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2022年4月15日 (金)

薬局淘汰の時代-2 ドラッグストアの台頭と薬剤師の未来

期待されるリフィル処方、定員割れ私大薬学部

前記事のつづき

成長の無い日本は社会保障費ばかりを気にしていれば良かったが、おそロシアのために安全保障つまり防衛費増額を巡る議論が避けられなくなった。もっとも金額では圧倒的に社会保障費がでかく、その内訳は年金と医療費が占める。

2020年度の医療費(速報値)は42.2兆円となり、前年から1兆4千億、減少率3.2%と過去最大に減った。受診控えとコロナ以外の感染症が減った効果である。この国民医療費とは保険診療となる費用の推計でありGDP比で約8%である。また、医療費全体に占める薬局調剤医療費は約18%だ。

週刊ダイヤモンド(2022.1/29)薬局淘汰の時代へ、という記事があった。前回書いた駅前出店が増えた背景や薬剤師合格率の低い近隣の日本薬科大学の名も出ていると思って読んでみた。ネットでも部分的に公開されていて、リードはとても刺激的である。


●2045年に薬剤師は最大で12.6万人過剰になる――。薬を提供する対物業務から、患者と関わる対人業務を重視せよ。・・・医師と同様に薬剤師にも卒後研修が必要では・・・。

●薬局の数がついに6万店を超えた。医薬分業の波に乗り、病院の前に乱立する薬局。そんな増え過ぎた薬局にメスを入れるべく、・・・・薬局の“選別”を促す施策が次々と打ち出されている。

 「中医協は診療報酬の配分を巡り、医師と薬剤師が争う場だ」と辛らつに書き、どうも薬局の未来は明るくない。

 許認可の規制が低いために薬局が増え、コンビニやガソリンスタンド、郵便局よりも多くなっている。薬局の最低ラインは日常生活圏域に一つ以上という見方があるらしく、それは中学校区の範囲らしい。中学校は約1万なので、約13000店が最低ラインとあったが、かなり乱暴な見方である。

かつて院内処方が主だった時代、病院と同じ組織が薬を出せば出すほど儲かった。仕入と薬価との差額が儲けとなり、それが薬漬け医療という問題になった。1974年に院外処方を導入し、普及させるために調剤報酬を大幅引き上げたという。その医薬分業という国策で急成長したのが、病院の前に店を構える門前薬局である。

門前薬局は、近くの医療機関向けの薬に特化して在庫を揃えるために経営効率が良い。その結果、門前経営で荒稼ぎするチェーン店が台頭し、立地産業になっていた。記事には、薬局から医師へのキックバックもあったと書いてある。

その後、医療費削減の流れの中で、処方箋が同一医療機関に過度に集中していると儲かりにくくした。集中率が75%を超すと調剤技術料が42点から26点に減ったり、門前店でチェーン化して85%超すと更に減点になるようだ。背景には地域の零細薬局を守る面もありそうに思う。

・受診控えで処方箋枚数が激減し、耳鼻科・小児科が苦戦

2020年度の処方箋枚数は9.3%減、調剤医療費は2.7%減の7.5兆円という。とくに、耳鼻科・小児科の近くにある門前薬局、オフィス街のクリニック近くの薬局が苦戦なのだと。昔、仕事で接した耳鼻科医から「うちは駄菓子屋みたいなもの」と聞いたことがあったので良く分かる。

儲かりやすいのは(処方が多い)内科医の近くらしい。ただし、受診回数が減っても、一枚当たりの薬が長期間分となり、一枚当たり調剤費は9857円と前年より7%も増え、まとめ買い効果が出ている。そして今、台頭しているのはドラッグストアの調剤事業である。

スギ薬局2021年決算をみる。売上高6000億円の二割が調剤事業であるが、調剤は物販よりも儲かるから粗利率は39%と高く、物販27%の比ではない。処方箋の一枚当たり単価(調剤売上÷枚数一千万枚)は11600円もある。あの紙きれがこんなに稼ぐとは!。

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決算資料には、枚数の伸びは受診控えで鈍化しつつも、「⻑期処⽅、高額処⽅の増加により、処⽅箋単価は前年⽐935円上昇」と書き、年間100店増のペースで増収増益である。客が広いエリアから来るドラッグストアは処方箋が集中しないため、前述した集中率では抑制できない。

また最近は、医療モール開発にも積極的。ドラッグストアと調剤薬局を集客の核テナントにして、複数のクリニックを誘致するわけだ。新規の開業医にとっては開業リスクが減るためにWin-Winになる。ショッピングセンターのテナント誘致でもミニ医療モールは定石化している。

医療費を減らすリフィル処方箋に期待

薬だけ欲しくても診察が前提だから、再診料や外来管理加算などの点数が算定されて医者の収益になる。しかし、症状が安定している慢性疾患者にはムダな診察費になる。リフィル処方とは、一度発行された処方箋を一定期間で何度も再利用して通院しないで薬を受け取れる制度だ。Refillは補充という意味で、欧米では当たり前らしい。

受診回数が減るため医師会は反対したが、この4月からスタートしたらしい。例えば、一回30日分出していた所を、30日×3回まで可能とするようなものらしい。生活習慣病を扱う内科医は嫌がるが医療費抑制になる。

参考 「リフィル処方箋」について

薬局の経営環境の未来は明るくない。それは薬剤師に影響する

覆面座談会で、病院内のヒエラルキーを医者、看護師、臨床検査技師、薬剤師と語っていた。患者と接する度合いみたいだが、6年生大学卒なのに意外と地位が低いのに驚く。

薬剤師の年収は高くない。調剤薬局での一般薬剤師の年収(20年)は一店舗のみの企業で529万円、20店舗以上だと461万円という。一段高い管理薬剤師になると20店以上持つ会社では650万円、2~5店舗だと776万円、なんと一店舗のみの薬局だと849万円である。

管理者になるまで勤続すれば良いが、そのポストの空きは限られるだろう。一方、薬剤師集めに熱心なのがドラッグストアで、年収は1~2割増えるが物販もするのため勤務はきついという。薬学部の授業料が年200万円とすると総額1200万円になる。オール奨学金としても教育投資に見合うのか疑問だ。給与が良い医薬品メーカーへの就職は、入れるのは一割以下で一流大学に限られる。

