カテゴリー「戦争・安全保障」の6件の記事

2022年6月14日 (火)

日本がウクライナになる日

夜郎自大の帝国マインドとは言い得て妙だ!

河東哲夫 著・元在ロシア大使、CCCメディアハウス 

Photo_20220614174001ロシアを見てきた元外交官がプーチンの侵略戦争と日本の今後を多面的に解説した本。データで説く本では無く、豊富な外交官キャリアを元に語る感じ。読みやすいが、急いで書き下ろした感もある。

 日本はロシアと領土問題を抱えているが、この戦争からは地理的にも遠いため、国内報道は外電の孫引きが多い。そしてリアリティにも欠ける。そこで、日本語サイトではニューズウィーク日本版を見ることがある。最大の影響国アメリカの専門家の意見は多様な見方の一つとして意味がある。元CIA分析官の寄稿もあったりする。

 本書は同誌のコラムニスト・河東哲夫氏によるものだ。日本向けは最終章「日本をウクライナにしないために」が提言となる。つまり、タイトルとは真逆である。これは出版社の「売らんかな」の危機感商法だろう。

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 著者は、ロシアを夜郎自大の帝国マインドを持つと批判する!

 ロシアはアメリカと同格であらねばという考えが強く、その根拠にはアメリカを破壊できる ICBM をたくさん持っているからだという(約6000発)。この戦争はロシアが帝国復活を作して失敗するという崩壊のダメ押しになりかねない。アメリカは、ウクライナが弱ければ東西の緩衝地帯で良しとし、もしウクライナが強ければバイデンは強気に出ると指摘する。

 ロシアはアメリカも今まで武力侵攻してきたと言うが、アメリカは他者の権利を守るために介入する例が多く、ロシアは自分の利益のために侵攻する。だから多くの国がアメリカを支持するが、ロシアの侵攻を支持する国は少ないという。

 中国のことも書いている。中国が台湾を制圧すると、在日米軍基地を脅かせるから、金がかかってもアメリカは基地を日本以外へ移すだろう。だから、日本は自主防衛のための防衛力を整備することは当たり前だと説く。

 その中国を、自他共に過大評価の国だと指摘するが、その点はやや違和感がある。ロシアは軍事力で他国を脅かすだけで経済支援ができないから嫌われる。一方、中国は経済力で他国を懐柔して軍事基地化する。汚いけれど後進国には巧みなのだ。中国の技術はまだ西側の模倣でも、東洋人には努力気質があるから、いずれ西側に追いつく分野が増える。さらに、ロシアよりも国内の情報統制は強固である。

 日本については、連日の戦争報道により日本の呑気な時代は終わったから憲法改正・核武装などの安全保障を現実問題として考えろ、と言うのも文切り型で思考停止だと書く。先ずはタブーを取り外して考えろと説く。例えば同盟関係では、有事に仲間を助けるという義務に背くとその国は世界史に残るほど信用を失うが、トランプのような内向き人間が出てくれば、日米同盟で必ず日本を守ってくれるというわけではない、と警告する。

  • 核武装をどうするか

北朝鮮、中国、ロシアの核ミサイルを抑止する方法の議論が必要であり、非核三原則を「見ざる聞かざる言わざる」と同じだと嘆き、法律ではないから変更可能だと言う。しかし、幾つかの理由をあげて日本は核兵器を作れないし、アメリカも認めないという。

ならば次は核シェアリング検討となるが、米軍の核を国内に置くことを国会で決めても、地方自治体が大反対するから無人島に置くぐらいだろう。或いは、アメリカ原潜の核ミサイルの共同使用も複雑な話になるので無理という。

結局、日本が核武装できるシナリオは思いつかないと書く。

だから、相手国が核を使う脅しをかけてきても気にしないガッツを持つか、相手のミサイルを確実に落とすレーザー兵器などを開発するしか選択肢はないだろうと・・・この辺りは物足りない話になっている。

また、日本人の安全保障観はひどく捻れている、戦争反対と叫んでいれば人間としての義務を果たしたような気分でいるのだろうと批判するが、一つ同意できるのは、「日本人には軍事についての基本的な感覚がない」という指摘だ。だからこの機会に防衛のイロハの学習をすべきと言う。確かに、核にせよ防衛方法にせよ、議論してはいけないというのも思考停止である。

