽出率及び調査票の回収率の逆数を乗じて全体の給与所得者数、給与額及び源泉徴収税額を推計している・・・」とある。また2018年の各データの標準誤差率は0.5~5%内にある(概ね1-2%)。  

1.アベノミクス前後の年収比較

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 グラフの青棒は2018年の業種別年収である。ピンク棒は、アベノミクスの前年(民主党政権2012年)との6年間の差額、折れ線は伸び率を示す。

 全体の増額は33万円(8%)であるが、突出するのは建設業71万円(16%)と不動産賃貸業72万円(19%)である。東日本大震災からの復興需要と東京オリンピックの特需、都市部でのマンション需要などを背景に建設業は人手不足のため人件費の高騰はたびたび伝えられていた。製造業が47万円(10%)と伸びているのは円安効果かも知れない。

2.散布図で業種別の実態を示す

 この調査では日本標準産業分類により14業種にわけている(業種内容はこちら
)。以下は業種別の実態を見るための散布図である。
縦軸は年収、横軸は給与所得者人数、円サイズは人数のシェアを示す。


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 平均年収が759万円と最高額である「電気・ガス・熱供給…」の人数は17万人で全体の1%にも満たない。人数最多の製造業は520万円と平均を80万円上回る。しかし、内需に依存して雇用の受け皿となっている「卸・小売業」、「サービス業」、「医療福祉」の3業種は400万円以下である。

 3.高給業種と薄給業種の比較

前記事の5番でも扱った、トップと最下位の業種について 年収区分ごとの給与所得者数の構成比である。なお、電気ガス系の人数は17万人、宿泊飲食サービス業は216万人である。

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「宿泊業飲食系」で一番多いのは100万円以下の人で27%もいる。「電気ガス系」では1000~1500万円の人たちが一番多くて19%もいる。全体として見ても、「宿泊業飲食系」 は200万円以下の人が半分以上、「電気ガス系」 は800万円以上の年収をもらえる人が4割以上もいる。

 実は、上とは別に「勤務が一年未満の人」は宿泊飲食系で113万人もおり、その短期労働者への依存度は34%と全業種で一番高い。つまりアベノミクスで雇用が増えたと言っても、主に年収水準の最下層で増えていると言えそうだ。

追記 5/21日経によれば

大手企業の定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は2.17%。平均引き上げ額は19年比1013円減の7297円だった。7年連続で2%台を維持したものの、伸びは2年連続の鈍化。・・・3月上旬に妥結した企業が多く、コロナの影響は限定的・・・

 

2020年5月29日 (金)

民間の平均年収は441万円 男545、女293

国税庁・民間給与実態統計調査(平成30年分)より

 いろいろなサイトで給与(年収)情報が載っているが、信頼できるのは国税庁の調査である。2万事業所と33万人の給与をサンプルとした統計的な推計である。詳しくは国税庁サイトと概要書へ

 p6-8 2018/12/31 前年比
人数  5,911万人 +101万人
給与総額    224兆円 +3.6兆、7.8兆円
源泉徴収 所得税  11兆円 +10%、1兆円
所得税÷給与 4.9%  
一人当たり所得税 19万円  

個人所得税は11兆円と前年より1超円も増えて過去十年で最高となったが、コロナによる十万円給付の12.9兆円(事務費1500億円!含む)は、それを上回る。

それでも足りないという人や政治家もいるが、どんな名称であれ、給付とは皆で負担し合うことと同義であるのに、彼らは「給付しよう」の代わりに「皆で負担しよう」とは言わない。ここだけは同調圧力が働かず、負担する人の顔が見えない方法をとる。赤字国債とは、将来の若者の所得を今の我々が消費するという、平成時代から繰り返される資金調達方法である。だから、それを察して子供は生まれてこない…。今回は非常時だから仕方ないが、問題は平時から依存している状態だ。

以下では、同調査から「一年間勤務した給与取得者」(5026万人)に関するデータを扱う。

1. 一人当たり平均年収
2018年の平均年収は441万円。内訳は、年間給与371+賞与70万円。平均年齢は46歳である。男女別と雇用形態別に示す。金額は万円。

雇用形態 全体 男女比
全体 441 545 293 54%
正社員 504 560 386 69%
非正規 179 236 154 65%

人数と給与総額(年収)にしめる雇用形態と男女比は下の通り。人数では正規職で男性が女性の二倍、非正規では女性が多い。(クリックで拡大)