企業規模が小さいほど、或いは地方の方が年収が高くなり、他の業界とは反対になっているのが不思議だ。トップ山口県の780万円に対して東京都で508万円と差が開くのは、求人の需給関係と地方では大手のシェアが低いためという。 

・薬学部の“人気低下”が止まらない 

6年制になる前の2002年度の薬学部定員は8200人。これが20年度は1万1602人と約1.4倍も増えている。定員増を当て込んだ参入があったのだ。しかし、21年度の私大薬学部の志願者は6万7717人で7年連続減。なんと7年間で4割以上も減ったという。

そしてとうとう、厚労省の有識者会議が「学生の質の維持に課題がある大学が存在する」と警鐘を鳴らした。ダイヤモンド誌は「三つの指標」を基に、全国の私立大学薬学部を対象に「淘汰危険度」ランキングを作った

二位の千葉科学大学は加計学園、どの値も50%を切り将来性に疑問が付く。

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 このうち定員充足率(左から二つ目の値)を見ると、100%以下という定員割れは既に一般的なのだ。また、国家試験合格率(右端の値)は出口の成果である。合格すれば低偏差値大学というレッテルは無関係になり、良い意味での学歴ロンダリングになるが、合格率が低いのに定員がそこそこ高い理由はよく考えるべきだろう。

 合格率を上げるために安易に受験させない大学もある。また、現役で合格しなかった人は卒業後に国家試験を受けるが、その合格率はもっと低いと思う。なお、図の赤枠は都築学園という同じルーツの大学である。

 

2022年3月30日 (水)

ウィル・スミス騒動とエスカレーション

本稿、敬称略。

日本映画の「ドライブマイカー」がアカデミー賞受賞という嬉しいニュースがあった。これって大手映画会社による作品でもなく、低予算の映画で、しかも海外での高い評判を得て国内でも多く上映され始めたらしいので、構造的には日本映画の未来が明るいわけでは無いようだ。

それと同時に、ウィル・スミスが司会者を殴った騒動が伝えられた。見た限りでは別に衝撃的では無かった。世界的イベントでの人気俳優だから大きなニュースになったのだろう。むしろ、スグ思い出したのは、昔野崎昭如が大島渚監督を殴った件だ。野坂がパンチして眼鏡がすっ飛び、大島はマイクで反撃した殴り合いだ。そして・・・

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もっとビックリしたのは、即座に(美しい)夫人が間に入り、"まぁまぁ、困った子ねー"と言わんばかりに笑顔で収めたことだ。経緯は二人の友情から来たものであり、奥さんが仲をとり納め、二人とも謝っているので、晴れ舞台での喧嘩としては日本の方がはるかに優れた作品になっている。

容姿を笑いのネタにし、平手打ちや罵詈雑言とはレベルが違うこの映像こそアカデミー委員に推奨すべきだと思った。そして日本の大手の映画作品もこのレベルにならないとな~、と思う。

で、ウィル・スミスの暴行をアメリカではどう見ているのかと思っていたら、Quoraの米国人弁護士がこう書いていた。


正当防衛の原則に米法では「相当する暴力」のみが正当とされ、過剰な暴力は正当性を持ちません。

・言葉には言葉

・非致死暴力(殴る、蹴る)には非致死暴力

・致死暴力(刃物、銃)には致死暴力  が許されます。

 日本は知らないが、さすがに合理的思考だなと感心した。本件は言葉でやり返す(怒鳴りつけるまでは許される)というもので、スミスには同情するが、やり過ぎてしまったようだ。

 実は、今、ロシアとウクライナではこの究極が行われている。

闘いが日々エスカレーションし、ロシアは恫喝から始めて、本当にミサイルを千発も撃ち、とうとう無差別的な攻撃までしている。しかも戦況が不利になると、挽回のために生物化学兵器をシリア戦争のように使うと警戒される。

その次は小型の戦術核まで予想されている。誰も住んでいない所へ撃ち込み、ウクライナ側の戦意を喪失させる狙いというが、そうなるとアメリカも黙っていられないとする専門家もいる。その場合、ロシア領土へは撃てないのでベラルーシ辺りかもと言われるように、どんどんとエスカレートするわけだ。

そんな時、理解しがたいニュースがあった。

バイデン発言が内政干渉という反応

26日、バイデン大統領がポーランドを訪れた時に、プーチン大統領について「権力の座に残しておいてはいけない」と非難した。この発言が、ロシアの体制転換を求めたとも受け止められ、ロシア側は「バイデンが決めることではない」などと反発した。アメリカ内部でも批判が出たらしいとして「バイデンの失言」、「内政干渉」として日本でも何度も報じられた。

ロシアを恐れるポーランド国民の前で言ったことであり、内容は西側のホンネでありムリと分かっていても、そうあって欲しいと多くが思っていることだ。

プーチンがやっている事こそ究極の内政干渉である。ゼレンスキー政権をナチと呼び、(公言はしないが)打倒してから傀儡政権を作ろうとするのだから、バイデン発言を失言だと身内から批判するのは不思議だった。批判に理があるのは、これはアメリカ政権の目標や結論ではないという点だけであり、(原稿にない発言として)その点は即座に否定声明を出している。

これがトランプだったら、またバカ言っているという程度で取り合わないだろう。

要するに、侵略者にも清く正しく敵対しないとダメです、ということに拘り過ぎるのもどうなのかなと思った。これこそがリベラル側の持つ弱さではないかと感じたが、果たしてどうなんだろうか(共和党が批判しているのは党派的なものだと思う)。上の正当防衛論で言えば、致死暴力に暴言で対抗しても罪ではないだろう。

マクロン仏大統領は「・・・私ならそのようなことばは使わない」と言ったが、それは西側世界における役割分担(多様性)としての、頭の良いエリート発言だと思いたい。

そもそも、ロシアがこの発言でエスカレートはしないだろう。彼らは都合の良いプロバガンダを使い、無い事をある事にし、有ることを無い事にして正当化するのだから、相手発言の上げ足をとる必要は無い。

 

 

 

2022年3月17日 (木)

e-Tax接続不能、今年の確定申告は大荒れ

e-Taxもヘルプディスクも繋がらない、確定深刻 (>_<)