著者のコラムはこちら。外交官の万華鏡

親ロシアあるいは宥和的な人

 いろんな専門家がいるものだが、日本にも親ロシア的な態度をとる人が少なからずいる。参議員の鈴木宗男氏は有名。元外交官の東郷和彦氏もたまにテレビにでるが、彼の場合は口下手なために意味不明だ。

 嫌ロシアばかりになるのは危険なので宥和的な人も必要だが、ホンネが既得権益だったりすることもあるから、ロシアで飯を食っている人には要注意だ。

でも、この間に一番呆れたのは安倍晋三である。27回もプーチンと会って飯を食いながら成果は無かった。今更、「プーチンは力の信奉者」だと批判して、防衛費拡大や核共有を現職総理へ口出ししている。どうにも便乗商法的で、そのずるさは相変わらずだなと思う。

27回も会談した理由は単純だ。首脳会談の場合はNHKや新聞が毎回トップニュース扱いするからだ。ニコニコと会談する姿を、「やってます感」満々に宣伝される。NHKは岩田とか言う女性記者が提灯解説をするわけで、まさに、「プロバガンダに騙されるな」である(本書の帯)。

文春 プーチンに媚びた面々 安倍、森、鈴木、鳩山

前記事 ウクライナ報道と防衛研・高橋杉雄氏

 

 

2022年6月 1日 (水)

ウクライナ報道と防衛研・高橋杉雄氏

平和ボケ日本では日陰者だった?軍事研究者 

前記事 専守防衛と言うハンディキャプ戦争

 三か月も経つと日本でのニュース価値は下がってきたらしく、誤振込騒動や沈没船つり上げ失敗の方が話題になっていた。

開戦から四月までのテレビは、ウクライナの被害の酷さとロシア軍の残酷さ、それにめげないウクライナ軍の健闘を伝えていた。

そして、テレビに出る解説者と言えば、ロシア政治や歴史文化を専門とする大学教授ばかりだった。でも、彼らの話しは平和な時の知識であり、生臭い戦争中には役立たない。しかも、テレビ局が特派員を送れないため、内容は欧米のネット報道から半日や一日遅れだった。ネットを使えば、NYT、CNN、日本語版で少し遅れるがCNN日本語BBCジャパンなどの方が役立つ。それは今でも変わりないが、BS-TBSの報道1930も専門的でイイ。

しかし解説者には大きな進歩が起きた。防衛庁のシンクタンクである防衛研究所の専門家が出てきた。NHKは部長の兵頭慎治氏を、民放では室長の高橋杉雄氏、山添 博史氏らが引っ張りだこ。ジャーナリストでは朝日の駒木明義氏が優れている。

結局、防衛庁から招かねば戦況解説ができないということは、日本では民間はおろか大学でも軍事研究は不人気な分野だと言うことが良く分かる。なお、高橋氏のツイッターアカウントは開戦頃なので、組織的にプレゼンスを高めようとしたかも知れない。

 日の当たらなかった防衛研を世間に知らしめたことになるが、その辺りをリベラル系のジャーナリストがケチをつけていたが嫉妬みたいだった。理路整然としつつ、思想性を出さないようにしているから人気があるのだろう。そして、とうとう昨日『ウクライナ戦争の衝撃』という本まで刊行した。混雑してアクセスできない・・・

彼らの戦況解説は欧米のニュースサイトやSNS、専門家どうしの人脈をベースにしていると思う。特に、アメリカのシンクタンクの戦争研究所(ISW)のレポートは重要視される。ISWは毎日、長文レポートを出している。Google自動翻訳で読めるが、社会系とは違う文章なので、意外とうまく翻訳されている印象だ。

ウクライナ軍は遠距離砲撃の射程と火力数で劣勢 

5月中旬から戦況が変わった。ロ軍は戦線拡大をやめてドンバス集中へと戦略を変えたことで数的優位になった。ウ軍は、マリウポリの地下部隊を救出できなかったように兵力不足に不安があるようだ。

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ロ軍が東部ドンバスに集中したこと、地理的に川を挟んでウ軍には補給線が保てないことが不利らしい。そして何よりも戦い方が変わったという。

戦車と歩兵の戦いなら数Km内の接近戦だが、その外側から射程数十Kmの大砲の撃ち合いをしている。遠距離砲撃戦は予想されていたが、アメリカ製M777榴弾砲の数が少ないようだ。さらに、ロ軍はその外側から長射程の多連装ロケット砲をバンバン撃ってくるという。砲数と長射程によりロ軍が優勢、ウ軍は囲まれそうだという。

だから、ゼレンスキーはアメリカに多連装ロケット砲を求めている。候補のMLRSという兵器はGPS弾を使うと多連装ロケットというよりも地対地ミサイルに近い兵器になるという。弾を変えると300kmも飛び、ロシア領土へ届いてしまうから供与を米国はためらったという・・・。

また、ロシアに奪われたら大変なことになってしまから最新兵器は送りたくないだろう。例えば、日本はヘルメットと防弾チョッキを提供しており、大したことないと思うが、中国は必ず手に入れると言われる。耐性テストができるからだ。

ヘルソン州での戦闘はロシア軍をおびき寄せるため?