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2. 年収ピークは467万円、ほぼ四半世紀前

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85年からのバブル経済では6年間で100万円も年収が増えた。その後も緩慢な上昇を続け、民間の年収ピークは1997年の467万円である。その後は2006年まで9年連続で下げ、リーマンショック時は23万円(-5.5%)も急落した。この落ち込み分を取り戻すのは大変となる。アベノミクスによる企業業績の好調と(労組顔負けの)経済界への賃上要請などにより、安倍政権の5年間で27万円の上昇となる。2018年はリーマンショック前まで回復した。

19年も1%増ほど予想されるが、企業業績は頭打ちの所に秋の消費税値上で景気後退感が鮮明になっていた。そしてコロナ禍により20年は急落が避けられず、日本経済での民間労働者の年収ピークは四半世紀前のままとなる。

3. 人数規模別の年収  p21
 性別による待遇差、勤続年数や企業規模の差が大きいために、男女の全体値ではピンとこない面もあるから、男性のみの年収を抜き出した。

人数規模別 ,平均給与(千円 平均年齢 賞与比率 対A比率
1~10人未満 4,469 52.5 4% 66%
10~30人未満 5,071 48.1 10% 74%
30~100人未満 5,183 46.2 14% 76%
100~500人未満 5,239 45.0 18% 77%
500~1000人未満 5,721 44.7 21% 84%
1000~5000未満 6,232 43.8 22% 91%
  A 5000人~ 6,819 43.1 23% 100%
全体 5,450 46.3 16%  

事業所の人数規模が多いほど年収が増え、年収に占める賞与も増える。参考として右端に5000人以上の規模(A)に対する比率を示した。

なお、全体の44%の人が規模100人未満で働いている。日本の中小企業主は同業者間で合併を繰り返して規模拡大(効率化)を目指すほうが労使にメリットがあると思う。

4. 資本金別の男女別の年収 p16

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実は個人事業所は50歳、資本金1億円以上は43歳であるように、資本金が大きいほど平均年齢は若くなる。グラフの通り、年収の男女格差も開くが、勤続年数の差も要因の一つである(最大差で6年)。
賞与額は省略したが、「男性の10億円以上」では年収に占める賞与は24%と四分の一になる。

5. 業種別の平均給与 p23
 二つのソース(HPの表と概要書)からの合成のため、端数調整で一部合わない所があるが年収額は一致している。なお、全体の平均は給与371万円+賞与70万円=441万円である。

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 最下位の「宿泊,飲食業」の給与は233万円なので月収は20万円に満たない。その年収251万円は、トップの「電気ガス等」759万円の三分の一である。

●業種別の給与階級別の人数分布

概要書のp23に、一つの業種における年収区分ごとの人員構成がある。以下は引用。

平均給与が最も高い「電気・ガス・熱供給・水道業」では800万円超が40.6%と最も多く、それに次ぐ「金融業,保険業」でも800万円超が25%で、最も多い。一方、平均給与が最も低い「宿泊業,飲食サービス業」では100万円以下の者が27%と最も多くなっている。

地域独占や認可性の業種など、つまり新規参入障壁が高くて競争が希薄な業界ほど高くなりやすい。例えば、電力業界などはコスト積み上げ方式が認められているから高コスト体質になる。そして参入障壁が低く、最も過当競争になるのが飲食業や小売業である。また、人手不足を外国人労働へ依存する業種は賃金が上がりにくいと言われる。

6. 年収区分の分布 p20
 年収額別の人数分布は、全体では300~400万円以下の人が867万人(構成比17%)と最も多く、次に200~300万円以下(15%)となる。

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 図は男性のデータである。400~500万円が18%と最多層になる。500万円以下は56%になるため、平均値(560万円)以下は約63%と推定される。また、800万円超は15%である。
 女性は、100~200万円以下が女性全体の24%、次いで200~300万円以下が21%である。

7. 所得税の負担状況 p24

 1年を通じて勤務した5026万人のうち85%が納税しており、納めた人の平均値は25万円、年収の5%になる。※ 

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しかし、年収800万円超の人は全体の487万人(9.8%)であり、その所得税は6兆9,233億円で全体の66%を占める。つまり一割の人が個人所得税の三分の二を負担している。累進税率による効果と収入が増えても各種の控除額は増えないためだろう。

 ※一年間勤務者でかつ納税したひとの値であり、本記事先頭の表とは異なる。

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参考 上尾市職員の年収は上位500位内です

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