前記事 事業所得の源泉徴収額を入れる画面はどこか

追記 22.3/18 日経 e-Tax障害、サーバー負荷が原因 4/15まで延長

国税庁のサイト内で申告書を作成し、自宅からネットで提出(送信)できるようになったので今年はそれをやったが、混乱で大変な時間の浪費となった。疲れたW

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国税庁はこの障害を理由とする期限延長を個別に認めると発表した。申告書の余白や特記事項欄に「e―Taxの障害による申告・納付期限延長申請」と記して提出すれば認められるという。検索したら、過去にも何度か接続障害を起こしていた。

今回はニュースにもなっていたが、トラフィクスは示されていない。締切前日の月曜ということもあるのだが、ヘルプデスクへ電話しても待ち時間の無駄となった。日本のIT化の遅れをまざまざと感じた日だった。

今までは、Excelで組み(その前はMS-DOS版ロータス1-2-3だが)、清書して提出していた。税制改定があると変更点を調べて直すのが面倒だったが、近年、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」 で自動計算されるサービスが稼働して楽になった。

さらに、今年からネット提出できるようになったので試したが、最初は常に混乱するものだ。

混乱の一つは、サイトの入口を間違えたことだ。去年までの入口(ブックマーク)から入ったが、作成コーナーで完成して最後の工程で「ネット送信の有無」の選択になると思ったが、そのような画面は見当たらない。結局、もっと上位の入り口から入るべきだった。つまり、

「どの方式で提出するかを選択」してからスタートする以下は来年のための自分用備忘。

e-tax、個人、確定申告の作成はこちら、を選んで下の図に来る。そしてデータ利用で作成を選ぶ。

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つぎに下の「作成再開」の「提出方法を変更する・・・」を選ぶ。こんな所にあるのだ。

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提出方法の中からは、ID・パスワード方式を選んだ。これは利用者識別番号方式ことだが、それを一般名称の「ID・パスワード方式」と書くのは良くない。

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結局、ここで選べば、最終工程では国政調窓口への送信ができることになる。
送信できても、次には確実に届いたかの検証プロセスに移り、確認できない風のメッセージが出たり、ハングアップ状態になってしまう(障害の影響なのだろう) 。何度も送信をトライしたが、正しく届いたのかは分からないままだった。
受付の成否を見るには「メッセージボックスの確認」へ行くのだが、これも接続不良で入れない。
夜になってからつながったので入った。重複送信していた履歴があった。繰り返し同じアウトプットを送信したのが届いていたわけだ。
面倒だからそのままにした。(>_<) 
どれが正しいかなんて、税務署が見ろよ、と言いたい。
 
●本当は、マイナンバーカード方式(スマホとリンク)を使うつもりだった
実は、こっちの方がカッコよいので、最初はこれに挑戦した。
所が、サイト混雑なのか画面の二次元コード読み取りが不安定だった。
普段は、NFC機能を使っていないので、スマホによるマイナンバーカードの読み取りがうまく行かない。特に最適な設置合わせのコツがあるらしく、そのコツを探すのにシャープスマホの説明サイトまで行かねばならなかった。
ようやく読めたと思っても、アクセスが途切れたりして相当な無駄時間を費やしたので、諦めて先の方式に切り替えた。
結局、納税意識も消えたw

2021年11月14日 (日)

埼玉県市町村の年少人口の減少_社人研

人口が減っても、増え続けるアレと世代間断絶

前記事の社人研の推計では、2015年から30年後に人口が増えるのは県内で10市町のみというものだった。でも、埼玉は全国からの転入者数と企業転入が日本一と言うように立地が恵まれているからマシなほうかもしれない。

四年前に安倍さんは国難突破解散という大げさな言葉で総選挙をした。北朝鮮問題を煽りつつも少子化問題も危機だからとして幼児教育無償化を消費税の増分でやったが、少子化はとまらない。

そして、先月の総選挙でも「少子化問題」というワードは使われるが、耳目を集めたのは減税や給付がどうたらという、その日暮らしのテーマだった。コロナ対応で見られたように、日本は短期的な危機には過剰反応するが、長期的な問題へはみんなで下を向いてしまう所がある。

 さて、今回はリアル感を出すために、年少人口(0~14歳) の減り方の大きさを示した子供の人口が維持できるのは戸田市のみだ(全体指数116、子供は105)。クリック拡大

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  • 散布図グラフの解説

データは前記事と同じ社人研である。横軸は全人口の2015年を100とした2045年の指数、縦軸は年少人口(0~14歳)の指数である。総人口よりも子供人口の減り方が急であるから、全自治体が赤い対角線よりも下側にプロットされている。

印と対角線との距離が大きいほど子供の減少が大きいことを示す。例えば、上尾市は全人口が89%へ減るが、子供の方が72%と急で差は17ある。隣の伊奈町のように今は若い人の転入が多くてうらやましがられるが、30年後に総人口は102%で維持できても子供の減り方は74%と差28が目立つ。

  • コロナ禍で更に少子化が加速

この推計にはコロナ禍の影響は入っていない。都心から郊外への移住は限定的で目に見える変化はないだろう。むしろ確実なのは、コロナにより出生数がガクンと減った方だ。

2020年の婚姻数は前年比12%減の52万組出生数は2.8%減の84万人である。妊娠から出産までの期間を考慮し、本年で80万人割れが危惧される。

こうして少子化が止まらないのは、10年以上前からやっている各種の対策が失敗した証拠であるから、行政は素直に認めるべきだ。『カネがないから結婚しない・子供作らない』という例が持ち出されるが、それは一部の例であり、行政や政治家の人気取り政策なのだと思う。

前にも書いたが合計特殊出生率が1.4と低くても、完結出生児数という結婚15~19年たった夫婦の最終的な平均子供出生数は1.9人である。

 何度も書くが、少子化の原因は婚姻数の減少である。

昔は、上司が縁談を持ちかけるように結婚の敷居は低かった。今はそんなことできないし、自由恋愛と言っても出会えないから婚姻数が少ないのだろう。だから婚活ビジネスが生まれたが、そこでは男と女を損得的な計数化までやるために選別がシビアになりマッチング率が高まらないのだろう。また、エントリーすらできない男が多いかもしれない。

いずれにしても女がシビアに男を選ぶ時代であるから、せいぜいやれるのは、公的で安くて信頼性の高い婚活市場を作ること位ではないか。もちろん最高の対策は経済成長である。それで若者にも将来への自信が生まれるはずだ。その一方、人口減は日本社会の総意として受け入れ、生産性向上で凌ぐ覚悟も持つべきだと思う。