 ウクライナ軍がクリミアの北に位置するヘルソン州北部で攻勢に出たとISWが伝える。図の赤い範囲のままでは2/24以前よりも広く失うことになり、とても停戦交渉にならない。南北朝鮮みたいに分断されるし海路まで経たれる。ヘルソン奪回の動きは東部戦線からロシア軍をおびき寄せる為だろうか?

 以前、ロシアがヘルソン州を編入したら、発電所の電力をウクライナに売って稼ぐという見方があった。おそロシアなら、やりそうだ・・・。

つづく

 

 

2022年5月16日 (月)

専守防衛というハンディキャプ戦争-4

前記事のつづき(ゼレンスキー大統領)

プーチンは大将戦でも負けた

 四月半ば、プーチンはキエフ攻略を諦めて東・南部へ戦力集中を命じたが戦果はでていない。よって、戦勝記念日の演説は西側が騒いだほどの内容は無かった。むしろ驚いたのは、同日のブレジンスキー大統領の演説ビデオの方だった。

支持者に囲まれるでも無く、ひっそりとしたキーウ市内を独りで歩きながら演説していた。足もとに目をやるでもなく、周囲を見るでもなく、ずーっとカメラ目線で歩いて演説した

よく事件現場で、テレビレポーターが歩きながら中継することがあるが、数十秒ほどだったり、視線は現場の方を向いたするものだ。(編集が入っていたとしても)なかなか真似のできないプレゼンであり、この日もリーダー像としてはプーチンの負けだ、と思った。

●ウクライナ軍は兵力が少ないのが弱点

先日、第二の都市ハリキウ(ハリコフ)周辺からロシア軍を追い出したらしい。ウ軍はキーウ防衛戦で勝ち、ロシアが兵を引いたことで、主力部隊をハリキウに集中させた効果だろう。ロ軍は東部と南部にまで戦線を広く展開しているが、ウ軍はそこまで対峙できないから東と南の奪還はゆっくりだ。

マリウポリの製鉄所地下に籠城するアゾフ隊をいつまでも救援できないのは兵力不足のためだろう。一方、ロ軍の作戦の混乱や士気の低さとか命令無視は前から伝えられている。そこで、気になったのは、

●ロシア軍の死者は貧しい地方から来た若者

BBCニュース・ロシア語が伝えるロシア死亡兵の属性分析だ。公式発表や地元メディア報道、SNS、ロシア軍人の親族への聞き取りをもとに2336人の死亡を確認し、名前や階級、所属部隊も分かったという。人数はロ国防省の3月発表の2倍という。

通信面の問題があるためか約二割が将校だという。犠牲者の25%は偵察や襲撃に投入される空挺部隊であった。そして、死者の多くはロシア国内で経済が困窮する地域の出身者であり、モスクワはロシア人口の9%を占めるが、同市出身の死亡は3人しかいないという。つまり、弾の当たる最前線に行くのは貧しい地方出身者というわけだ。

 貧しさと無知が戦争の燃料になり、暖をとるのは都市の人間や既得権益者というのは昔から変わらないが、肝心のモスクワ市民がそれに気づくまでは戦争は終わらないだろう。帰還する棺が増えるのをみてロシア国内から厭戦気分が生まれるしかない、と思っていたら、日曜の毎日新聞Webにトンデモナイ記事がでた。

 ロシアで「クーデター計画進行中」というがソースはウクライナ諜報機関だ。丸でスポーツ新聞並である。

●違和感の多い戦争に見えた理由とは

宣戦布告の無い『戦争』になっている。プーチンが「特別軍事作戦」という名称に拘るのは国内向けだけではなく、戦争じゃないから宣戦布告は必要ないし、戦争犯罪にも該当しないというレトリックなのだろう。

