自宅から通って住居手当をもらう公務員
初めて知った時には呆れたもんだ。
「自宅に係る住居手当」という既得権益を手離さない地方自治体の破廉恥さ。しかも廃止する時は一気にではなく、渋々と。
民間企業には住宅手当と呼ぶ制度があり、内容は会社によって異なる。厚労省の「平成27年就労条件総合調査」では、住宅手当は企業の46%で支給され、平均月額は17,000円だ(年20万円)。一般に、貸家への家賃補助が多いと思うが、中には住宅ローンの補助とする企業もあるらしい。この手当は所得税の課税対象になるが、制度すら無い会社も半分くらいあるわけだ。
なんと持ち家の職員にも支給されていた。と言っても、国家公務員は平成21年に「自宅に係る住居手当」を廃止し、自治体にも廃止を基本とした見直しを助言していた。で、十年たった平成31年でも廃止しないのは202団体(全体の12%)ある(総務省データ)。都道府県庁は廃止済み。
1.上尾市は今年からゼロになったが、過去には年間9万円も。
月額(円) | 支給対象者 | 総額 | |
H30 2018 | 2,000 | 600人 | 1440万円 |
H26 2014 | 6,000 | 679人 | 4889万円 |
上尾市は平成26年に廃止を決め、翌年から千円ずつ減らし今年でゼロになっている。一気にカットしない理由は、労組の抵抗が強かったのか、既得権益を守るためだったのかは分からない。しかし、この少しずつ減らす手口のことを経過措置と呼んで彼らは正当ぶる。
例えば、2014年では総額が五千万円近くも税金から支出した。最近でも対象者が600人位いた。まさか親の家から通う職員にも払っていたとか、夫婦職員で二人分とかも無いよね ('ω')
古い資料では、H17年で持家居住者6,000円、(新築・購入後は5年間7,500円)とあった。これだと年9万円になる。公務員はローンを組みやすいのだから、市内の中小企業従事者の皆さんはこの厚遇ぶりをどう思うだろうか。
この悪習が温存されてきた背景は、(資料では公開されるが)住民は知る由もなく、行政職員に媚びる市長や議員、労組寄り議員が多いと知らん顔をするためだろう。ちなみに上尾市役所には自治労と自治労連の二つがあり、二労組と合意しないと出来ないのはネックだ。
2.埼玉県には甘い体質の自治体が多い。
特定地に多い | 制度ある自治体 | 市区町村数 | 率 |
北海道 | 109 | 178 | 61% |
埼玉県 | 27 | 62 | 44% |
千葉県 | 0 | 53 | 0% |
東京都 | 0 | 62 | 0% |
神奈川県 | 19 | 30 | 63% |
全体 | 202 | 1721 | 12% |
首都圏では千葉県が廃止済みなのに、埼玉県と神奈川県に多い理由が分からない。下はH31/4の県内の実態だが、減額中の上尾市はカウントされていない。いずれにしても、特典を得るときは国に準じてを正当化の理由にし、廃止するときは独自、ということなら単なるエゴである。市民に向かって、「国は廃止しても、うち貰ってます」とはとても言えないはずだが、どこの街の市民も実態を知らないだろう。
参考 埼玉県の27団体
川越市、熊谷市、飯能市、加須市、本庄市、羽生市、深谷市 草加市、越谷市、蕨市、戸田市、和光市、新座市、桶川市、北本市 八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市、坂戸市、吉川市、ふじみ野市 越生町、美里町、神川町、杉戸町、松伏町
なお、国家公務員の家賃補助は月額最大28,000円、埼玉県(平成31年4月1日現在)は、借家等居住者に、家賃に応じて月額最高27,000円(年額32.4万円)。持ち家への住居手当はない。
つづく 別な歪んだ待遇へ
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