 ・人口が減っても、増え続けるもの

 人口が減れば財政負担の大きい医療費が減りそうに思うが、そう簡単ではない。人口の減り方よりも医療の高度化による「高価な薬や医療機器の登場」による医療費増加の方が上回り、今の40兆円が2040年には70兆円とも予想される。

  関連 医療費の6割は65歳以上に使われる

 また、生活保護制度は生活保障をしつつも自立を助長する制度なのに、保護者の半分は高齢者と見られ、自立が見込めない終身年金みたいになっている。そして、世帯主が非正規労働者であると、退職後は生活保護になる可能性が高く、2040年の生活保護費は今の3.8兆円から9.1兆円へ増えると野口教授は予想し、消費税アップがさけられない

 年金も含めて、人に係るおカネだけは増え続けるが、他方ではインフラ等の公共施設の更新費用は自治体で重荷になっている。人口減少つまり労働人口減少なのにヒトもコンクリートも維持費が大変になる。

 先の総選挙でリベラルが負けた原因に、立憲の左傾化が上げられるが、それは既存支持者の離反として表れたと思う。一方、若者や30代は自民党へ流れている。若者への投票率呼び掛けはリベラルに不利となった。世代の違いについて、日経新聞の調査で、40歳未満だけなら自民300に迫るとある。下図は加工したもの。

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それを若者の保守化と見るのは間違いで、若者は分配政策の甘さや非現実さを見透かしたかも知れない。要するに現実主義なのだろう。ただそれが世代間断絶へと繋がるのはヤバいよね。

 つづく

2021年11月11日 (木)

バラマキ目的は公明党女性部への選挙慰労金なの?

天下の愚策かもしれないが、七千億円の国会対策費だと思ってほしい(野中広務)

18歳以下を対象に所得制限なし現金10万円を給付するという、公明党の未来応援給付金がすこぶる評判悪い。自民党は建前として所得制限を付けたが、ヘンなものだった。子育て世帯なら夫婦合算の世帯収入で切るべきだ。

なお給付額を課税対象とするのは青色申告者なら簡単だが、ほとんど源泉徴収者者だから面倒になる、とどこかで読んだことがある。

財源には今年の決算剰余金(4兆5千億円)を使うらしいが、元は赤字国債だ。もらった子供に出世払いで貸すようなものだろう。なお、貯蓄に回されたり、親が目的外に使わないために五万円をクーポンにするという手間のかかる支払だが、そこで儲かる業者が生まれる。

テレビでは経済対策なのか、生活支援なのか、教育支援なのかと評判が悪いが、皆、本当の理由を感じていても遠慮して言わない気がする。 

1999年、小渕内閣の時に地域振興券で、15歳以下と老人に一人2万円の商品券が配られた。苦労せずもらったカネほど「もらった事を覚えていない」ものだが、これは公明党が一人3万円で提案した政策だった。

その当時を元公明党幹部がデイリー新潮で生々しく語り、これこそ真相だろう。以下引用。


福本: 福祉を考えるなら、一律10万円などとしないでしょう。公明党の支持母体はご承知のように創価学会です。公明議員は創価学会信者、中でも最大の力を持っている婦人部――今は女性部といいますが――彼女たちの支援、選挙活動があって当選できるわけです。ところが、彼女たちから「あれだけ応援してあげても何の見返りもない」という声が上がることが少なくありません。福祉の党と言いながら、私たちは豊かにならないと。そうした声が学会本部へ伝わり、会長へ上がり、公明党へ伝わるということも考えられる。そこで提案されたのが地域振興券でした。まさか「学会員だけに配れ」などとは言えませんから、一律ということになるわけです。

 ――要は、学会員のための地域振興券ということか。

福本: 当時7000億円かかると言われたバラまきに、連立を組む自民党からも地域の振興になど役に立たないと批判され、“天下の愚策”とまで言われました。自公連立の立役者だった野中広務さんが、「7000億円は公明党への国会対策費だ」と語ったのは有名な話です。

  自民党が、今回の公明案を受け入れたのは、来年夏の参議院選挙での協力もあるだろう。次もよろしくなのだ。権力を取るという事はこういうことなのだとよく分かるが、財務省はバラマキ政策に不快感を示したらしい。でも、参院選後はしばらく選挙が無いから、その頃には「回収作戦」を考えるはずだ。

 強いて嬉しいのは、その頃にはコロナも感染症分類から格下げされていること位かな。

 結局、仏の道も金次第なら、性善説の人の素朴な思いは通用しないだろう。18歳以下ではない創価学会の高齢支持者は貰わないけど、『周りへの施し』ができたという自慢になる。だから、電話番号が知られている人は、 また選挙のたびに投票依頼を受ける。そんな電話に不快感を持つ人がいても、バラマキ給付実現により、彼らは自信満々に掛け続けることができる。カネ配れる党へなびく有権者がいても不思議はない・・・

 ただ、その電話主は殆ど女性会員だろう。

 男の高齢者はコミュ力ないもんな。

 

2021年11月 2日 (火)

衆院選 大島敦VS中根一幸の得票と上尾市比例票

 投票前の土曜に、勝者は維新だけと書いたが結局、自民党も勝った。そしてクールな情勢分析をした朝日新聞も勝者だ。立憲は敗者、共産も議席減だから敗者だ。なお、共闘の捻じれによる無効票の増加は分からない。

 投票率は良くても55%と思ったが、55.9%となった。前より2P増ではコロナ禍効果は無かった。民主党政権誕生では69%なので、変化には高い投票率が欠かせないのだが、この十年でムリになった。低い投票率とは国民の政治意識が下がった証拠であり、それこそ安倍政治の最大の成果になる(党の都合で解散選挙していた)。本来、リベラルが好む個人主義の浸透は、他者とかかわる事を面倒に思う人を増やしただけかもしれない。その因果関係を理解するためには個人属性に踏み込む調査が必要なのに、それを避ける日本では想像の域を出なくなる。

 枝野さんの交代は当然だ(5区での人気減には驚いた)。敗因は、リベラル派が負け続ける理由の通りだと思う。その指摘をする岡田教授は更に「リベラルはもっと銭金を語れ」とも言う。しかし、バラマキ(支出)だけで負担を語らない。語れば、大企業や金持ちから取ればイイという勧善懲悪みたいな話だ。労組にも距離を取られるのだから成熟社会の中庸層から相手にされるわけが無い。私的に一番残念なのは、日本が食うための産業政策がまるで無いこと。分配後に、次に配る原資をどう稼ぐかが語れない。