この戦争を見ていて一番、奇異なのは、ロシアはウクライナ領土を好き放題に破壊できるが、ウクライナ軍はロシア領土へ攻め込めないことだ。理由の一つはウクライナはロシアが嫌いでも戦争を仕掛けたいわけでは無いという基本姿勢がある。そしてもう一つは、侵攻したらロシアに核を使う口実を与えてしまうためだ。

この自国領土内でのみ闘うスタイルが専守防衛なのだと、元自衛隊トップが開戦以来語っていた。先日も別な元幹部が語っていた。相手の兵站基地を叩けないから、

ロシアは本土がやられないから何波でも攻めてくる(TBS・BS)

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つまり戦況がロシアに傾けば、キエフを再び攻めることになる。

陸続きの戦争と核の有無という面があるが、専守防衛とはまさしくハンディキャップ戦争である。だから核を使わせないで勝つ方法しかないという難しい戦い方になる。きっと、長期戦に持ち込むしかないのだろう。一気にウ軍が勝とうとするとプーチンに核使用の動機を与えるかもしれない。その辺りは、アメリカが日々観測と分析をしているハズだ。

そして日本は、今まで想定していた専守防衛の本当の姿を見せつけられ、アップデートすべき「現実」に来たのかもしれない。その第一段階が参院選になる。

いよいよ議論を避けるのが通用しなくなってきた。上記の番組は質の高い内容でYouTubeにもある。

つづく

 

2022年5月 6日 (金)

プーチンの侵略戦争-3、ゼレンスキー大統領

3/24日の侵攻以来、二か月がたった。そして戦争は第三段階へと進むらしい。

当初、キエフまで巡航ミサイルで攻撃された時、30年前の湾岸戦争を思い出した。米軍の精密誘導ミサイルがピンポイント爆破する映像である。軍事大国ロシアの前では、可哀想だが「もたない」なと思った

しかし、ウクライナはよく耐えて反撃に転じている。凄いことだと思う。

1~2月に、バイデン大統領がロシアの侵攻を度々警告していたのは、ロシアへの牽制だと思っていた。そして2/18日は、『数日以内にウクライナに侵攻する計画があり、首都・キエフも攻撃対象になる』と言い切った。

しかし、周辺国はおろか当のゼレンスキー大統領さえ『そんな兆候はない』と否定した。実際、ミサイルが撃ち込まれてから国民が慌てて列車や車で逃げる光景からも、「キエフまで攻めてくるわけない」と思っていたようだ。

米・英の情報能力の高さが際立っていることがこの戦争の特徴になっている。それをインテリジェンスと言うことも今回よく報道されている。しかし、最高のインテリジェンスを持ってしても、ウクライナ軍の健闘と弱っちいロシア軍の実態は想定外だったわけだ。本当の戦争と机上演習では大違いなのだろう。

なお、在ウクライナの中国人の保護方針が、初めは「中国旗を掲げて退避」という案内から後に「中国人と分からないように」と混乱していたことから、中国ですら侵攻を予測していなかった。

 以前は、プーチンのネライはウクライナのNATO入り阻止と思っていた。しかし、地図を見ると加盟済みバルト三国からでもモスクワへの距離には大差ない。その後の交渉からもNATO加盟反対が大きな目的でないことは分かった。

ソ連邦から解放された各国は経済的に豊かになりたいからECへ加盟し、威張るロシアが怖いからNATOに加盟したかったと思う。つまり、EUやNATO加盟は結果であり、そこへなびく原動力が「自由と民主主義」の浸透なのだと思う。つまり、このままでは民主主義という感染症が東欧だけでなく、ロシア内にまで及ぶことを恐れた、というのが真の理由ではと思っている。

「ロシア帝国の復活」とか「ウクライナは元々ロシアのモノ」みたいな歴史観による理由は国内向けだと思う。ただし前提として、ウ軍は弱く(クリミア併合時は一日で退却)、ロ軍は強いという判断がある。

以前から、バイデン大統領が現在の国際情勢を「民主主義対専制主義」という捉え方をしていて、二極対立にして大袈裟過ぎる気もしていたが、ロシアの侵略戦争によりその納得感は増した。

 地図の上ではロシアはウクライナの領土分割で占有したいのだろう。そして残った西部を破壊尽くして西側に渡してやるという腹積もりだろう。ウクライナ被害額70兆円なんて知った事か、というわけだ。国土が破壊される姿を西側へ逃げた裏切り国に見せつけたいのだろう。