 参考 小川淳也氏が立候補した。一見ひ弱そうだけどこれを読むとバランス感覚ある。将来的には熊谷知事も注目。

 バラマキ政策に簡単に群がるわけでは無いという証明ができたのは成果だが、また緊張感の無い政治が続く。自民党が割れて小石河連合みたいな勢力ができると野党も再編成となり、民族主義でも利権でも過剰リベラルでもない中道勢力が生まれ、連立抜きに日本が運営できなくなるのだが、その兆しもない。

 後の分析では、夜遅い時間帯に接戦区で自民党が多く制し、自民の当選者二割が辛勝だった(読売)

埼玉6区は、世間の予想通り大島議員が当選した。でもね… 

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●四年前の票との比較

 前回は大島氏が5地域全てで中根氏を上回った。ただし(最大エリアの)上尾市と伊奈町では拮抗していた。中根氏は前回よりも13000票も増やしたが、大島氏は前回の「大島票と共産候補の票」の99%になっていることから、共産党をゲタにして当選したようなもの。

  ※ 二日経っても県選管の資料は無いから不明。IT後進国がこんな所にもでている。

野党共闘が無ければ千票差まで縮まり、立憲が不振だった今情勢なら負けたかもしれない。それなのに、こんな慢心な態度を有権者は知らないのだろう。

(産経記事より) ところが、共産党との共闘について大島氏に尋ねてみると「私は独自の戦いをやっている」とつれない返事。自ら進んで協力を求めてはいないと強調した。 

●比例区の票との関係では/上尾市

 大島氏は55000票だが、比例区の四野党合わせても77%、国民入れても86%しか埋まらない。維新等から8千票がこないと埋まらない。中根氏の47000票は、自公で95%と支持者のロイヤリティーは高い。

●二人の候補者に思う事

 中根氏出陣式の様子で書いたように、自民党規則で比例復活三回は許されないと思ったから、負ければ引退なので必死と思ったが、(比例名簿に載っており)今回も比例復活していた。これは危機感煽りの古い手口だったのかなと思うと信頼感に欠ける。

 選挙公報を読んだが内容が劣る。与党にいてポストをもらいながら、主文は抽象的すぎる。囲みの具体策も一般的な固有名詞の羅列でリアル感が無い。本人だけでなく、取り巻き秘書もこのレベルなのかなと想像するし、これで4期もやれるのが石井一氏の言うような例なのかなと思ってしまう。

 大島氏のは文字だらけなので読まない人もいるが、中身にはストーリーがあり、政策も具体的に書いている。彼の方が優秀だ(それだけ学歴と職歴のキャリアがある)。でも8回も当選重ねながら目立った要職についていない。野党議員はあまりテレビに映らないが、それでも当選回数の割に目立たない存在だから、何やってるんだろう、という感じだ。そのことは、Woh is 大島?として四年前に認めていたが、今も変わらないと見る。

 だから、駅頭でたまに見かけると、地元の子分の選挙にボス的に来るだけの人に見えてしまう。国会議員を頂点とした選挙互助会なのだが、それを選挙上手とヨイショするのは評価レベルが低すぎだろう。

 今回初めて中根議員のWikiをみたら不祥事に驚いた。県議経験が無くて候補者になれたが、自民党がもっと有能な人材を立てれば、ここまで連敗はしないだろう。ただ、それが支持母体のレベルだから人材の限界となるわけで、大島連勝の理由もそこにあると思う。 

  • 上尾市の衆議院比例区にみる党派別の推移

投票率は前回51%から54%へ増えたから6300票増えている。今回は維新の急増がニュースだが、それでも昔の半分であり、維新は党首のイメージに左右されるのだろう。自民は堅調、立憲と公明の伸びは低い。

上尾市の比例区 得票数 得票率 前回票差 伸び率
自由民主党 31,360 30.7% 3,749 14%
立憲民主党 26,757 26.2% 890 3%
公明党 13,230 12.9% 526 3%
日本共産党 9,712 9.5% 958 8%
日本維新の会 9,147 9.0% 6,022 69%
国民民主党 4,741 4.6% (-11,701)  

 立憲は3人の市議がいても支部は無いしロクな活動をしていないのでは? うち二人は市議会で党派を名乗らないのだから帰属意識が疑われる。中央の看板にすがりながら看板を磨かないようでは二年後の県議選に黄色信号がつきそうだ。

 公明党は3%しか増えなかった。支持者の高齢化問題が深刻かもしれないが、常に同人数が投票所に行くのが強みだ。共産党もその点は似ているが今回は不利な共闘下でも8%増えた。なお、福島党首が小さくしていると批判される社会民主党が、上尾では1760票と二倍である(確かに上尾駅頭でビラ撒く集団を見た)。

 上尾市は直ぐに市長選挙になる。畠山市長と深山元議員の対決らしいが、上の比例復活に見るように候補者の覚悟も疑われるし、投票率29%でも驚かない。市議補選では、前回のように就活もどきの候補者は来るのだろうか。公明や共産は一人出して、二年間のみ一議席増を享受するという作戦もとれるが、どうなんだろうね。
 

2021年10月30日 (土)

衆議院選挙の行方と投票率で想うこと

勝ち組は維新だけで無効票が多かったという結果かも。 

関連 小選挙区の一位効果… リベラルが負け続ける理由 

「流れない水は濁る」に相応しいのが安倍菅政権の長さだったから、本来は緊張感を持つために与野党の拮抗が必要だ。しかし。コロナの減少が説明できないように、この選挙にも謎が多い。

 朝日新聞の調査は、自民党は公示前(276)より減るが単独過半数(233議席)を大きく上回る。立憲比例区で勢いがなく公示前(109)からほぼ横ばいところが、読売新聞は逆に自民の単独過半数維持は微妙、立憲は30近く増えそうだと分析する。

 まるで二紙それぞれが支援したい陣営へ、「油断するな」と警告をしているようだが、優劣が付きにくい所が多いのだろう。たぶん、4年前に勝ち過ぎた自民党が20減程度ならほぼ勝ち、30減なら引き分け、40減以上なら野党共闘の勝利という風に読める。

 二紙に共通するのは、日本維新の会が現11議席を3倍増という点だ。朝日の分析からは自民議席減の多くは維新となり、共産はおろか公明まで抜いて第三党になりそうだ。つまりこの選挙の勝者は維新の会だけだ。その躍進は、吉村知事のコロナ対応のプレゼンス効果と思う。でも不思議なのは、人口と感染者数の比率でみると、大阪は東京よりはマシでも、大阪より人口が多い神奈川県よりは悪いし、もちろん埼玉や愛知よりも悪い・・・。

 野党共闘の効果が小さい場合は、候補者ですら片思いなのだから、末端はいうに及ばずということなのだろう。その結果、無効票が目立つ選挙になる。

 小選挙区制では党公認候補が当たり前で、議員になったら党議拘束で動く。つまり候補者の資質はあまり関係ない。それを「バカでも勝つ選挙区多い」政界のオヤジが言っていた。石井一氏は自ら小選挙区制を作った戦犯と自覚しつつも裏側の事情を話していて面白い。結局、制度を替えても、反動で元に戻したとしても、進歩できない理由を探した方が良いかもしれない。その一番のバロメーターは投票率だと思う。

 行政とあまり関わらなかった市民がコロナ禍で否応なく接することになったから、それが投票行動につながるハズと予想していた。事実、NHK調査では「必ず行く」が52%「行くつもり」24%、「期日前投票をした」は9%だ。これだと低く見ても61%となる。

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 しかし、四年前のNHK調査でも必ず行くは53%だった。つまりアンケートで見栄をはる人が二割もいる。そうすると、前回53.68%だから、今回は良くて55%、悪くて52%位かなと思う。なお二年前の参院選は48.8%。

 去年のアメリカ大統領選挙は67%、今年9月のメルケル引退したドイツ総選挙は77%であり、四割が郵便投票だった。しかも、争点はコロナでも次のメルケル選びでもなく、気候変動だというから、視野の広さが違う。翻って、日本はその日暮らしが争点みたいになっている。アメリカから民主主義を植え付けられた点では同じなのにえらい違いである。

  投票率が低い原因はいろいろあるが、日本で足りないのは踏み込んだ分析だと思う。月曜には勝因と敗因の分析がされるだろうが、それは粗いものだ。アメリカの大統領選では性別と年齢だけでなく、人種から始まり学歴、年収、子供の有無、結婚有無、フルタイムか否か、政策への賛否等々をアンケートで徹底的に明らかにする。こうすることで支持者のプロファイリングが明確になる。

 そのようなアンケートをしたら政治を語ることがタブーな日本では空欄ばかりになりそうだが、どんな人から好かれ、嫌われているかが明確になればイメージ選挙から変われるのではと思う。

●すでに行われていた例

結論:女性、高齢者以外、社会経済状況が低い人々、他人を信用しない人々、うつや不安の傾向がある人々はワクチン接種に否定的な傾向が見られた。

 どういう人々がワクチンを接種したがらないか

これは、生活習慣などの複数要因から病気になるリスクを予測する時に使うような統計手法で、ワクチン接種しない人のプロファイリングをしている

質問項目=性別、年齢、学歴、同居家族構成、就業状態、世帯収入、預貯金額、BMI、基礎疾患、最も重視する情報源、一般的信頼、うつ、不安、コロナへの恐怖、居住地

 

2021年10月26日 (火)

買収公約って効果あるのか?

日本人は、バラマキ選挙公約に釣られない、だろう。

 感染減少には日本人のマスク装着率の高さがある、と欧米から褒められたりする。清潔感や民度の高さという意味もあるから、こそばゆいけれど、それが日本人のモラルの高さへと拡大解釈できるかは今から試される。

 去年の三月頃、国の制度融資が始まり、これから大変だと政府系金融機関の人から聞いたことがある。反社会勢力からの申請が増えるからだと言う。プロだから見抜けるものの、その手間が大変なストレスだという。

 その後は本格的な自粛要請が始まり、個人や零細業者への持続給付金事業が全国規模で始まった。ところが反社会勢力どころかツイッターで手口を教えるなど、一般人にまで不正受給が広まったという報道があった。今見ると、経産省サイトでは「それって誤って申請しちゃったんだよね、自主的に返せば加算金や延滞金もタダにするし警察にも言わないよ」と言っているようなものだ。いちいち摘発していられない位、多かったのかもしれない。

 二人の若きエリート官僚の逮捕は象徴的だったが、どさくさに紛れて、もえらる金はズルしてももらおうという人が現れるものだ。フリーランスや零細業者だけではなく、コロナファイターと称賛された人の中からもでた。コロナ患者を受け入れると言いながら数千万円もらう「幽霊病床」で儲ける医療機関である。

 制度の甘さが招いたグレーな受給もある。

飲食店への休業補償では一日6万円とか3万円とかが支給された。これは月の固定費が小さい、つまり家賃が安とか従業員が一人や家族程度の店舗兼住宅みたいなところだと、丸儲けになるだろう。それを伝える毎日新聞では兜町の給付金成金みたいな話があった。で、本日の読売には『一生コロナでもいい』という店主までいた。

 こんなだから20年前の、西友偽装肉返金騒動を想い出した。検索したら画像がいっぱい出てきた。「タダでお金がもらえる」という情報が流れて『感染』が広まった点では似ている。元の画像はこちら

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 現在の不正受給の方が書類捏造やネットに進化しており、見た目で分かる人物ではないから深刻である。違いと言えば、あの頃のテレビがおおらかだったな。

 実際は飲食店の多くは苦戦しており、コロナ禍で45000店が閉店したと推定される。給付金が廃業を促した面もありそうだ。

 さて、カネを配ると言えば今回の衆院選だが、本当に配ったのは劣化市における市長選挙である。

初めは小田原市長選(2020/5)。公約に『ひとり10万円』と書いてあるから、てっきり市が独自に10万くれると理解された。そして僅差で現職を破って当選したら、「それは国の給付金のこと」と釈明したというバカみたいな話だ。小田原城が泣くよね・・・

一人12万円という高額で注目された千代田区(6万人)の話はちょっとややこしい。これは選挙公約ではない。基金458億円を持つ超リッチな自治体に困窮世帯が多いハズはないが、80億など大したこと無いのだろう。この政策は石川区長がマンションの優遇取引の疑惑隠しや市民の歓心を得るためだと批判された。結局、次の選挙には出なかったが、都民ファーストの新市長は給付を実施した。これは東京一極集中の特別配当と呼ぶべきだ。