 しかし、そうならないことが戦況から見えている。アメリカは当初、キエフ陥落を予想していたが、今はロシアの弱体化を望む、と踏み込んだ発言をする。

チャップリンがチャーチルに変貌した。

 ゼレンスキー氏が大統領に当選した時、ウクライナの緊迫した政治情勢よりも喜劇役者と言うことの方が大きく伝えられた。当時、トランプみたいな衆寓政治家が真っ盛りの頃だったから、良い印象は持たなかったものだ。

 しかし、吉本のお笑いタレントを連想してはイケなかった。

 就任後は新ロシア的振舞をして支持率は30%に低迷していたが、ロシア侵攻で一気に急上昇した。数度の暗殺計画まであったらしく、アメリカは国外逃避を勧め、海外に臨時政府の話もあったが、彼は国内に留まりネットを駆使して徹底抗戦を訴えた。半年前のアフガンでガニ大統領が逃げ出したのとはえらい違いだ。

 更に、巧みな言葉で語る能力も優れる。各国議会への演説をしていた頃、『チャップリンがウィンストン・チャーチルに変貌した』という比喩で、WW2におけるヨーロッパの偉人と肩を並べられた。『ヨーロッパの英雄になる』と言う人もいたが、軍事力の差を見れば「悲劇の英雄だろう」と思っていたのだが・・・、本当の英雄になりそうだ。

 それ位、国境線が地続きの欧州では他人事では済まない危機感があるのだろう。その辺りは、海に囲まれ支配された歴史が希薄な日本人には理解できない。だから無責任な事を言う人もいる。国民の犠牲を増やさないで「はやく降参すべき」という意見は、命を優先した穏当な意見ではあるが、命よりも大事なものがある、と思って戦わざるを得ない人には、冷たい言葉だろう。

 彼らは、『同情するなら武器をくれ』と言っている。

 アメリカは日本を占領したが、反米的な日本人を国外へ連れ出し、代わりに自国民を入植させたりはしなかった。ソ連は平気にシベリア抑留をして働かせたように、おそロシアはタダのシャレではない。

つづく

 

 

 

2022年3月21日 (月)

ウクライナ戦争-2 戦艦ポチョムキン

オデッサの階段より凄惨な109台のベビーカー

前記事-1のつづき

 ウクライナ地図が紹介されたとき、オデッサってここなのか、と感慨深かった。

戦艦ポチョムキンの舞台にもなった街がオデッサだ。ロシアのエイゼンシュテイン監督による共産主義のプロパガンダ映画である(1925年)。はっきり覚えていないが学生時代に見たと思う。

 作成方法が映画史に残る作品といわれるが忘れたのでWikiを元に書くと、ロシア革命での戦艦ポチョムキン号の反乱事件を描いたもの。水兵たちが腐った飯に怒りだし、武装蜂起して艦を乗っ取り、その後オデッサへ寄港する。他の軍艦にも反乱が波及するなど、詳しくは戦艦ポチョムキンの反乱に書いてある。モノクロの無声映画だが、最後のカットだけ旗の色が急に赤くなって赤旗がなびいていた。

この映画で有名なのが、「オデッサの階段」と呼ぶシーン。「映画史上最も有名な6分間」と言われ、皇帝軍の兵士が市民を虐殺していく。中でも有名なのが、赤ん坊をのせた乳母車が長い階段をスピードを増しながら落ちていくシーンだ。写真は上のwikiより

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情けないことに、乳母車がどうなったのかは全く覚えていない。でも、別の映画では記憶していた(但し同じ結末なのかは不明)。

アンタッチャブルという有名な映画では、アル・カポネ一味と捜査官エリオットネス(ケビン・コスナー)との戦いで、乳母車の階段落ちシーンがオマージュとして使われた。乳母車を足で受け止めて反撃する場面がスローモーションで巧みに描かれていた。

さすがに乳母車の件は作り話だと分かるが、オデッサ階段の虐殺というのも史実ではない。後にネットが出来てから知ったことである。今はポチョムキンの階段と呼び、ストリートビューで訪れることもできる。

このオデッサはウクライナの軍港もあり要所なのでロシアの攻撃対象である。ここには日本のプレスが居てTBSがリアルに伝えている。なお中国初の空母・遼寧はウクライナ海軍から未完成品として買って完成したものだ。

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 プーチンのロシア軍は子供を平気で殺す。

3/20 BBC-news 空のベビーカー並べ、殺された子供たちを追悼

[記事より] 西部リヴィウで、ロシア軍の侵攻により亡くなった子供たちを追悼するため、空のベビーカーが並べられた。少なくとも109人の子どもが亡くなった。1台ごとに失われた命1つを表している。