愛知県岡崎市(35万人)では、3選を目指す現職を破って当選した。『コンベンションホールの80億円をやめ、全市民に1人5万円を戻す』という公約らしい。原資195億円のために、6つの基金取崩しを計画したが議会に反対された。5万円給付否決「嘘はついていない」といっている。

さらに、香川・丸亀市(11万人)は公約で「全市民への現金10万円支給」を掲げ、現職との差917票で当選した。しかし財源が足りないから5万円に減らすことにした。ボートレース事業があって、巣ごもり需要でネットの舟券注文が想定より60億円増えるからというが、新市民会館に95億円かかるなど財政事情からから3万円に減らした(約23億円)。

愛知県の半田市長選挙(6月)では、商品券2万円配る公約で2位に大差をつけて当選した。必要な24億円のために財政調整基金44億円から取り崩すという。

参考 市長選挙で相次ぐ「給付金公約」問題と、政策本位選挙の限界

 こんな買収公約で当選する例は多いのかと思ったが、日本には市区が約800あり、年200件の選挙が行われているとすれば、ごく例外みたいだ。そもそも自治体は、資金繰りのために借金(地方債)をすることが出来ないから、現金給付をするには、市の貯金を取り崩すことが前提だ。それには議会の賛成が必要となり、反対されて混乱するのがオチである。

 一方、国は通貨発行権があるからカネを配れる。では、衆議院選挙でのバラマキ合戦は国民に受け入れられるのだろうか。朝日新聞が直近の選挙分析を伝えた。他で見かける予想よりもリベラル勢力には痛い内容となった。

 自民が単独過半数確保の勢い、立憲はほぼ横ばい  

 そしてこの報道は本日の株価が500円も上がる材料にもなった。

 朝日の調査は小選挙区で35万人、比例区で2万5千人という大規模だが、35万の方がネット調査なのがやや気がかりだ。でも同時に別の調査もしており、その中では、「消費税を10%のまま維持するほうがよい 57」とか、「憲法の改正に賛成 47」となっており、整合性がありそうに見えた。

 つまり、有権者は給付金などのバラマキ公約では釣られない、と見える。仮に、その理由が財政悪化への懸念だとしたら、それがこの選挙の成果の一つなのだろう。

 

 

 

 

2021年10月20日 (水)

中根一幸さん出陣式と期日前投票で黄金の牛

中根候補の出陣式?

選挙初日の昼前、上尾駅丸広前で中根候補の出陣式らしき集会を見た。

大きな声で演説していた。上尾市の公明党市議や自民党市議や県議などもずらっと並んでいた。傍らの高齢の人が、老人会みたいになっちゃったよと苦笑いしていたが、公明党や共産党だって似たようなものだろう。世代交代が進まずに高齢党員が運動しているという姿は、実は彼らの息子や娘すら説得できていないのかもしれない。

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10/1の産経記事に埼玉6区の事がでており、中根さんは退路を断つ覚悟なのだと(記事はもう見られない)。

 彼は二回連続、小選挙区で大島さんに敗れて比例復活だが、党のルールで今回は比例復活はできないらしい。前回は、中根氏の9万2222票に対し大島氏が10万6448票だった。そしてこう続く。

過去2回の衆院選がいずれも共産党候補を含む三つどもえの戦いだったのに対し、次期衆院選は一騎打ちとなる見通しだ。「非自民票」が分散しにくい構図となり、中根氏にとって格段に厳しい選挙となることは疑いようがない。 

思い切ってその先の話しを聞いてみた。今は適任者がいないといった。連立を組んでいると言っても、他党の県議だとねー、気が進まないんだよねーと笑う。末端はそんなもんなんだ ('ω')

 それにしても岸田人気は高くならない。看板替え効果は総裁選テレビ中継の頃がピークだったかもしれない。感染減少の効果が支持率にでていない。選挙はイメージだから前任者よりはルックスは良いのに、「何か話しているようで実は何も話していない。」と小沢一郎さんは旨いことを言っていた。党内右派への配慮のまま選挙戦に入ったためかもしれない。

 なお、3・4・5波のピークは四カ月サイクルになっているから、今月末が大底で年末年始に第6波ビークと予想されている。専門家も説明できない曲線なのだが、ワクチン接種は「全人口の80%いきそう」 河野さんは言うし、年内には外資、来春は塩野義から経口薬が出るだろうから、第6波は小さいハズだと思う。

そうでなかったら、もうお手上げ。

●駅前の期日前投票所へ

 早めに済ませておくと楽だ。選挙公報がまだこないのは仕方ないが、何日に届くかはハッキリ記録しておくと良いだろう。市議選などは投票日の数日前だった。県の委託費である選挙費用は7200万円だ。

 期日前や投票所の新設など費用を膨らませる割に投票率は冴えない。前回は52%くらいだ。タレント達がネットで投票を呼び掛ける運動が配信されている。アメリカの大統領選挙を想い出し、アメリカは誰を支持するかまで訴えていた。今回の投票率呼びかけ、日本での効果はどうなるだろうか。まぁ選管の「やってます感仕事」よりはマシだろう。

●黄金の牛上尾店で実証実験は・・・

帰りに焼き肉屋へ寄った。ここに来るたびに昔を思い出す。ビル上階に子供達が通ったPAL進学塾というのがあって、いろいろ先生にも世話になった。ユニークな塾だったが、いつしか大手進学塾が上尾に進出してきて淘汰されてしまったらしい。

 焼肉屋は空いていたが、徐々に客は戻りつつあるという。埼玉県の実証実験はやっていなかった。

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 どうせなら恵比寿亭にしようと思っていた。この件でテレビのインタビュー映像を見たことがあるからだが、お店のHPを見たらこう書いてあった。

ワクチン接種者、未接種者の差別化等を条件とした
制限緩和の為の実証実験 不参加のお知らせ

当店では、満足のいく接客・おもてなしが出来ないと判断し
「制限緩和の実証実験」は不参加とさせて頂きます。

接種率が80%になったら証明書なんか意味無いだろう。また焼肉屋は排気が良いから他の形態よりも安心である。まだ九時までの営業だった。

 街の中は静かなもので、選挙らしい雰囲気は無かった。選挙はテレビの中だけだ。ネットは自分の感心のある情報しか見ないから、無関心層には届きにくいだろう。

 

 

2021年10月18日 (月)