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映画よりも現実はもっと酷いことになっている。昔は銃剣だが、今は遠くから大砲やミサイルで攻撃だから人の死を実感しないのだろう。子供が殺されて憎悪心が産まれるだけだ。

先日、殺された親子の死体が路上に横たわる様を日本のテレビではシートが掛けられた状態として報じたが、NYタイムスは生の姿だった(閲覧要注意、こちら)。こうした報道はアメリカ人の琴線にもかなり触れるだろう。でも思ったのだが、中東やアフガニスタンなどで似たようなことがあった。米軍が言う誤爆で民間人が死んだ例はたくさんあり、結構最近までのことである。

ロシア軍の非道さは有名らしいから、そっちこそどうなんだ論法では釣り合わないが、民間人の被害が無い戦争などあり得ない。また、ウクライナから隣国へ避難する混乱の中では人種差別が起きていると訴える黒人の声もあった。更に、男は国内で闘うのが当たり前となったが、耐えられない男だっているだろう。

 

 

2022年3月18日 (金)

プーチンのウクライナ戦争-1

今、ベレンスキー大統領は世界中に向かって支援を訴えている。国連軍が編成されるわけでもなく、NATO軍もこない。それはプーチンがをチラつかせるからだ。通常兵器だけの正規軍の戦いならば兵器の能力差でNATOか米国がロシア軍を退けただろう。

1_20220318153201しかし兵を出せないのだから、ベレンスキー大統領のホンネは、同情するなら武器をくれなのだろう。何しろ被害妄想狂から侵略されたのだから話が通じない。有利な交渉条件になるまで戦うしかないという決断だ。

しかし、日本は出兵も武器輸出も出来ない。

美人が多いことで有名、と言う通俗的な理解しか無かったが、避難している人々の防寒具を見ると雪は無くても相当寒そう。底冷えする地下壕で何週間も過ごすなんて信じがたいが、現実である。そうした遠くの戦争を、連日テレビで接していると、「消費」している感じになって気が重い。たぶんそう思う日本人が多いだろう。

先日、深夜にM7.3の大揺れが東日本を襲ったが、翌日は普段通りの静かな夜だった。改めて、戦争はどちらかが殺されるまでやり続けるのだから天災より怖い。

ヨーロッパ地図へ日本を重ねたのが上図(クリック拡大)。緯度の位置はやや粗っぽい。それでも北海道どころではない。凍土がゆるむと戦車部隊が進めないというので、冬季オリンピックが無ければもっと早く侵略したのだろう。

ヨーロッパが小さく分割されているためか日本列島がやけに大きく見える。次図で重ねると、モスクワとキエフの距離は意外と近い。

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国境線と言う見えない線で地べたが通じている所で、過去から戦争をしてきた歴史があると、互いに疑心暗鬼になるのだろう。だから海に囲まれた日本人の安全保障認識などは、まったく通用しないから軽々には言えないと思う。日本列島は相当ヤバい地殻構造の上に海面に突き出しているけれど、この点は長所である。

で、モスクワとキエフは札幌と金沢みたいな日帰りできそうな距離である。こんな近い所に、NATOのミサイルや核が置かれたらトンデモナイとプーチンは怒ったのだろう。

1962年にキューバ危機があった。子供心にも覚えている事件だ。キューバにソ連が核ミサイル基地を密かに建設中だったのをアメリカの偵察機が発見した。ケネディ大統領が怒って、ソ連船への海上封鎖をし、それを突破するか否かで米ソ核戦争の瀬戸際だった。当時のソ連にはICBMは無かったので一番近くの攻撃拠点の積りだったようだ。

今回、ウクライナにはそんな基地は無いのだから、プーチンは被害妄想としかい言いようがないが、そこまで追い詰めたのは冷戦終了後の西側である、と言う外交的な見方も捨てがたい。

しかし、ロシアを嫌って旧ソ連邦の国々は離れた。嫌われているのだから仕方ない。尊敬されたり好かれるようにすれば、親戚のままだったり友達でいられたのに、それが出来なかった。

先日、ウクライナの女性が現地からのネットインタビューで、『初めは怖かった。今は、怒りと憎しみに変わった』と語っていた。これから何世代も憎悪感が受け継がれるだろう。それが、なかなか消えないことを日本人は知っている。

下はツイッターより。

 

 

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