リベラルが負け続ける理由とは 

『寛容になれと、不寛容に主張する』、それが過剰リベラルですよね…

前記事 小選挙区の一位効果

参考

共同通信の調査/比例区の投票先 解散直後の10/16-17、1257人

自民党29.6%、立憲民主党9.7%、共産党4.8%、公明党4.7%、日本維新の会3.9%、国民民主党0.7%、れいわ新選組0.5%、社民党0.5%など。「まだ決めていない」は39.4%。

岸田政権は安倍菅政権の路線を継承すべきか。「継承するべきだ」26.7%、「転換するべきだ」68.9%。 

読売新聞調査 10/14-15、1044人)
政党支持率 自民40、立憲6、公明3、共産3
比例区   自民44、立憲12、公明6、共産5

 2008年の民主党政権の誕生とか4年後の自民党の復権は、敵失によるものだが政権交代は民主主義の健全さでもある。しかし、その後の安倍・菅政権は8年も続き、最後は選挙に負けたのではなく自ら辞任した。その間、安倍さんは14、17年の衆院選や13、16、19年の参院選のいずれも勝利し、憲政史上最長という記録まで作った。

立憲民主党はまだ出来て四年、55人当選からスタートしその後は選挙が無いのに110人へ倍化した。希望の党や無所属からの転入組によるものだろう。この110人という議席数は1980年代の日本社会党のスケール並みである。当時の政党支持率を見ると社会党は11~12%位だから、今の立憲の6~8%はとても低い。

結局、支持率低い立憲が議席数が多いというお得になっていて本当の実力はまだ分からない。そして今回、立憲と共産合わせた支持率は(調査により)5~10%程度なのに、比例区調査は合わせて15-17%と高い。野党共闘の効果がどの程度に増えるかに関心が向くが、上の調査では脱アベ政治を願う人が7割近くいても、リベラル勢力ではなく自公でということらしい。

リベラルの支持が上らない理由について9/9の朝日新聞にインタビュー記事があった。

 岡田教授はリベラルを自認する人で、なぜリベラルは負け続けるのかという本を出しておりタイトルに釣られて読んだことがある。実はピンとこなかったのだが、このインタビューは腑に落ちる話だったので、(長いため)テキトーにかいつまんでみた。なお、掲載時は野党共闘はまだ調整中だった。


・支持者達は、民主的なルールを平気で無視する政権を有権者が信任し続けることを、『我々の真っ当な政治は間違っていない。国民はまだ覚醒していないのだ』と言って自らを納得させているだけ。

・多様性の問題も同じ。寛容になれと、不寛容に主張している。政治とは自分の信条の純度を上げてそれを実現することだと信じ、四角四面で潔癖主義のピューリタン化してしまっている。

 リベラルは左翼という意味にも使われるが、とても曖昧で訳語の一つに寛容がある。保守政党である自由民主党の英語名にもリベラルが使われている。しかし、寛容に徹しようとすると、極端な喩えだが「多様性を訴えるなら差別的表現だって認めろよ」という調子で反撃される。これを「寛容のパラドックス」というらしく、これでは不寛容な人のほうが遠慮なく振るまえて楽である。

 岡田氏は、そんな熱心なリベラル派を『ピューリタン(自分に厳しく潔癖な人)』と喩えるが、ずいぶんと遠慮した表現だ。むしろ、記事見出しに、『信条の純度を上げて狭める支持者の幅』と書くように、それこそ『過剰リベラル』と言い換えたほうが良いと思った。過剰というのは曖昧だけど、寛容そのものが曖昧だし、すでにある用語なのであえて使った。平たく言えば、正論を吐きながら極端に走り過ぎるというような意味だ。


・改憲に反対か賛成かと大雑把に分けられるほど有権者は単純ではない。9条に限っても、護憲派の人たちでも非武装中立から戦力としての自衛隊を認める人まで、かなりの幅がある。それなのに、憲法を一文字たりとも変えるなと訴える純度の高い人々を実像以上に大きな固定客だと見なし、彼らに背を向けられたら終りだと怯えている。そのために新たなマーケットを開拓できなくなっている。」

・「訴える政策の順番がちがうということ。ジェンダー平等や性的少数者の権利、原発、動物愛護は大切です。でもそれが響く人は初めから野党に投票している。今政治が示すべきは、当然ながら、人々の生活を守るという強い意志です。

・リベラルも保守も、極端な固定客をつなぎとめようとしている。その結果、中庸な人々の政治的期待は行き場を失っている。

  最後に引用した文が全てだと思う。岡田氏が、日本政治に中道右派や中道左派を求めているのかは分からないが、私的にはそう読める。

 安倍政治とはアベノミクスで目をそらし、隣国を脅威とするイデオロギーの右傾化、内向き政治だったと思う。その対抗で立憲は左傾したが支持は広がらなかった。就職市場が活況になったのは若い人の支持に直結した(アベノミクス効果よりも人口構成による人手不足だが)。また、安倍さんは、幼児や高校の無償化策を公約にして実現している。

 彼らの思想性からは遠い政策なのに、今度の岸田さんも配分とか支給政策を(曖昧なまま)宣伝して、リベラル側の政策をパクって中和作戦を平気でやる。そして与党だから実現できる。岸田さんは自分の目玉会議に連合会長まで入れちゃった

つまり、日本の自民党には大きな政府を前提にする人がいて(野党的な役割もあるし、財政無責任さもある)、国民の多くはわざわざ政権が変えるのは不安だから、『強い方についていれば楽』という事なのだと思う。また、政治への期待度が低いから棄権が多いのではなく、むしろ生活満足度の基準が低くなったのでは無いだろうか。低位安定という感じだ。そうでなければ低投票率が続く理由が分からない。

 コロナで辛酸舐めた人が増えたから投票率アップを期待しても、支持率を見ていると小幅に収まりそうな気もする。そして、配分を気前よく宣伝している政党が好かれないのは、"出来っこねー"という不信感よりも、背景にある考え方の純度が受け入れられないのだろうと思う。

 特に立憲が自民党との差別化をすればするほど公約が先鋭化する。総裁選の最中に出てきた彼らの初期の公約は、一つ一つは正論でも、世間が望む喫緊の課題ですか?って感じた。迷える中間層を取るには不利だろう。

 結局、上の朝日記事のタイトルは「リベラルが陥る独善」だった。

 

 

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